当社のmcframe MOTION VR-learning(以下、VR-learning)による業務課題解決ユースケースを紹介する本コラム。今回は、接客マナーの教育です。今や人材不足や人材の流動化は全業種共通の課題ですが、そうした環境化において、従来OJTが主流であった教育にVR-learningがどのように役立つかを解説します。
いわゆる「接客業」はもとより、宿泊・飲食、医療・福祉、不動産などのサービス業や、小売業など、接客品質が重要となる多くの業種・職種があります。接客は人と人とのやり取りであるだけに、そのスキルは実地で身につけることが重要と考えられてきました。文書や動画などの接客マニュアルや、集合研修なども行われていますが、指導担当者やマネージャ、あるいは同じ現場の先輩など、職場内での人員によるOJTが主要な教育手段となっています。
OJTには、仕事や学習者の状況に合わせて指導ができる、従業員が教育を担当することにより教育コストを抑えられる、など多くのメリットがある一方、指導者の状況や、指導者と学習者の関係に効果が左右される、といったデメリットがあることも知られています。
特に、現在のように慢性的な人手不足環境においては、一人一人の従業員の業務負荷も高止まりしており、OJTの実施が指導者にとって重い負担となるケースも見られます。また、閑散期と繁忙期の差が大きい業種の場合、繁忙期に備えて新たな人材を確保しても、指導者の業務負荷も高まり、せっかく採用した新人の指導に時間を割くことが難しくなってしまうケースもあります。
VR-learningで制作した接客教材を活用することにより、OJT指導者の負担を抑えつつ効果的な教育を実施することができます。
VR-learningでは、実際の現場で撮影した実写360度映像を基に、教材を制作します。既成の接遇マナー教材では実現が難しい、自社の現場にあったシチュエーションを教材化することができます。それゆえに教材の企画、撮影、制作は自社の指導者が行う必要がありますが、教材の制作はOJTとは異なり業務の繁閑を踏まえてスケジューリングできます。
制作したVR教材は、市販の動画教材と同様に繰り返し視聴可能ですので、学習者も自身のスケジュールの空き時間を利用して効果的、継続的に学習を進めることができます。
VR-learningによる教材は「第三者視点での客観映像」と「本人視点の主観映像」の二つのタイプが制作できます。前者はいわゆるお手本を見て正しい接遇を理解するものであり、後者はあたかも学習者本人が接客をしているかのような場面を体感しながら、シミュレーションを繰り返すことで正しい接遇を身に着けることができます。両者を組み合わせて活用することにより、単なる教材動画の視聴では得られない、能動的学習効果が期待できます。
なお、VR教材を自作することの副次的な効果として、経験豊富な人材が接客マナーなどを再確認できる、という声も聞かれます。360度映像を元にさまざまなシチュエーションを想定した教材を制作することを通して、指導者-学習者の関係の中での指導では気づかなかった、新たな発見もあるということです。
VR-learningにはストリーミング版ライセンスも用意されており、VR教材をオンラインで配信することができます。例えば、広域にチェーン店を展開しており、多拠点でのVRゴーグル運用が難しい場合には、これを利用して各拠点のPCで視聴することができます。
VR-learningでは、学習者ごとの視聴履歴などを取得できます。教材内に設けた設問に対する正答率などを収集・分析し、不得意な内容を実地OJTで補う、といった育成計画への反映に役立てられるでしょう。