初の海外工場で生販垂直立上げを実現 MCFrameとA.S.I.A.の連携で更に強固な基盤を築く
導入製品
※本サイト記載の製品名「A.S.I.A.」は掲載当時の名称であり、現在の製品名は「mcframe GA」となります。
「美しい生き方、美しい髪は人の心を豊かにします。豊かな心は文化を育みます。文化を大切にする社会は平和をもたらします。ミルボンはそう信じて事業展開を推進し、業界、ひいては国、地域に貢献します」そのようなポリシーを掲げタイで製品を製造しお客様へ提供するミルボンタイランド(以下、ミルボン)。海外初の生産拠点を最短期間で垂直立上げを可能としたのは同社の「お客様によい製品を届けたい」という情熱と、それを支えるシステムだ。
ミルボンは主にヘアサロンにプロ仕様のヘアカラー剤、ヘアケア剤、パーマ剤、スタイリング剤等の頭髪用化粧品を製造販売している企業。一見、普遍的なビジネスにみえながら、実は同社製品は非常に特徴的である。なぜなら、市場にないものを提供するという理念の下、社内では開発TAC(Target Authority Consumer)システムという手法で、常に現在のマーケットに存在しない(競合も存在しない)ハイエンドの新製品を開発、発売し続けているからだ。実に毎年、年間売上の約15%が新製品であり、簡単に真似ができないため、ビジネスのスピード感が競合他社とまるで異なる。
既存の製品ラインナップについても需要がある限り提供し続けており、現在ミルボン全体では販売アイテムが4,000種類を超える。しかしながらタイ法人では約50名という少数精鋭で製造から販売まで対応している。「少量多品種変量。生産管理システムありきで考えないと回せないビジネスです」とMCFrame導入を進めた中心人物である畠中統括マネジャーは語る。
元々2011年9月にはタイに製造拠点を決めた同社。しかしながら洪水の影響により、当初工場設立予定地から場所を変更。現在のアマタシティー(ラヨーン県)に決まったのが2011年12月。当初2013年4月の予定が顧客からの要請で2013年1月末には販売業務を先行して開始する必要があった。工場立上げの準備を進めながら、時間がない状況でMCFrameの導入を決定したのが2012年12月。実に2ヶ月間でシステムの導入から運用までこぎつけた形となる。
「当社の事業の場合、製造といっても組立ではなくプロセス系。そうなった場合に選択肢は3社に限られていました。更に費用を考えるとパッケージの導入が前提となり、その段階で候補は2社、短期間での立ち上げを考えるとタイ語で当社のスタッフにトレーニングやアフターフォローをしてくる体制がある会社。必然的にB-EN-Gさんということになりました」実際に他社のシステム・導入サポートも含めた提案内容と比較すると1/2以下の費用でのシステム導入が実現したという。
2013年12月には本製品の生産をスタートする事を決定していた同社。工場の設計から始まり、製造に関わるスタッフの採用、パイロット版の製造、原価管理に在庫管理。何もない状態(白紙)からのスタートであり、「とにかく本稼働までの期間がなかったので、製造の現場を動かすにはまずタイ工場では何が必要か?日本で対応可能で後に回してもよい事は何か?ということを常に考えて優先順位を決めてきました」と語るのは中西社長。
製造ラインの立上げ全般を進めた谷川工場長は、「日本は長い期間を経て既にいろいろな仕組みがありますが、タイには何もありませんでした。作業指示書がないのでドキュメントを一から起こす必要がありましたし、日本工場のような自動倉庫もないので、手作業で計算に慣れていないスタッフを使ってどうやって在庫管理をやってもらうのか仕組みを考える必要がありました」と言う。最も難易度が高かったのは、処方箋(製品に使われる原料の種類と必要量のレシピ)の管理。約400種類ある原料をどのスタッフが行っても間違いなく製造ラインに流せるようにすることと同時に、同社にとってはこのレシピが最重要機密情報であり情報漏えいを防ぐ必要があった。
経営陣が試行錯誤の後に行き着いた答えが、原料名を短くコード化する事。
日本では製造現場のスタッフが通常は秤量システムや自動倉庫などの高度なシステムを利用し、原料名も見ながら確認を行う。しかしながら、タイでは全ての原料をコードのみで管理しているため、現場のスタッフは番号のみを基準にして製造を行う。結果として①作業スタッフのミスが減る。②万が一、レシピの一部が漏れても外部の人だと内容が理解できない。③番号で管理するため、物品管理のシステムとも連携がとりやすくなった。入口の原料から出口の製品までがシームレスに管理できるようになり、棚卸し結果とも数が合うようになるというメリットが得られた。
「とにかく現場を早く立ち上げるために、最初からタイ人のスタッフに入ってもらいました。何度も何度も同じ説明の繰り返し。実際にやらせてみて、更にまた確認することの繰り返し。でもそのプロセスがあったからこそ私たちの意思が皆に伝わったのだと思います」と中西社長。畠中統括マネジャーは「一回の出張で説明したことが次の回では50%は忘れられている。その繰り返し。でもタイ人のスタッフの人達がみんな素直。相談・報告をしてくれるので、次のステップに一緒に進めた」と語る。
実際に生産管理と財務会計システムのオペレーションを行うスタッフに話を聞いてみた。
Monさんは生産計画、購買、在庫、輸入を担当しており、現在、最もMCFrameを使いこなしているスタッフの1人だ。以前は大手メーカーでシステムを使いながら業務を行っていた経験があり「今の仕事では、システムがプロセス系に対応しているので使いやすいです。材料の受け入れから、何を何処まで使ったのか、その結果どれだけの製品ができたのかということが追いかけやすいです。また、それを上流にたどっていくことができるのが良いところだと思います」「最初はMCFrameの入力項目が多くて戸惑いましたが、細かいところまで設定できるので、慣れるとステータスチェックがしやすいのも良いところだと思います」と語る。
会計周りを担当するAnnさんは、現在導入したA.S.I.A.をMCFrameと連携させながら使いこなすことに目下奮闘中だ。
その他にも、企業を運営していくためには様々なシステムを連結していく事が不可欠であり、貿易管理のTOSSシステムとMCFrameの連携運用を進めているKobさん。
主に生産に関わる事務を担当するKungさんは、タイ人スタッフの中でも日本語に堪能で、自身の実務だけでなく、タイ人スタッフと日本人の繋ぎ役として力を発揮している。
そして、システム導入時から関わり、全員をサポートするSomさんは「高い目標を設定して皆で一緒に成長していきたいです。私たちはワンチームです」と言う言葉が示すとおり、皆から慕われるマネジャーとしての存在感が際立つ。
とにかく明るい雰囲気で言葉が飛び交う。タイ工場はまだスタートしたばかりだが、彼女達が新しい世界を切り開いていくであろうと期待感で溢れている。
システムの利用範囲を更に拡大中で今後の課題としては、現在日本で行っている原価管理をタイ現地での運用に切り替えることであり、澤田サブマネジャーを中心に進められている。「既存のシステムとのギャップをどう埋めるか。もっとMCFrameの原価管理を研究していきたい」と意気込む。また、A.S.I.A.を活用した財務会計との連動も着々と進められている。
現在、タイ工場は全社の生産の1%を担っているが、5年後には10%、10年後には30%と海外向けの製品供給のキャパシティを増やしていくミッションを持っている。「きれいな環境で、きれいな心を持った人が作れば良いものが作れる。そう信じています。日本と同じ品質の製品を供給するのが前提。今回実際に製品を出荷することができて、お客様の反応を伺いながらMade in Thai の品質に関する不安が払拭できました。Made by Milbon がスタートしたということだと思います」と中西社長。同時に急速に業務を拡大する同社を支えるシステムとしてMCFrame、A.S.I.A.にも引き続き高い期待が寄せられている。
導入支援メッセージ
今回のプロジェクトは、お客様の販売活動開始にあわせてシステムを稼動する必要がありました。そのため、ミルボン様と『2ヵ月後に業務が行えるようにシステムを稼動させる』というゴールを共有してシステムを導入できたことが一番のポイントだと思っています。結果的に、ミルボン様との共同作業で、業務シナリオ、利用機能を絞り込み、シンプルなシステム利用を実現することができました。また、通常はオペレーションマニュアルを準備してトレーニングする手順を踏むのですが、短期立ち上げのために、トレーニングを実施しながら、お客様と共同でオペレーションマニュアルを作成するなど、導入作業をコンパクトにまとめるように努めました。このように、通常であれ導入期間に少なくとも4カ月はかかるところですが、お客様と一緒に考え、綿密にコミュニケーションを取り合うことにより、お客様が希望されていた2ヶ月での導入を実現することができました。早い時点でお客様と信頼関係を築けたことをとても嬉しく思っています。
ミルボン様のプロジェクトメンバーの方々は「ワンチーム」の意識が高く、お互いサポートし合い、プロジェクト室はいつも明るい雰囲気でした。このような素晴らしいプロジェクトに参画できたことを大変感謝しています。今後もミルボン様のタイでのビジネス拡大をサポートできるMCFrameであるようご支援していく所存です。
ミルボンタイランドは、1960年に業務用ヘア化粧品の専業メーカーとして設立した株式会社ミルボンの海外初の生産拠点。ミルボンは、1967年、パーマネント用ロッド(ミンクロッド)を開発し、このロッドとパーマ剤をセットにした販売をきっかけに、コールドパーマ剤メーカーとしての知名度が向上。さらに、1985年フランス・ウジェーヌ社とヘアカラー(染毛剤)の業務提携を行い、ヘアカラー分野へも参入。そして、1996年6月業界で初めて株式を店頭公開し、創業以来35年で業務用ヘア化粧品の総合メーカーとして、現在は国内トップレベルの地位を確立している。
商号 | MILBON (THAILAND) CO., LTD. |
---|---|
設立 | 2011年12月 |
拠点 | タイ国ラヨーン県アマタシティー市 |
商号 | 株式会社ミルボン |
設立 | 1960年7月 |
資本金 | 20億円 |
事業内容 | ヘアカラー剤、ヘアスタイリング剤、パーマ剤、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、薬用発毛促進剤、パーマ用器具類の製造および販売(国内・輸出) |
※本事例は2015年7月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。
Copyright(C) Business Engineering Corporation. All rights reserved.