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自社製品の品質を効率的にコスパよく向上しよう!【第3回】なぜRAKU-PADのSPC機能がベストなのか? 相乗効果を発揮するメリットを解説!

作成者: ビジネスエンジニアリング株式会社|2024/08/13 7:24:24

前回のコラムでは、当社のRAKU-PADを導入してペーパーレス化を実現し、工場DXの第一歩を踏み出しましょう! というお話をさせて頂きました。RAKU-PADによって、手持ちのタブレットから現場データを簡単に入力し、集計作業を自動化することで、ダッシュボード上で多彩な分析結果を共有できることを紹介しました。第3回目では、本コラムのメインテーマであるRAKU-PADのSPC機能を中心に、具体的な画面を交えながら解説したいと思います。

目次
  • RAKU-PADのSPC機能で、紙やExcelによるアナログ的なSPCから脱却!
  • 不良品が出たら手遅れに。新鮮なデータで素早く分析する体制を築くには?
  • RAKU-PADのSPC機能でサポートする管理図とタイムリーな異常通知
  • スムーズなトラブル対応を進めるための分析共有と進捗管理も可能!

 

RAKU-PADのSPC機能で、紙やExcelによるアナログ的なSPCから脱却!

製造メーカーが良質な自社製品を安定して供給するためには、当然ながら品質管理は絶対に欠かせないアプローチです。第1回目のコラムでは統計的工程管理の手法としてSPCについて解説しました。製造に携わる関係者ならば、SPCについてよく知っている、あるいは言葉ならば聞いたことがある方々が大多数でしょう。

ただしアナログ的にSPCで品質を管理している方々は、生産ラインの各工程データを記録用紙手書きで記入し、そのデータをExcelに入力してから、集計や統計処理を施したうえで、管理図などに落とし込んでいるケースも多いのではないでしょうか? こういった方法は、データが少ない場合や検査項目が少ない場合には、なんとか現場でも回していけるかもしれません。

しかし生産増強に伴ってデータ量がどんどん増加し、検査項目なども追加されてくると、やがて限界を迎えて現場では手に負えなくなってしまうでしょう。第2回目のコラムでご説明したとおり、RAKU-PADを導入し、タブレットで現場データを入力すれば、Excelへのデータ転記や集計作業が不要になり、工数を大幅に削減できるようになります。

また集計が終わったデータは、従来ならばExcelの関数やマクロを駆使して平均値を出し、データのバラツキを示す標準偏差から3σなどを計算して、それらをベースにデータをグラフ化したり、管理図を作成したりすることで、品質に異常がないかをチェックすることができます。とはいえ、Excelでデータの計算・可視化・分析という手順を踏みながら、1つの管理図を作るだけでも、それなりに手間も工数もかかってしまいます。

しかしRAKU-PADに搭載されているSPC機能を活用すれば、基本的なグラフはもちろん、散布図やパレート図、管理図など、製造現場でよく使用する「QC7つ道具」のグラフを細かい設定をせずに簡単に作れてしまいます。あくまでデータを分析して、品質を管理することが目的なので、その前準備に時間を取られずに済めば大変助かります。

不良品が出たら手遅れに。新鮮なデータで素早く分析する体制を築くには?

工場では各生産工程ごとに複数の管理図を使って安定生産を図っています。これらの管理図をExcelで作っていると、最終的な結果がでるまでに数日後から数週間後といったことも珍しくありません。ようやく完成した管理図で品質をチェックしている製造現場が多いのも実情です。

しかし、そもそも管理図を作る意義とは、いかに素早くトラブルや不良品を予見し、品質を担保していくかということに帰結します。そのため鮮度の高いデータを使って、可能な限り迅速に分析して状況を判断できる体制を整えておき、何か異常があればタイムリーに情報を共有して対応できる仕組みが求められます。

もし何か異常値やボトルネックが発見された場合には、その工程の管理図だけでなく、上流にさかのぼって、どこの工程に原因があるのかを突き止めることも大切です。そのためトラブルの原因究明には、複数のデータや管理図をチェックしながら、各工程の関係を調べることになり、閲覧性に優れた画面インターフェイスもポイントになります。いちいち該当のExcelを開いてチェックするよりも、最新データが更新されて、情報が集約されたダッシュボード上で、いつでも、どこでも、分析結果を一元的に調べられたほうが便利です。

さらにデータや管理図も膨大な数になってくると、すべてのデータをチェックするにも苦労します。そこで異常があったときだけ、関係者にアラートを投げてくれるような仕組みも欲しいところです。また、ある日・ある時間帯の、生産工程における管理図をあとから探したいと思っても、Excelではファイルが埋もれて検索できないこともあります。

管理図自体も各工程の担当者が個別に作っている場合には属人化してしまい、他人が見てもよく分からないものになってしまうかもしれません。そのため誰もが理解できるように標準化されたものに統一していく必要があるのです。こういった、さまざまなSPCの課題について解決できるのが、まさにRAKU-PADに搭載されたSPC機能なのです【写真1】。

【写真1】RAKU-PADによるSPC業務の改善イメージ。前準備に手間がかかる管理図を素早く作成して情報共有し、アラートにより迅速に異常を対処できるようになる。

 

RAKU-PADのSPC機能でサポートする管理図とタイムリーな異常検知

では、ここからは便利なRAKU-PADのSPC機能について、いくつか具体的にピックアップして見ていきましょう。

まずRAKU-PADで入力したデータは自動的に集計処理され、その後にヒストグラム、折れ線、棒グラフ、散布図、パイチャートなど、要望に応じグラフを3ステップで簡単に作成できるようになります。特にSPC機能の中で使われる管理図については、主要な「X-Rs管理図」「Xbar-R管理図」「Xbar-s管理図」に対応しています。

管理図には、3σや係数表に基づいたLCL(下方管理限界線)とUCL(上方管理限界線)や、CL(中心線)のラインが自動的に表示されます。ここでLCLあるいはUCLから外れたバラツキの高いデータが異常値と見なされます。この異常データはグラフ上で赤いドットで示され、データの一覧表示にも該当箇所が赤いマーカーで塗られるため見逃しもありません【写真2】。

【写真2】RAKU-PADのSPC機能による管理図の表示。管理図のLCL/UCLから外れたバラツキの高いデータや、一覧表の該当部分が異常値と見なされて赤色で表示される。

 

異常判定のルールについては、前出のように1つのデータが管理限界線を超えている場合だけでなく、たとえば複数データが連続して管理限界線を越えていたり、中心線のどちらかにデータが偏っていたり、連続して複数データが増加、または減少したりと、新JIS規格で定められた8パターンに準拠しています。ちなみにRAKU-PADのSPC機能は、自動車部品製造で使われるIATF1694での異常判定ルールにも対応しています。これらの判定ルールの詳細については、次回以降のコラムで解説する予定です。

また、ある工程において規格範囲内で製品を生産できる能力を数値化した「工程能力指数」(Cp/Cpk)も自動算出が可能です。Cp/Cpkは基準値≦1.67の場合に赤字で警告を発します。それぞれの説明と特長については、第1回のコラムを参照して頂ければ幸いです。

このように管理図から何か異常が発見されると、担当者や関係部門にメールやTeams(チャット)でタイムリーにアラートが飛んでくるので、担当者は異常チェックのために常にPCに張り付く必要はありません。チェックの粒度や条件によって、異常が発生しそうなトレンドをつかみ、不良品の発生を未然に防げるようになります。さらにアラートが発生したときの履歴も残せるため、あとで原因をトレースする際にも役立ちます。

先ほど、LCLやUCLは集計データから自動計算されると説明しましたが、実は手動で限界線を指定したりすることも可能です。というのも、品質管理が行き届いて品質のバラツキが小さくなっていくと、LCLとUCLの管理限界線の範囲も狭くなって、管理基準が上がって本来は異常ではないデータも異常として引っ掛かり、アラートが頻発してしまうからです。したがって各現場の実情に合うように、管理限界の数値をアジャストできるように工夫しています。これはユーザーの要望から生まれたもので、当社独自の機能の1つとして開発した機能です【写真3】。

【写真3】管理図のパラメータ設定の画面。各現場の実情にマッチするように、LCLとUCLの管理限界線の数値を調整できる独自機能も追加。

 

トラブル対応をスムーズに進めるための分析共有と進捗管理も可能!

RAKU-PADのSPC機能で何か異常がわかった場合には、それらのアラートを受けて、最終的にしっかりと対応していくことが肝要です。ここまでカバーして、ようやくSPCの真価を発揮できるといえるでしょう。

しかし実際の現場では「アラートの情報を受けた部門が内容を確認するまでに時間を要し、事前・事後の対応が遅れてしまう」「対応した状況に関するフィードバックがなく、誰がボールを持って主導し、どう動いているのか、その実態が把握できない」といったコミュニケーションロスの問題も生じてしまいがちです。

そこで、こういったトラブル対応をスムーズに進める機能もRAKU-PADは用意しています。たとえば、異常が起きた装置がどのくらい停止したのか、トラブルが起きた理由や写真などをタブレットから報告書として作成し、それらのデータを基にしてグラフをダッシュボード上に表示させるなど、トラブル発生の状況を分析して関係各所に共有することができます【写真4】。

【写真4】トラブル報告書によるデータの活用例その1。ダッシュボード上でトラブルの発生状況をグラフィカルに分析し、それらの情報を関係各所に共有できる。

 

また現時点でのトラブル対応を管理することも可能です。該当装置の停止報告書が発効されると、トラブル対応の進捗(対応中/未着手)をダッシュボード上から一覧表示するため、トラブル対応が完了していない装置や、対応のプライオリティ、対応者なども一目で把握できます。これらの情報は10分ごとに最新データに更新され、対応が完了したトラブルは一覧表から自動的に消えていきます【写真5】。

【写真5】トラブル報告書によるデータの活用例その2。誰が担当し、対応が済んだかどうか、また優先度の高いものかどうか、トラブル対応の進捗管理が可能。

 

このようにRAKU-PADではトラブル報告書のデータまで活用することで、最終的な現場での対応までカバーしてくれるわけです。次回は、他社のSPCツールからRAKU-PADに乗り換えるべき理由や、アラート機能の重要性、新JIS規格で定められた8パターンの異常ルールなどについて詳しく解説していく予定です。