業務を標準化しノウハウをシステム化することにより、作業担当を分散化させて現場タイ人スタッフの活性化を実現
※本サイト記載の製品名「A.S.I.A.」は掲載当時の名称であり、現在の製品名は「mcframe GA」となります。
業務を標準化して、個人に蓄積していた業務ノウハウをシステムで共通化することにより生産管理業務の「しくみ」化を実現
日本人が専門で実施していた業務を現場スタッフへ移管し、現場タイ人スタッフの能力をより活かしたモノづくり体制を構築
現場の在庫及び工程負荷情報に基づき、顧客の問い合わせに対する迅速な回答を実現
親会社の監査法人から在庫評価、原価計算といった財務報告内容に対する指摘を受けたため基幹システムの見直しを始めた。同じ時期、新たにIPO(International Purchasing Office)認可の取得や、国内市場拡大に向けた営業部門を設立するなどの新たな業務を開始することもあり、基幹システム全体の再構築を決められました。
今回の基幹システムの再構築では、SOE様の全製品を対象とする生産管理、販売管理、会計、原価管理システムとして、MCFrame CS 生産管理、MCFrame CS 原価管理 A.S.I.A. GPをご選択いただき、要件定義から始めて約9ヶ月でシステムを本稼動されました。
コスト、現地での安心サポート、パッケージ完成度のトータルバランス
最初、現状行っている業務をそのままシステムに乗せたいとの思いから自社開発を考えていました。ただし、社内で議論を進めていく中で、実際にシステムを導入する場合、日常の仕事をしながら、一から要件を全部説明して開発していくことは難しいと判断しました。そして議論の結果、パッケージに業務を乗せてしまった方が早く間違いがないと考え、パッケージ導入に方針を切り替えました。
パッケージ選定に当たり大事だと考えたポイントは3点ありました。1つ目が、導入コストが安いこと。2つ目が、タイ現地で永続的なサポートが受けられること。そして最後が、パッケージの完成度でした。最終的には、価格は高いが、支援体制の信頼度、パッケージの完成度の高さを評価し、トータルバランスが最も優れているMCFrame、A.S.I.A. GPを選定しました。(小平様)
業務を行う上で必要な機能を重視
パッケージを選定するにあたり、生産効率を高め、顧客の要望に迅速に応えるといった社内で目指している姿から、必要な機能を事前に定義しました。そのため、社内で必要と考えた機能がパッケージに含まれているかも重要な基準でした。
第1に、タイの投資優遇制度、BOI(The Board of Investment of Thailand)が求めている管理ができるかどうかが重要なポイントでした。それ以外の機能としては、品質管理の視点から製品のロットトレース、在庫や生産現場の状況を踏まえてお客様の注文に対する現場の対応力の確認する負荷計算、在庫の数量、場所、BOI関連品などの詳細な在庫管理、製品1個当たりの実際原価計算といった機能が重要と考えていました。そのため、これらの必要な機能を満たしているパッケージ製品としてMCFrameを選定しました。(小椋様)
IT部門がない現場への充実なサポート
工場にはシステム部隊がなく、システム導入を経験したことがある人が少ない状況でした。そのため、システム導入時、あるいはシステム稼働後にどのように支援サポートしてくれるかも重要な要素でした。そのため、システムにあまり詳しくないメンバーのことも考慮して、導入時にはフローチャートを作成したり、多言語で教育マニュアルを作成するといった充実したサポートを提案して頂いたこともポイントになりました。(今福様)
タイ人スタッフの意見も加味
また、社内では実際のオペレーションはタイ人スタッフが中心で行うため、「日本人がいいといったものを押し付けては成功しない」とディスカッションをしていました。そのため、選考の最終段階では、実際にタイ人スタッフにもパッケージを見てもらい、タイ人スタッフの評価を聞き、選考過程に巻き込みながらMCFrame、A.S.I.A. GPを選定していきました。(小平様)
親会社の支援を活用しながらプロジェクト体制を構築
SOEのプロジェクトは、全員が現業と兼任という体制で、日本人スタッフが4名、タイ人スタッフが7名、そして親会社である春日電機株式会社様から2名の支援を受けながらプロジェクトを進めていきました。本社からの支援は、業務設計、要件定義からプロトタイプ作成のフェーズまでは毎月2週間、その後マスタ設定、移行データ整備のフェーズでは2ヶ月1週間の頻度で支援に入ってもらいました。
業務設計や要件定義、マスタの準備等のプロジェクト活動はSOEメンバーがリードして進めていきました。一方、親会社からの支援では、親会社との業務連携などを考慮した親会社とSOE要求のバランス検討の支援や、プロジェクト全体の進捗や開発対象の検討、課題解決といったことをプロジェクトから一歩引いた視点で見てもらい、適時アドバイスを頂いていました。(小平様)
初めに設定したプロジェクト方針を大切に
プロジェクトを始めるに当たり、大きく二つの方針を設定した。1つ目がパッケージの標準機能をなるべく使って導入すること。2つ目が、日本人スタッフとタイ人スタッフの役割を明確にして、日本人が意思決定を担当することでした。また、日本人とタイ人の情報ギャップが生じることを避けるため、日本人が議論をして決めたことを伝える打合せをできるだけ持つようにしました。結果としてはたまに情報ギャップが発生することもありましたが、全体的にはスムーズに導入をすることができました。(小椋様)
マスタデータ作成では苦労
プロジェクトで一番苦労したことは、マスタデータの作成でした。マスタデータ作成で必要な情報がエクセルファイルなどで社内に散らばっていたこともあり、情報をかき集めスクリーニングして整理する作業に時間を費やしました。また、一部の作業をタイ人へ依頼することもありましたが、説明したはずのマスタデータ作成方法が正しく伝わらず、何度も修正をしなければいけない状況が発生しました。(今福様)
情報が統合化されたことにより、業務レベル向上
従来のエクセルファイルを利用したやり方では、生産指示情報、生産実績情報がバラバラに存在していました。そのため、発注情報のステータスや製造状況などをたどっていくのは大変な作業でした。しかし、MCFrameを利用し始めてから、データが1箇所にあるため、過去データを含め直ぐに状況を確認することが可能になった。それと、バラバラに存在していたマスタデータも統合されたため、1箇所を直せばすべてが変更されるようになった。その結果、作業の効率が上がり、また更新忘れなどの人的ミスが無くなりました。(今福様)
作業担当の分散化による現場の活性化
従来と比較して、MCFrameを利用開始してから少しずつ作業分担が変わり始めています。今までは発注計画や生産計画などは日本人の頭の中で計算していました。現在はマスタを整備して実棚と理論在庫の数が合うことによって、システムを使ってスケジュールを組めるようになってきた。そのため、急な注文が来た場合、現状の在庫で生産できるかどうか、お客様の納期に間に合うかどうか、システムを利用してある程度の精度で答えることができるようになってきています。そのため今後、タイ人スタッフのオペレーションの習熟度が上がっていくとともに、日本人が中心で行ってきた作業も徐々に現場に分担できるようにしていく予定です。(小椋様)
「使いこなす」レベルへ
システム利用を始めたばかりのため、まだまだ「使いこなす」レベルまで達していないと考えています。業績を管理する立場としては、自動的にA.S.I.A. GPから出力される管理帳票を利用して迅速に業績管理したいと考えていますが、現状ではシステムに入力されたデータの確認、修正作業が発生することがあります。しかし今後は、ユーザのシステム習熟度を「使いこなす」レベルに高め、月締後2,3日以内にMCFrameからA.S.I.A. GPへ正確な月次締め情報を連携し、それに基づき迅速な会社業績の分析ができるようにしていきたいと考えています。(小平様)
コスト競争力を備えた組織に
親会社側との業務連携を強化し、従来、電話やメールのやり取りで対応しているところをお互い直接確認できるようにする、一歩踏み込んだ連携を実現していきたいと考えています。
具体的には、親会社の生産計画をSOEの注文データとして自動的に取り込み、SOE側で生産計画を作成。また、本社側からは、SOE側の生産計画や進捗を確認できるようにすることを計画しています。また、業務の自動化、タイ人スタッフへの作業担当の分散化を推進し、日本人駐在員の負荷を減らし、コスト競争力を強化するためにも最終的には人数を減らしていきたいと考えています。(小平様)
スピード経営によるタイ国内、アセアン市場の拡大
今後はタイ国内市場、アセアン市場に打って出て市場拡大を計画しています。そのためには、納期が厳しい中での迅速な対応、地元企業と戦うための詳細な原価分析などの機能が必要になってきます。コストでも勝てる、品質も勝てる、スピードでも勝てる。そのために必要なデータが直ぐに入手できるようシステムを活用していきたいと考えています。(小平様)
SIAM ORIENT ELECTRIC CO., LTD.(SOE)様は、親会社である春日電機株式会社様の製品を生産する拠点として1988年に設立されました。主な製品は、工業用端子台、電磁開閉器、ホイスト用押しボタン開閉器といった機械や電気設備を支える産業用電機部品を提供されています。東京スカイツリーを彩るLED照明装置の電気設備部品としても採用され、堅牢かつコストメリットのある製品は、日本のみならず海外においても幅広い地域で利用されています。
所在地 | 700/73 Moo5 Amata Nakorn Industrial Estate Bangna-Trad Rd,Km57, Tumbol KlongLumhru Amphru Muang, Chonburi 20000 THAILAND |
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設立 | 1988年6月 |
資本金 | 1億バーツ |
売上高 | 257百万バーツ(2011) |
事業内容 | 電磁開閉器、工業用端子台、動力用開閉器、ホイスト用押ボタン開閉器の製造及び販売 |
本社 | 春日電機株式会社 180-0006 東京都武蔵野市中町1-20-8 三井生命三鷹ビル |
※本事例は2012年9月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。
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