当社のmcframe MOTION VR-learning(以下、VR-learning)による業務課題解決ユースケースを紹介する本稿では、いわゆる「技能士資格」のような公的技能資格などの試験に向けた従業員向け自習用教材として、VR-learningで制作するVR教材がどのような効果をもたらすのかを解説します。
企業が手がける事業の内容によっては、従業員が国家資格など公的資格を取得しなければならないことがあります。
例えば建築・土木分野では「大工」「とび」「左官」といった職能や、「型枠」「鉄筋」などの施工技能について、国が技能検定制度を設けています。工事案件の受注や参加に際して、こうした検定の有資格者の現場配置が求められることが多いため、事業を継続する上では人材育成や有資格者の確保は非常に重要となります。
同様の公的資格は金属加工や機械系、食品製造など多種多様な業種に設けられており、有資格者の在籍人数が企業の業務遂行能力を表す指標の1つとされることも少なくありません。
そこで多くの企業では、事業に直接的に関わる有資格者に対して、資格内容や等級に応じて手当を支給したり、取得時に一時金(報奨金)を出すなどして、従業員へインセンティブを与えています。また、検定試験の受験料などの一部を補助して、資格取得を奨励する例もよく見られます。多くの試験は年に一度など実施の機会が限られ、試験会場も都道府県ごとに1カ所という具合に受験者へ負担がかかることが多く、企業としては合格率を高めたいところでしょう。
ただし、これらの資格は個人が取得するものです。有資格者は転職で有利になる傾向もあり、企業側が資格の取得を全面的に支援することは難しいでしょう。例えば検定受検に向けた学習の時間を業務時間として認めるかどうかは、受検をしない従業員との公平性にも関わる問題です。そのため、多くの場合は従業員が業務時間外に自習するしかなく、会社では教材を貸し出したり、教材の購入費を支援するなどの間接的な支援が主となっています。
直接的な支援として会社が学習の機会を設ける場合でも、きちんと教えられる従業員がいない可能性もあります。特に課題となるのは実技試験です。有資格者の多くは熟練者であるため適任ではあるかもしれませんが、日々の業務で教育まで手が回らないこともあるでしょう。そもそも、他人に教えるスキルは技能そのものとは別ですから、社内の限られた有資格者たちが後進指導に適しているとも限りません。
こうした課題に対し、資格取得を目指す従業員が自習しやすく、なおかつ学習効果の高いVR教材を制作・提供するという解決策があります。VR-learningでは実写360度映像を基に手軽に教材を制作できる上に、有資格者から過去の実技試験の様子を聞いて再現した映像を撮影するなどして、独自の資格試験用教材を内製化することも可能です。
また、VR-learningで制作した教材は、VRゴーグルでの視聴だけでなくWindows PCのブラウザでの視聴にも対応しており、ストリーミング版ライセンスを購入することで配信も可能になります。PCからの視聴でも、マウスで視点を動かしたり、教材内に設定された選択肢を選んだりするなどの操作が可能です。ストリーミング配信をPCで視聴する形態なら、職場でも自宅でも空き時間を使って視聴でき、繰り返し視聴して学習すべき内容を復習することもできます。業務時間外の自習向け教材として適していると言えるでしょう。ストリーミング版はPC個別のセットアップは不要で、ブラウザで所定のアドレスにアクセスするだけで閲覧できるため、多数の受講者に向けて閲覧させる環境も簡単に構築できます。
さらに、VR-learningは実技教材としても優れた効果を発揮します。公的資格に関するものではありませんが、インフラ系企業における実技講習の成果を定量的に評価したところ、VR教材による技能資格の模擬試験を通じて、学習時間は半減、試験の合格率は40%から70%へと大幅に向上しました。
VR-learningでは、教材の視聴状況や回答の正答率などの集計も可能です。集計結果を基に、制作した教材がどれだけ使われていて、どの程度の学習効果が得られたかを判断し、今後の教育活動を改善できます。