標準プロセスの短期間導入と個別ニーズに応じた柔軟な対応がカギ。
タイのマーケットにフィットするA.S.I.A.
導入製品
流通業界における巨大プレーヤーは、何万、何十万点というアイテムを日々管理している。マーケットで適切に商品を流通させるためには何らかのシステムが必要不可欠であり、近年は、流通=システムという考え方が一般的。その中で日本最大手の化粧品・日用品・家庭用品・ペット用品等の卸売業を行う企業の、タイにおけるビジネス展開をご紹介する。
株式会社あらたは、化粧品・日用品・家庭用品・ペット用品等の卸売を行う企業だ。その流通網は巨大で、約1,700社のサプライヤーから仕入れる取扱商品点数は14万点に上る。日本全国で30カ所の営業所、23のディストリビューションセンターを通じて、約2,700社の小売業へ商品を卸している。 タイ法人は準備期間を経て、2015年3月から本格稼働を始め、約1年でDHCブランドの化粧品等を中心に約50アイテムを、10社と取引を開始している。 「タイの小売業が独自に日本での売れ筋商品を探し、直接買い付けるのはまだまだハードルが高い。私達の強みは約1,700に上るサプライヤーと、14万点のアイテムをワンストップでタイに輸入販売できるネットワークを既に保有している事であり、短期間で多くの引き合いをいただいています」とSIAM ARATA のManaging Director 中谷氏は語る。
新規の取引先を開拓する上で、苦労したのが商習慣の違いだ。日本では、卸と小売りの間の取引がほぼ標準化されており、新たに取引を開始する際の準備はそれ程複雑ではない。しかしながら、タイでは取引に必要な書類が会社毎に異なる。例えば、ある企業ではTax Invoiceのみで取引可能だが、ある企業ではTax Invoiceと一緒にレシートが必要。ある企業ではTax Invoiceは不要でDelivery Noteが必要、という具合だ。
細かな部分では、大型スーパーの業態であっても請求先が本部ではなく個別の店舗でなければ取引できないと指定されたり、その際、出荷先の支店コードが必要だと言われる。更に厄介なのは、事前に確認しているにも関わらず、取引が始まって関連書類を提出した後に顧客から訂正の要請が入ることだ。
「新規取引開始に当たり、想定していないことが想像以上に沢山起こりました。顧客との契約にあたり、システムが対応できないとなると、その時点で取引が開始できなくなってしまいます。また、取引開始後に必要書類を変更する要請が入った場合、すぐに対応できないと取引自体が止まってしまう。そんな状況下で、A.I.S.A.の場合、帳票類の変更や拡張に柔軟・短期間で対応できるので非常に助かっています」。
マーケット構造も日本と異なる。卸売の主な顧客はモダントレード(MT)(ドラッグストアーや大型スーパー等)とトラディショナルトレード(TT)(2次、3次卸を活用して町中の商店等に流通させる)に区別される。日本ではMTが約80%を占めるため、MT攻略がカギとなるが、タイの場合、MTとTTの比率は約45%:55%とTTのマーケットの方が大きい。大手小売業とのやり取りであってもシステマチックな運用が難しい状況下の中、今後開拓していくTTのマーケットでは中小企業が多く、更なる運用の柔軟性が求められることが想定される。
「今後3年間で15社500アイテムの商品を、MTで10社、TTで30社くらい新規に開拓していくイメージで考えています。また、現在は日本の製品をタイに輸入することが主ですが、今後はタイで製造された製品を日本のマーケットで販売することも行っていきたいと考えており、よりシステムの柔軟性が必要になってくると考えています。逆に言えば、現場に即した幅広く対応できるシステムがあればそれが同業他社に対する強みとなります。運用についても、適切なサポート体制で支援いただいていると感じています」。
実際に現場で受注・売上管理を行うのはヌンさん。「慣れるまでに時間が少しかかりましたが、今では無理なくシステムを使えています。困っているのは、受注の受付の期日を設定していますが、それ以降に追加受注やキャンセルが発生することです。今後は期日までに正しく注文をいただけるよう、お客様とコミュニケーションを取っていきたいと考えています」
経理担当のケムさんも前職ではNPOで予算管理から経理全般を担当していたが、システムを使うのは同社に入ってからが初めて。「当社は経理の処理も沢山あるので、紙ベースで経理処理を行うとミスが増えてしまう可能性があります。システムを使って正確に早く経理処理ができるので導入されて良かったと思います」と理解度も進んでいる様子だ。
システムがキーとなる卸売業において、初期投資を抑えながら顧客の要望に柔軟に対応できるA.I.S.A.は、取引拡大のスピードを加速する基盤として同社のビジネスを支えている。
2015年3月期の連結売上は約6,400億円であり、同業界の大手。2013年にタイでの輸入元となるArata(Thailand)Co.,Ltd.を設立し、2015年にタイの財閥サハグループと合弁で卸事業会社であるSIAM ARATA CO.,LTD.を設立した。化粧品を中心に高品質な製品を日本から輸入してタイで販売する事業を行っている。今後はタイで製造された商品も取り扱い、日本-タイのマーケットに商品を供給予定。
商号 | SIAM ARATA CO.,LTD. |
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設立 | 2002年4月(本社) 2013年10月(タイ) |
資本金 | 50億円 |
従業員数 | 2,917名(連結) |
事業内容 | 化粧品・日用品・家庭用品・ペット用品等の卸売業 |
※本事例は2016年6月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
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