照明器具や自動車関連、建築金物分野などの製品に組み込まれる各種金属プレス部品を製造しているShowa Create Cebu, Inc.。同社は10年あまりの間、膨大な種類の紙の帳票を運用していたが、近年、紙帳票の運用に関するさまざまな課題を認識し、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の「mcframe RAKU-PAD」(以下、RAKU-PAD)を導入。同製品を製造現場や品質管理部門などへ展開し、現場の業務効率化とペーパーレス化を進めている。
RAKU-PADのトレーニングを受けることで、同ツールの操作習熟だけでなく業務にどのように適用していくかのイメージを膨らませることができた。既存の紙帳票のRAKU-PADへの移行は、最初に導入パートナーが作成したものを除き自社内で行うことができ、社内での導入・展開を滞りなく進行している。
大阪府富田林市に本社を置く昭和スプリング株式会社は、金属プレス加工による部品製造を主に手がけるメーカーだ。同社が2013年にフィリピンに設立した現地法人が、Showa Create Cebuである。同社のGeneral Managerである芳尾宗幸氏は「当初は組立工場としてスタートしましたが、現在ではプレス加工やテンパー熱処理などを含め、部品の製造から手がけています」と説明する。
日本式の生産ノウハウをShowa Create Cebuに定着させていく過程で使われたのが、紙の帳票である。Showa Create Cebuでは、昭和スプリングが使っていた帳票を英訳して活用していた。
「使っている帳票の種類は相当な数にのぼり、生産に関するものだけでも20種類以上あります。特に、生産や品質管理の帳票は毎日記入するものが多く、印刷する用紙や帳票の管理にまつわるコストは相当なものでした」と、芳尾氏は振り返る。
紙の帳票には紛失や誤記入、読み間違いといったリスクがある。さらに、保管されている帳票の中から数値を拾い出して集計したり、過去データをトレースしたりするには膨大な手間と時間がかかるが、当時はこうした現状を課題としては認識していなかった。
その認識を変えるきっかけとなったのは、同じセブ島を拠点に活動する日系IT企業、N-PAX Cebu Corporation(以下、N-PAX)だ。同社は2023年、各種IT関連サービスの提案活動の一環としてヒアリングを実施。N-PAXの大窪泰輝氏は、当時の状況を「ヒアリングの中で、Showa Create Cebuには紙帳票の課題があると気づき、mcframe RAKU-PADを提案することにしました」と語る。
N-PAXのヒアリングと提案により、芳尾氏は紙帳票の課題を認識。元々iPadの活用を検討していたこともあり、RAKU-PADに関する詳しい説明を受けて、改善が期待できると考えた。
こうして導入されたRAKU-PADは、まず製造部門にて利用された。最初は、数ある帳票のうち数種類をN-PAXがデジタル化。実際に利用する製造現場の社員やIT担当者が、利用の前にN-PAXによるトレーニングを受けている。
ユーザーの1人であるProcess EngineerのJoshua Jesson Aninon氏は、RAKU-PADに触れた感想を次のように語る。
「当初は、RAKU-PADを自分たちの業務プロセスにどう組み込んでいけばよいかがわからず課題を感じました。しかし、トレーニングを通してデータの保管や活用、トレーサビリティなどに役立てられそうだと気づくことができました」
RAKU-PADは、製造部門に続いて保守部門や品質管理部門でも利用されるようになった。帳票のデジタル化は、最初にN-PAXが手がけたものを除き、トレーニングを受けたShowa Create CebuのIT/Production Documentation OfficerのJeff Ralph Sisles氏が行っている。
「トレーニングのおかげで帳票作成がすぐにできるようになりました。帳票をつくるにあたっては、選択肢が決まっているものはドロップダウンやラジオボタンで簡単に選べるようにするなど工夫しています。そのほか、紙の帳票で重複や無駄があると感じた箇所は、帳票作成の際に関係者と相談して改めるようにしています」(Sisles氏)
2024年6月時点では、すでに約40種の帳票がRAKU-PADへ移行されている。このように社員たちがRAKU-PADを使いこなし、利用を拡大していく様子を見ている芳尾氏は、導入効果について以下のように語っている。
「RAKU-PADを使えば入力業務に手間がかからず、日付や選択肢なも容どの項目はほぼミスなく入力できます。加えて、過去のデータの確認や集計易に行えます。トータルでみると、RAKU-PADの導入には多くの効果があると言えるでしょう」
芳尾氏は、これまで10年以上に渡ってShowa Create Cebuにおける唯一の日本人として勤めてきたが、最近新たにAssistant General Managerとして上野晋氏が加わった。Showa Create Cebuのマネージャー交替も視野に入ってきた中で、システム化についての考え方も変わってきたと語る。
「次のマネージャーにきちんと引き継げるよう、RAKU-PADのようなツールやシステムなどを管理者として整えることも重要だと認識しました。まずは、移行可能な帳票は全てRAKU-PADに移行していくつもりです」(芳尾氏)
Showa Create CebuではRAKU-PADの利用拡大がますます進んできており、芳尾氏は今後、その導入効果を定量的に評価していきたいと考えている。
「昭和スプリング側には、まだRAKU-PADのような現場の業務改善ツールはなく、当社のデジタル化推進に興味を持っている人が少なくないようです。そのため、もしコストダウンや労働時間短縮、業務効率向上といった効果をデータとして示せるようになれば、その情報を昭和スプリングにも共有してフィリピンから日本本社へのシステムの横展開ができるのではないかと考えています」
フィリピン・セブ島の金属部品メーカー。昭和スプリング株式会社のフィリピン現地法人として設立された。さまざまな製品に組み込まれる金属プレス部品の製造(プレス加工、テンパ処理、溶接、組立など)を手がけており、特に板バネの加工に強みを持つ。
商号 | Showa Create Cebu, Inc. |
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創立 | 2013年10月 |
資本金 | 1億円 |
従業員数 | 76名(パートタイム含む) |
事業内容 | 金属プレス部品製造 |
※本事例は2024年6月現在の内容です。
※mcframe RAKU-PAD Recordingはシムトップス社製品“i-Reporter”のOEM版
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