※本コラムは2023年2月28日開催セミナー「安全文化醸成により労働災害を減らす方法とは」の内容を編集したものです。
では、VR-learningで具体的にどのような教材を作成することができるのでしょうか?
まず、VR-learningが安全文化の8軸モデルにおける「オペレーションの基盤」の中で、どのような対策に役立てることができるのか、傾向と対策について整理し、いくつか例をあげてみたいと思います。
<図15>オペレーションの基盤における傾向と対策
安全文化の8軸モデルのうち、オペレーションの基盤について傾向と対策を整理したものが<図15>ですが、VR-learningはこのうちの「危険認知」「学習伝承」「作業管理」への対策として、具体的に以下のような教材を作成することができます。VR-learningで作成した教材の画面を使ってご説明しましょう。
例えば構内を通行する際にどのように指差し呼称を学習し習慣化させるかというトレーニングでは、自社の倉庫内で撮影した動画により、自分が倉庫内を実際に移動しながら正しい指差し呼称を学習することができ、結果を確認することもできます。
結果が表示されます。
考えられる教材:「熟練者の技能やノウハウを伝承する仕組み」など
熟練作業者による点検作業の様子が学習できる教材の例
熟練者の技能やノウハウを学習することは、安全文化の向上に効果があるだけでなく、ポイントを押さえた効率の良い作業を身につけることで、生産性の向上にも寄与します。
ここでは例として、「ベテランの行う点検作業」を教材とすることで、まるで現場でOJTを行っているかのような学習ができる教材をご紹介します。これは、実際のベテラン作業者に正しい点検作業を行ってもらい、その様子を別角度から撮影したものです。こうすることで簡単にVR教材を作成できます。
また、作業の伝承については、作業員によって感覚的であったり、経験に基づいて作業を行っていることも多いものです。VR教材はベテラン作業員の動作の撮影とヒアリングによって作成していくため、教材を作成する際に、それぞれの作業員が持つ経験知が集約され、形式知を形成することができるようになります。これはさらなる安全と効率化のための資産としても役立てることが可能です。
考えられる教材:「業務マニュアル」「手順書の整備」「マニュアルや手順書を改定する仕組み」など
すでに作成してある作業手順が動画で学習できる教材の例
すでに存在する紙の業務マニュアルや作業手順書を簡単にVRに置き換えることが可能です。
また作業内容や設備の変化に合わせ簡単に新規教材を作成できます。
今回は安全教育で注目されるVR学習と、一例としてVR-learningでどのような教材が作成できるのかについてご紹介しました。オペレーションの基盤における傾向と対策、およびVR-learningの特長と活用シーンは以下のとおりです。
次回は「VR-learningの使い方」についてご紹介します。