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キユーピー株式会社

導入事例 | キユーピー株式会社 | mcframe

導入事例 | キユーピー株式会社 | mcframe

生産技術の高度化でグローバル競争を勝ち抜く
“製造業の魂”持ったITベンダーとの20年の歩み

導入製品



本事例はmcframe広報誌「創魂」Vol.2(2017年2月発行)に掲載しています。

事例ダイジェスト

キユーピーにおいて、ヒアルロン酸などの機能性素材を中心にビジネスを展開しているファインケミカル本部では、生産管理を軸とするコア業務の効率化のために約20年前からmcframeを活用している。茨城県の五霞工場を訪ね、キーパーソンにこれまでの経緯や今後の展望について話を伺った。

導入事例インタビュー

── キユーピーといえば真っ先にマヨネーズが思い浮かびますが、様々な事業を手掛けているんですね。ファインケミカル本部では、約20年にもわたってmcframeを使い込んでいると聞き、今日は詳しい話を伺いに来ました。

鹿屋氏:はい。マヨネーズやドレッシングなどの調味料事業のほか、サラダ・惣菜事業や加工食品事業など、いくつかのビジネスドメインがあります。「良い商品は良い原料からしか生まれない」というのが当社のモットーであり、私たちが顧客価値を創出できる分野はどこかを探りながら事業領域を拡大してきました。

── ファインケミカル分野に携わっている皆さんの具体的な事業内容を教えていただけますか。

鹿屋氏:ヒアルロン酸、卵黄レシチン、EPA(イコサペント酸エチル)などを中心に機能性素材を製造しています。それらは栄養補助食品や化粧品などに使われ、当社の顧客はそのメーカーということになります。つまりB2Bのビジネスです。最終消費者が、例えば化粧品を買って成分表示のところにヒアルロン酸と書いてあるのを見ても、それをキユーピーが生産していると気付くことはないでしょうね。ここ、茨城県の五霞工場が主要な生産拠点です。

グローバル競争が過熱する機能性素材のB2Bビジネス

── 日頃、サプリメントや化粧品の広告を目にすることが多いことからすると、市場は右肩上がりのような気もします。

鹿屋氏:原料を供給するというビジネスでは、熾烈なグローバル競争にさらされているというのが実態で、シェア争いは年々激しさを増しています。コストや品質において突出したものがないと勝ち残ることができないんです。
当社は品質第一主義なので、当然ながらものづくりには厳格に取り組んでいます。その中でも競争下にある事から、コストダウンにも努めなければなりません。システムの話に紐付けるなら、今の本当の原価はいくらになっているのか、そこはしっかり見ておかないと、売価を下げて商談を勝ち取ったはいいが、実はコストがかかっていて不採算になることが起こり得る。リアルタイムで実コストを把握できる仕組みが欠かせないのです。

── 鹿屋さんは、まさにそういったお仕事をされているんですね。

鹿屋氏:私の名刺にある業務推進部というのは、一般的な経営企画や経営推進のファンクションが事業単位にあるようなイメージです。生産系から出てくるデータや、営業から出てくるデータを集計して、収益を出せているかをチェックするのが大きな役割の1つ。日々、PCとにらめっこというのが私のミッションですよ(笑)。

生産実績を検証して“ベスト”の再現性を高める
(左)キユーピー株式会社 ファインケミカル本部 業務推進部 次長 鹿屋 弘彦 氏 (右)キユーピー株式会社 ファインケミカル本部 五霞工場 生産技術課 課長 山崎 城男 氏
キユーピー株式会社
(左)ファインケミカル本部 業務推進部
次長 鹿屋 弘彦 氏
(右)ファインケミカル本部 五霞工場 生産技術課
課長 山崎 城男 氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

── 日頃の業務において、生産系のデータとしては、具体的にどんな数字を見ているんですか?

鹿屋氏:我々が基本とする取り組みを挙げるなら、製造工程における収率を上げたり、コストを下げたりというところで、そこに一定の数値目標を置くのです。標準通りに、あるいは標準以上に“よく作れたのか”がとても気になるところです。

── “よく作る”っていうのは、かなり難しい?

山崎氏:単純な表現をすると、1+1で2にしていくのがマヨネーズやドレッシングの作り方。原料を合わせていく“足し算”です。一方、我々が手掛けている機能性素材は抽出・精製のプロセスで、不要なものを除去していく“引き算”なんです。
1からスタートして最後に0.1が残るものを、いかに正しく0.1だけ正しく作るか。そこの標準感がとても難しいんですよ。アバウトになりがちな全体プロセスをきっちり分けて、それぞれの工程で残したい成分をできるだけ多くするために知恵を絞る。そうして現場で得たノウハウを結集して、技術力をスパイラルアップしなければ厳しい競争には勝てません。
ちなみにマヨネーズの生産ラインでは、コンベア上をものが流れて1分間に250個とかを作るんです。当然のことながら、オートメーション化もかなり進んでいる。機能性素材と言えば化学実験室を大規模にしたようなイメージです。ステンレスの大型タンクをいくつも使用して・・・そんな作業を繰り返します。目的のものができあがるまで1週間かかるようなタイムスパンであり、先ほど言葉に出てきた“よく作る”というのは非常に難しいんですよ。

鹿屋氏:グローバル競争が激しいという話をしましたが、各社とも原料を調達する条件は大きく変わらないと考えています。つまり、一番の勝負所は、原料調達後の成分抽出・精製の技術力。しっかり成果が出ているかをレビューし、ベストなやり方の再現性を少しでも高めることが欠かせない。必然的に、技術を裏付ける定量値に基づいた改善活動を日々続けることが現場に根付きました。
そうした取り組みを通し、受発注などの業務も含めて、データをきっちり見て工場を運営することの重要さをますます痛感しているところです。


懐に踏み込んでくるパートナーとの運命的な出会い
五霞工場 生産技術課IT担当 阿部 玲子 氏
キユーピー株式会社
五霞工場 生産技術課 IT担当
阿部 玲子 氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

── 「データをきちんと見る」という意味で、mcframeをベースとする生産管理システムが果たしてきた役割も大きいと推察しますので、そのあたりの話を伺わせてください。阿部さんと葛西さんの名刺には、生産技術課のIT担当とあります。いわゆる情報システム部門とは違うポジションのようですね。

阿部氏:業務共通的なインフラや経理などの基幹系システムについてはITを専門とするグループ企業が担っているのですが、生産管理システムとか事故防止システムといった工場内のものについては、私どもが企画・推進しています。mcframeについても、ずっと管轄してきました。

── 2度のシステム更新を含めて、約20年もmcframeを使い続けていると聞きました。

阿部氏:私が入社したのは、まさに初代の生産管理システムの導入を検討しているタイミングでした。当時の五霞工場は、経理系の仕入れだったり、お金のまつわるところだけはホストにつながる仕組みがあったのですが、それ以外はすべて手書き伝票で仕事を回している状況でした。注文が入ると担当者が台帳を見て在庫を確認するといったことをやっていたんです。業容が拡大してきたこともあって、システム化に踏み切ることになりプロジェクトが立ち上がりました。

── 何事も最初は苦労が付きものですが、いかがでした?

阿部氏:おっしゃる通りで、導入までは苦労の連続でした。当社には、業務の仕組みやそれを支えるシステムはその部門自らが手を掛けるべしという考え方があります。当時、私たちは実務に携わりながら、どうやってシステムに落とし込むかを考えてはみるものの、何せ経験がないので仕様を固めるのは並大抵のことではなかったのです。
ここで、私たちの相談に乗ってくれることになったのがビジネスエンジニアリングさん。この出会いは本当にラッキーでした。それまでITベンダーやSIerの方々って、“こちらが固めた要件に沿ってモノを納めてくれる業者さん”というイメージを抱いていたのですが、まったく違いました。
足繁く通って担当してくれたのが羽田さんです(現:ビジネスエンジニアリング 常務 羽田雅一)。こちらの要望を一方的に聞き入れるのじゃなく、ダメなところはダメと突っぱねながら、どうやって理想的な業務を創るかをかたくなに議論するんです。我々が頭の中で曖昧になっている要件を一つひとつ交通整理しながら、システムの機能に実装する道筋をつけていく。ここまで使い手のことを考えてくれるんだというのは驚きであると共に、お世辞抜きに「任せるならここだ」という信頼感にもつながりました。
こうして初代の生産管理システムは、ビジネスエンジニアリングさんの支援の下、mcframeベースで完成にこぎつけることができました。手書き伝票から業務ががらりと変わり、現場の状況が可視化されたことはファインケミカルの事業にとって大きな変革点だったと言えます。
ちなみに、その後にすっかり偉くなってしまった羽田さん、ユーザ企業の集まりの場でお目にかかる機会がたまにありますが、あの熱いキャラは今でも変わっていませんね(笑)。


2度のシステム更新 mcframeを続投させた理由
五霞工場 生産技術課 IT担当 葛西 航 氏
キユーピー株式会社
五霞工場 生産技術課 IT担当
葛西 航 氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

葛西氏:2代目と3代目については、医薬品関連業界特有の機能を備えたmcframe/Pharmaを採用しました。業界のレギュレーションに対応する必要性が出てきて、その基本条件を満たしていることを評価したのです。

── その都度、他の製品も検討したのですか。

葛西氏:はい。何社かにお声がけし、プロポーザルを募って比較検討しました。mcframeを継続すべきか、労力をかけてでも新しいものに切り替えるべきか、喧々諤々と議論を重ね、結果的には今日までmcframeできています。
長年使い倒している背景には、やはり当社の業務との親和性が非常に高いということが挙げられます。初代に実装した機能を次世代にも簡単に移植できますし、もう体が馴染みきっているんですね。事実、20年前に作った機能で、今でも生きているものがあります。長期的に安定して使える仕組みというのは、ユーザにとってとても大きな価値です。
iPhoneやiPadって、マニュアルがなくても直感的に使えますよね?私にとってみれば、mcframeで構築した生産管理システムもそれと同じ感覚です。例えば、検索して確認して承認する…mcframeは、それを使う人がとるであろう一連のアクションを考え抜いてデザインされているように感じます。もちろん、当社が導入する際に手を入れてくれた面も多々あるかと思いますが、とにかく使いやすい。

阿部氏:国産のパッケージって、なんだかんだ言って、ユーザとの距離感が近いんですよ。こちらが何か問い合わせても、中身のすべてが分かっているので即答が返ってきます。外資系ベンダーの場合、「本社にエスカレーションして優先対応します」って言われても、それで数日のタイムラグが生じるとも聞きますしね。
あと、mcframeの中身を見ていると「M品目」といった日本語表記の項目も多々あります。あ、これは品名マスターなんだなぁとすぐ推察がついて、構造が把握しやすいですね。これが全部英語だとチンプンカンプンかもしれません。

── パフォーマンス面でも満足していますか?

阿部氏:ええ、まったく問題ありません。当社に合わせてチューニングしてもらっていることもありますし、ライセンス費用の還元という位置付けでDB診断サービスを受けていることも寄与しているはずです。定期的な健康診断みたいなもので、必要に応じてSQL文を見直したり、新たにインデックスをはったりなどの手立てを打ってもらっています。
ともかく、私にしても葛西にしても元々ITが専門ではありません。日本の製造業には、同じように工場の現場担当者がシステムに携わっているケースも多いと思います。そうしたメンバーに対して、常にユーザ目線で問題をとらえて、アドバイスをしてくれる体制があるかどうかは、ベンダー選定における重要なポイントです。


工場設備との連携も視野にデータ活用を高度化する

── 今ではシステムは落ち着いているのですか。それとも機能をさらに強化しているのでしょうか。

阿部氏:2009年に導入した現行の3代目システムでいえば、ものを発注するとか、出来高を上げるとか基本的な機能に関してはかなり成熟しています。それ以外で、今までシステム化されていなかった間接業務の効率化に向けて、随時、機能を追加し続けています。来週も、新しい機能が一つ動きだすんですよ。

葛西氏:現在の業務で必要な機能はかなり使い込んでいますが、mcframeはまだ多くの機能を備えているので、当社にとっての今後の伸びしろは大きいと感じています。

── 例えば、どんな方向性での活用を考えていますか。

阿部氏:やはり、もっともっとデータを活用したいですね。その一環として、3年ほど前から、事故防止システムや品質管理システムとの、より密接な連携を模索し始めました。要は、mcframeに様々なデータを集約して、意思決定や経営判断に役立つ情報を発信していきたいんです。購買のあり方とか生産のあり方とかを大局的にとらえて、業務改革のヒントを得るようなイメージです。

山崎氏:その観点でいえば、生産設備からデータを直接吸い上げていく取り組み、いわゆる工場におけるIoT(モノのインターネット)の活用もテーマになってきますね。異常を検知して直ちに対策を講じたり、全体の稼働率を最適化すべく生産計画をダイナミックに見直したりするのに役立つテクノロジーが続々と出てきていますから。オフィスでパソコンを開いたら、その中に工場設備の状態がデジタルで再現されるような時代がすぐそこまで来ています。

鹿屋氏:これまでは、実績データをかき集めた上で来月はどうするかを人間の頭で考え判断していたわけです。しかし、これからは山崎が言った設備系のデータも含めて、多種多様で膨大なデータをハンドリングできるようになります。その際、競争優位に立つための経営スピードを実現するのに、いつまでも“人間の頭”だけで対処する時代ではないと思うのです。
例えばAI(人工知能)など、近い将来を予測し、意思決定に積極的に関わってくれるテクノロジーとしてITのポテンシャルは極めて大きい。単なるサポーターという位置付けではなく、パートナーと言えるレベルに進化して、経営と一体化してほしいとの期待値があります。

阿部氏:ビジネスエンジニアリングさんからは、IoTを含めて製造業のデジタルトランスフォーメーションを支えるようにmcframeを進化させると聞いているので、注目しているところです。

外部からの刺激を受ける上でユーザ会が貴重な場に

── mcframeには、導入した企業同士が活用ノウハウを共有したり、製品に対する要望を取りまとめたりするユーザ会の活動があります。将来展望に想いを巡らせる上でも役立ちそうですね。

葛西氏:ユーザ会にはこれまで何度も参加しました。日頃の実務対応から将来的な方策まで含め、とても貴重な情報源です。自社内でmcframeの使い方に悩んでいても埒があきません。その点、実際に使ったり、アクションを起こしたりした他のユーザの生の声、経験談といったものは、そのまま解決の糸口につながります。

阿部氏:例えば医薬品業界のレギュレーションをどう咀嚼するかというのは、なかなか難しい問題です。どのあたりにボーダーラインを置くべきか、同じ業界のユーザ同士で話をすると勘所が見えてくるのです。その法対応に合わせた導入の検証といったことでも経験がありませんでしたが、ユーザ会で知り合った先行企業をお訪ねして、実務上のポイントをアドバイスしてもらったこともありました。

鹿屋氏:外に出ることなく自分たちの事業に閉じこもっていると“井の中の蛙”状態に陥る危険性があります。ユーザ会に参加して、識者の話を聞いたり、他社の取り組みを目の当たりにすると、うちのやり方は本当にこれでいいのかという気付きが多々あるものです。自分たちを正しく進化させるためにも、もっともっと交流の場を企画してほしいですね。
我々も20年選手になりましたので、今までのご恩を、微力ながら還元していきたいとも思っています。

── mcframeやビジネスエンジニアリングさんに要望はありますか。

阿部氏:マスタ登録時の煩わしさを軽減してほしいとか、細かい点はいくつか思い当たりますが、何よりも、日本の製造業のきめ細やかさに応える製品を末永く供給し続けてほしいというのが一番の願いです。
先にも言いましたが、ビジネスエンジニアリングさんには、システム業者ではなく、私たちと同じ製造業の香りがプンプンと漂っていることが大きな特徴です。ものづくりへのこだわりや醍醐味、責任といったことを共有しながら、お互いに刺激を与え、お互いに成長できる関係をこれからも築いていくことができたら、ヘビーユーザとしてこれほど嬉しいことはありません。

企業紹介

導入企業概要

商号 キユーピー株式会社
設立 1919年11月
資本金 241億400万円
従業員数 連結 14,924人 単体 2,523人(2017年11月末日現在)
事業内容 「マヨネーズソース」その他一般ソース類の製造販売、各種瓶缶詰食料品その他各種食料品の製造販売、食品添加物の製造販売、医薬原料、医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、その他化学製品の製造販売、ほか

企業ウェブサイト

※本事例は2016年11月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。