コラム | {{ site_settings.logo_alt }}

{{ group.name }} | 第4回 日本的loTの実現に向けて ~知っておきたいloTビジネスモデル構築ノウハウ~(前編)| {{ site_settings.logo_alt }}

作成者: 宮坂 喜一 氏|2019/01/08 2:00:00

※本記事は「IGPIものづくり戦略レポート」2016秋号からの転載です。

IoT活用の方向性

IoTに対する世間の期待の高まりを鑑みた場合、IoTを検討または取り組んでいない企業は無いと思われます。IoTへの企業の取り組み方として、大きく2つの方向性があります。一つは、まずはセンサ等を付けて、①IoTで設備稼働等の見える化から実践している企業です。もう一つは、②IoTについて中長期的に競争優位をどう築くべきか検討している企業です。②について、その答えを導き出せていない企業から弊社が相談を受けることが、多くあります。今回は、IoTで製品に付加価値を加え、差別化したビジネスモデルを築くノウハウの一つを紹介します。ここでいう差別化とは、競合他社が、技術的に簡単に真似出来ない、時間的に簡単に追いつけない、自社ならではの固有要素により優位性を築けるモデルを構築することを意味します。

IoTを支えるアーキテクチャ

まず設備機器の場合で、IoTで何が実現するのかを考察してみます。
大きく、①センサ等での情報収集によるリアルタイムでの見える化、②収集した大量データを分析・処理するビッグデータ分析と予知、③その分析に基づくリアルタイムの機器制御自動化があります。それらを支えるアーキテクチャは、センサ、画像データ等のデジタルデータとそれらを処理するビッグデータ処理、AI等のデジタル技術です。つまりIoTは、デジタルデータとそれを処理するデジタル技術を前提としています。

IoTアーキテクチャの限界と対応

しかしながら、本号のテーマであるloTで製品に付加価値を加え、差別化したビジネスモデルを築くとなると前述のアーキテクチャには問題があります。故障予知を例に考えてみます。一般的に故障予知は、温度センサ等のセンサを設備に取り付け、そこからデータを収集・分析することで、故障予知を行います。しかし、センサ等のデジタルデータは、センサを取りつければ容易に取得出来、競合他社も簡単に対応出来ます。センサ取り付けといった投資が制約となるものの他社にとっては真似しやすく、すぐに追いつくレベルのアーキテクチャと言えます。

では、どう差別化すれば良いでしょうか?その答えの一つは、アナログデータです。(図1参照)

故障予知であれば、センサ等のデジタルデータに加え、過去の保守・修理情報や設置情報等のアナログデータも収集・分析対象に加えることで、予知精度は大きく向上し、競合に対して優位性を築けます。例えば同じ設備でも設置環境や使われ方が故障に大きく影響することは、製造業にいる読者であれは容易に想像がつくことと思います。勿論、競合もアナログデータを保有していることは想定出来ますが、それが必ずしも目的にあったデータである保証はなく、仮にデータがあってもデータ間の因果関係を理解するのは、ー朝ータでは出来ません。つまり、デジタルデータにアナログデータを加えることで、ノウハウの必要な分析力を磨き、自社設備の制御等に活かすアーキテクチャを築ければ、技術的にも他社が真似しにくく、時間的にも他社が追いつきにくくなります。

                    図1:アナログデータが武器

※本記事は「IGPIものづくり戦略レポート」2016秋号からの転載です。
最新の「IGPIものづくり戦略レポート」はこちらのサイトで公開されています。(株式会社経営共創基盤様のサイトへ移動します。)

第4回 日本的IoTの実現に向けて~日本製造業の強みを活かすIoTとは~(後編) へ続く