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コラム

原価管理導入編

第4回『原価管理の導入 その1 材料費』

原価管理導入編

材料費を出すために

今回から、実際に原価管理を導入するうえでのポイントをお話していきます。

皆さんもご存知の通り、原価には三要素「材料費」「労務費」「経費」があります。イマドキの製造業であれば、外注費が大きなウェイトを占めていますので、経費に含ま れる外注費を別に管理している会社も多いと思います。 そもそも、この三要素という考え方自体、材料を手作業で加工していた時代の名残で、材料費と労務費が大きく、金 額の少ない経費はひとまとめで、ということなのです。機械による自動化の進展も考えると、「材料費」「労務費」「機械加工費」「外注費」「経費」のように五つに分け るのが妥当なのかもしれません。それはさておき、材料費を取るためには、次の3つの情報が必要になります。

  • 製品の完成量
  • 材料の消費量
  • 材料の購入量・金額

今回は、この3つについてお話ししたいと思います。「製品」を、「プロジェクト」「サービス」などに読みかえていただくと、建設業・ソフトウェア開発・サービス業にも応用できます。 

不良品を製品完成量に含めるか

製品の完成量の数え方には、「不良品を含める」「不良品を含めない」の2通りあります。おススメは、「不良品を含めない」です。ところが、すでに生産管理システムを導入済みの場合は話が変わります。

普通の生産管理システムには、製品の完成量を入力する機能があるのでどちらでも構わないような気がします。しかし、材料の消費量を製品の完成量と同時に入力しなければならない仕組みになっているシステムの場合、製品の完成時までに材料の消費量の集計を終わらせておく必要があるため、運用が厳しくなります。そういうシステムの場合は、材料の消費量を「製品完成量×製品1個あたりの材料理論消費量」で自動計算する設定にしておく方が、入力の手間が省けて楽になります。実際に消費した量と差が出た場合は、後述のように差分だけ記録しておくのです。同じように、材料の点数が多い場合も、自動計算する設定の方がよいでしょう。

ところで、「不良品を含める」数え方についてです。「不良品は売りもんじゃないだろ!」とお考えだと思います。その通り「不良品を含める」数え方の場合、いったん製品として在庫にあげたものを仕損費として費用に振替えることになります。この場合、良品の原価に不良品のコストを乗せるには、さらに一工夫が必要になりますが。もちろん、これから生産管理システムを選ぶのであれば、こういった細かな運用面も評価ポイントになると考えてください。

材料の消費量を楽にとる方法

材料の消費量は、作った製品ごとに記録していきます。これをできた製品量で割ると製品1個当たりの材料費が出るというわけです。たとえば、ある月にある製品を100個作ったとします。これに材料を103個使った(3個失敗して余計に使った)のであれば、製品1個当たりの材料費は1.03個分です。これに材料の単価を掛ければ金額で出せます。材料の種類が増えてもすることは同じ。全ての材料について、使った量を数えて単価を掛け、出した金額を合計してから製品量で割る、これだけです。

でも、この数える作業が手間なこと。毎日忙しいのにいちいち数えてなんかいられませんよね。そこで、こんな方法はいかがでしょうか。

  • 重さで量る
    薄いシート状のペラもの、ネジのような細かい部品、針金板金のようなものは、重さで量ります。たとえば、100個50gの材料を40g分使ったら80個、という風にします。
  • 使わなかったほうを測る
    巻物や液体なんかで良く使う手ですが、使わずに残ったほうを測ります。たとえば、使用前に100gあったものが使用後(製品完成後)に70gになっていたら30g使ったことに なります。
  • 余計に使った分だけ記録する

製品に使う材料はほぼ変わりませんから、仕損じて余計に使った分だけ記録します。たとえば、製品1個あたり材料3個使う場合、製品100個と材料仕損2個と記録しておけば、材料は全部で302個使ったことになります。

材料単価の評価方法は

材料の消費量のところで、「材料の単価」が出てきました。材料の単価って金額を数量で割るだけでいいんじゃないの?いえいえ、いつも買っている物が値上がりしたり、ドルで買っている部品が為替レートで変わったり、ありますよね。会計に詳しい方ならご存知でしょうが、材料や製品の評価方法は、個別法、先入先出法、平均法、売価還元法の4つが認められています(それぞれについての詳しい説明は、他所に譲ります)。現実的な選択肢としては、平均法(それも月次総平均)が妥当でしょう。原価計算を行う期間のことを考えると、月末にその月に作った製品の原価を計算するのが普通です。つまり、製品の原価は一か月の平均で考えているので、材料も一か月の平均で考えようというわけです。

月次総平均法での単価の計算は、一か月に仕入れた金額を合計して、一か月に仕入れた数量の合計で割ればOKです。これを各々の材料ごとに計算します。ちなみに、仕入の時に運送費や保険料が自社負担になった時は、その金額も材料の購入金額に足しこんでください。

材料単価の評価方法は

ここまでで、製品量、材料消費量、材料単価の3つの情報がそろいました。個別原価計算(またはプロジェクト別原価計算)であれば、あとは計算だけで材料費が出せます。
これは次の手順で行います。

  1. 材料の単価を計算する。
  2. 材料の消費量に単価を掛けて金額を出す。
  3. 製品ごとに材料の消費金額を積み上げる。
  4. 製品の材料費合計を製品量で割る。

前月末に在庫が残っていた場合、仕掛品の取り扱い、総合原価計算の場合など、今回ご紹介できなかったトピックがまだまだあるのですが、この連載コラムは原価管理の導入をおススメするものなので、深入りはせずにおきたいと思います。次回は、「原価管理の導入 その2」として労務費に触れていきます。

第5回コラム『原価管理の導入 その2 労務費・経費』に続く

原価管理導入編
中畑 慎博 氏
中畑 慎博 氏
原価の道場 代表 1996年 東京工業大学 大学院 中退。中小企業診断士。株式会社マクニカ、加賀ソルネット株式会社、加賀電子株式会社を経て、2015年4月より独立開業。 会社員時代は、グループ会社60社に対する業務改善、情報システムの企画・構築・運用の支援に従事。 独立後は、生産管理・販売管理・原価計算を中心に、業務改善・見える化の支援を行っている。 http://ka-consul.jimdo.com/