中国拠点にて生産管理をシステム化
自動車業界用テンプレートを活用し現地主導の導入を実現
1日9時間の間接業務削減効果も
導入製品
グローバルで自動車、バイク向けクラッチを製造・販売する株式会社エフ・シー・シー(以下、FCC)は、2022年に中国広東省の佛山拠点にビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のmcframe生産管理・販売管理・原価管理を導入した。同拠点における本格的なパッケージシステム導入は初の試みとなる中、佛山拠点の現地スタッフ主導のチーム体制のもと、B-EN-G上海のサポートを得ながらmcframeの自動車業界向けテンプレートを活用して導入作業を実施。コロナ禍でも予定通りのスケジュールと予算で円滑なシステム導入を実現した。
中国拠点のシステム構築をFCCの本社(日本)と現地で役割分担し、B-EN-G上海の支援のもとでスムーズな導入につなげた。B-EN-G上海が開発した自動車業界向けのテンプレートが業務要件にフィットしたため、追加開発工数を抑えたパッケージシステム導入が可能となった。
佛山富士离合器はFCCの中国における生産拠点として同社の四輪ビジネスにて重要な役割を担ってきた。しかし、生産管理業務はシステム化されておらず、Excelに保存された情報をベースにアナログ的に行われていた。これまで大きな問題は発生していなかったものの、業務は属人化しておりデータの管理や内部統制面で問題を抱えていたという。
「各種データは誰でも修正・変更可能なExcelファイルで管理していたために内部統制上の懸念があるほか、ヒューマンエラーによるミスが介在しやすい状態でした。マスターも専用のファイルで管理していましたが、最新情報は担当者の頭の中にあり現場の状況がシステムに反映されていないこともありました。さらに、生産実績は別システムとExcelで二重管理しており、無駄な業務も発生していました」と生産管理部 営業部 部長の遠藤達志氏は語る。
佛山拠点では過去にも生産管理システム導入を検討したが、業務プロセス自体をあえて汎用製品に合わせるメリットがないと判断し、システム化が見送られていた。しかし、中国はEV化が早く、迅速な市場対応や新規事業展開を進める必要が生じ、基盤整備のために改めてシステムの導入を検討することとなった。
プロジェクトを開始するにあたり、FCCの情報システム部には期する思いがあったという。同部 部長の酒井靖夫氏は「実は過去の大規模プロジェクトや海外拠点のシステム導入プロジェクトがうまくいかないことが続いたため、2019年に部署内の体制を整備しました。佛山はそれ以降初のシステム導入プロジェクトであり、失敗や遅延は許されない状況でした」と明かす。
プロジェクトを進めるにあたっては、情報システム部が3社の製品を選定して佛山拠点に提案した。日本側でプロジェクトを主導した情報システム課 内藤光浩氏は、「日本産の大手ERP製品をメインの候補としつつ、同業他社の成功事例と『製造業に強い』『原価管理機能が優れている』という他社から直接聞いた話を踏まえてmcframeを候補に追加しました」と話す。
その後各社の提案を受けて選ばれたのがmcframeだ。採用理由について情報システム課 主任の井口知之氏は、B-EN-Gの提案力と対応力を挙げる。「B-EN-Gの人間力を評価しました。他社は自社製品目線の提案だったのに対し、B-EN-Gの提案は弊社の業務に寄り添った提案でした。さらに、コロナ禍で入出国が難しい中、佛山側でB-EN-G上海の担当者と日本語でやりとりできる安心感も大きかったです」
プロジェクトは佛山拠点の生産管理部主導のもと各部門のキーマンが参加し、現地の中国人スタッフを中心として体制を組み、日本側はリモートで技術面の支援を担当。B-EN-G上海による支援のもとで導入を進めた。
その結果、予算も期間も当初の予定通りに進んだ。内藤氏は、成功の要因として製品力とB-EN-G上海のプロジェクト推進力を挙げる。「mcframeの自動車業界向けテンプレートを活用することで、パッケージの作り込みを減らし、効率的にシステムを導入できました。B-EN-G上海は業務理解も高く、ほぼ齟齬がなく進めることができたと感じています。局面ごとに日本語のドキュメントやシステムを使った検証環境を用意してくれたため、現地プロジェクトと密にコミュニケーションをとることができ、コロナ禍の状況下でもリモートでの支援をやりきることができました」
2022年2月から従来の仕組みと新システムの並行稼働を開始し、4月から本稼働に至っている。新システムの運用開始にあたり、佛山拠点のプロジェクトリーダーを務めた生産管理課 課長 倪化建氏は、「B-EN-G上海が導入前のスタッフ教育に加えて、導入後も定着するまで常駐してフォローしてくれたので、スムーズに移行することができました」と話す。
システム化の成果として、生産管理と製造実績管理で従来別々に管理されていたデータが1つのシステム上でつながるようになり容易に差異が確認できるようになったほか、全員が常に正確な最新データを閲覧できる状態になった。佛山にてプロジェクトに携わった邝军强氏は、「Excelシート上に記録されていた情報がシステム化されたことで、ケアレスミスが介入するリスクが大幅に減りました」と語る。
今回は内部統制を主眼に導入したが、生産管理システムと並行して発注を自動化する購買EDIシステムを開発するなど、システム化によってデータ連携が自動化されて楽になった業務も多かったという。購買担当の王彦霞氏は、「工数削減に加えて、リアルタイムな注文変更も取引先と共有できるようになった点は効果が大きいと思います」と話す。具体的な成果としては、担当部署全体で1日約9時間の間接業務削減効果が得られている。
今回の成功事例を踏まえ、井口氏は、「現在上海拠点でもmcframe導入のプロジェクトが始まっていますが、佛山拠点のシステム構築事例を他の海外拠点の同プロジェクトにおけるお手本にしたい」と語る。さらにB-EN-G上海に対して遠藤氏は、「導入済みの原価管理システムも有効活用できるようにしたいので、引き続き支援を期待しています」と続ける。
商号 | 株式会社エフ・シー・シー |
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設立 | 1939年 |
資本金 | 41億7500万円 |
従業員数 | 1092名(連結7970名)(2023年3月31日現在) |
事業内容 | 自動車・オートバイ・汎用機・その他のクラッチ製造、およびフェーシング・触媒の製造。各種生産設備・各種金型(ダイカスト、プレス)の製作。 |
※本事例は2023年10月現在の内容です。
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