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コラム

スマートフォン編

第1回 『スマートフォンが生み出す業務改善』

スマートフォン編

皆さん、はじめまして。株式会社ReMの安東です。

最近スマートフォンはブームになっており、ビジネスでの活用も色々と紹介されています。でも実際にスマートフォンをビジネスで使っているのは「メールとスケジュールの確認」が多いのではないでしょうか? せっかくスマートフォンを導入したのに、携帯電話とあまり変わらないというのでは少し物足りなさを感じます。そこでこのコラムではスマートフォンを業務改善に活用している実例紹介と、効果的な活用方法を紹介していきます。 

導入の背景と課題

今回事例としてご紹介するのは自動車部品サプライヤーのA社です。
以下にある2つの課題をきっかけに、スマートフォンを製造現場の入出庫端末として導入をされました。

  • 外注作業中にシステム上で個数管理が出来なくなっていた
  • 主要取引先のB自動車が、4ヵ月後より海外に生産拠点の移管を決定した

まず、外注作業中にシステム上で個数管理が出来ていない問題を説明します。
A社が製品の加工を委託している外注業者にはいまだに手書き伝票ベースの業者も多く、外注委託中はシステム上で個数管理が出来ない仕組み上の問題が発生していました。さらに、手書きのため、度々ミスや漏れが発生しており、ただでさえ個数管理出来てない上に差異も出るという状況でした。これまでは、この仕組み上の問題をマンパワーによる台帳管理でこなしていましたが、もう限界寸前でした。

次にB自動車の問題を説明します。この問題はB自動車の「4ヵ月後から海外生産を開始する」という通告がきっかけでした。A社はB自動車が海外移管すると、その移管先で自社製品の入庫・検品・納品の作業を行わねばなりません。大至急作業員を現地で採用し、4ヵ月後にはきちんと業務稼働させなければなりませんが、人材教育と同時に現場端末にも様々な問題を抱えていました。

以上2つの問題をまとめると、以下のように表せます。

導入の背景と課題

実行プランの選定

これらの問題が同時発生したためA社内は一瞬パニック状態に陥りましたが、冷静に考えると、どうやら2つの問題の根本は同じではないかということに気づきます。

課題の根本は同じ

操作性と通信機能が問題点の主問題、故障時のサポートが副問題と整理すると、スマートフォンならばこれらの問題を一台で解決できるのではないかと思いつきます。
A社では、早速、スマートフォンを業務端末として使用する仮説を以下のように組み立てます。

  1. スマートフォン専用アプリを起動
  2. スマートフォンのカメラで入出庫のバーコード読取
  3. 読取データはCSV生成され、メール機能でサーバーへ(CSVならば基幹システム改良不要)
  4. サーバーから基幹システムへデータ取り込み

この方法ならば、海外のネット環境が貧弱でも現地の携帯電話回線でデータ送信でき、さらに専用アプリならば思い通りに外注作業者向けに分かりやすいボタンをつくることも、海外向けの現地語化も自由に開発できることが分かりました。A社では早速要件定義を行い、以下のようにパッケージを選定しました。

  • 使用するスマートフォン:iPhone
  • バーコード読取:iPhone専用バーコードリーダー
  • 入出庫業務アプリ:A社専用アプリを開発
  • 工程:開発2ヶ月、動作検証1ヶ月=3ヶ月

iPhoneならば国内外各地で調達でき、サポートが受けられること。iPhone単一機種のため、開発と動作検証が行いやすいこと。また予定していたスマートフォン内蔵カメラでのバーコード読取は業務レベルに達していないため、既存バーコードリーダー同等性能を持つiPhone専用バーコードリーダーを選定し、iPhoneを利用した入出庫端末の開発がスタートしました。

img_smartphone_new_01.jpg(左)アプリの画面(中央)バーコードケースに入ったiPhone(右)2次元BCにレーザーを照射している瞬間

導入効果

開発の内容はかなり専門的なため割愛しますが、開発完了後、A社の社内工場と外注業者にiPhone入出庫端末を先行導入し、効果の確認を行いました。

現場からの声で、従来のハンディーターミナルのようにデータ送信のためにパソコンに行かなくとも、iPhone入出庫端末ならばその場で全て行えることでの作業時間短縮の効果。さらには、管理現場では手書きのようなミスや漏れがなくなった精度の効果と伝票をシステム入力する人員が不要になった生産性効果を確認することができ、本格導入が決定しました。

また、今夏発生する可能性がある突発停電時でも、iPhone入出庫端末ならばバッテリーが稼動している限り、入出庫作業とデータ送信(3G回線にて)を行うことが可能な対停電効果。また夜間充電・昼間使用でもバッテリー容量に問題がないことから、節電対策という想定していなかった効果も確認できました。本来、A社の自社工場はすべてハンディーターミナルを使っているため、iPhone入出庫端末の導入予定はありませんでしたが、全拠点に最低台数の導入を検討しています。

導入効果が確認できなかった点としては、B自動車の海外拠点操業が震災の影響で延期されたため、海外での実際の作業効果は確認できておりませんが、現地で調達したiPhone+現地語化されたアプリで問題なく業務を行うことができるのではないでしょうか。

このようにiPhoneを入出庫端末として利用しているA社ですが、既に作業手順書(動画含む)、図面表示、不具合記録などをこのiPhoneやiPadで行う、一層の業務改善の準備を行っています。これらの業務改善機能に関しては、次回のコラムで紹介していきます。

第2回コラム「スマートフォン・タブレットだから出来ること」に続く

世界で戦う準備はあるか
安東 恭二 氏
安東 恭二 氏
株式会社ReM 代表取締役 株式会社エイ・ジー・エスコンサルティング、ピーシーデポコーポレーション等を経て、2007年株式会社ReMを設立。顧客からのフィードバックを織り込んだ「本当に使える」ITと現場を融合させた業務改善サービスを提供している。 「格好良さ・目新しい機能のような味の濃い改善ツールではなく、十年使っても飽きないコメのような改善手法」を顧客と一緒に考えるのが得意分野。 http://www.re-m.jp/