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鈴与株式会社

導入事例 | 鈴与株式会社 | mcframe

導入事例 | 鈴与株式会社 | mcframe

全社的な紙帳票の電子化でデータ活用を促進
月間で370時間の作業時間と5,600枚の紙を削減

  • 紙の消費量の削減
  • 紙帳票に伴う作業量の削減
  • 現場での入力の効率化

導入製品

事例ダイジェスト

大規模なネットワークを生かした物流サービスを国内外で展開する鈴与では、各物流拠点の現場における膨大な種類の紙帳票が課題となっていた。これを電子化して業務効率化を促進するべく、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の「mcframe RAKU-PAD」を導入。注力領域であったヒヤリハット報告業務を中心に、数々の帳票を電子化することで、紙の消費量はもちろん紙帳票に伴う作業量の削減やデータを生かした業務改善のPDCAの体制を強化した。

導入前の課題
  • 物流拠点では紙帳票ベースで業務が行われており、記入作業の負荷が高かった
  • 紙帳票ではデータの集計や分析がタイムリーにできず、改善の対策を講じにくかった
  • 全国の拠点で多種多様な帳票が使われていたため、全社的な電子化が難しかった
導入後の効果
  • 帳票をタブレットで電子化し、作業時間(370時間)と紙の消費量(5,600枚)削減を実現した
  • 全社的なデータ集計・統合・分析が可能になり、業務改善のPDCAを促進した
  • Excel感覚で利用できるツールにより、現場独自で電子帳票が作成できるようになった
導入のポイント

荷主や品物ごとに異なる要件に合わせ多種多様な帳票を現場で使っている鈴与ではmcframe RAKU-PADを導入し、その電子化に着手。現場レベルで帳票を作れることや、紙帳票によって生じる非効率な作業時間を削減できるだけでなく、項目の工夫などにより入力の迅速化や標準化を実現できることなどが導入のポイントとなった。

導入支援
ビジネスエンジニアリング株式会社

導入事例インタビュー

現場スタッフが扱いやすいツールでデジタル化を加速
業務効率化にとどまらないデータ活用も視野に


2世紀以上の歴史の中で変革を続けてきた物流企業
鈴与株式会社
ロジスティクス事業本部 3PL事業推進室 室長 川島 賢 氏
鈴与株式会社
ロジスティクス事業本部 3PL事業推進室
室長
川島 賢 氏

物流を中心に多彩な事業を手掛け、グループ全体で約140の企業からなる鈴与グループ。その中核を成すのが、鈴与株式会社(以下、鈴与)だ。廻船問屋として創業した1801年から今日に至るまで、物流のあり方が大きく変わる中で常に時代のニーズを捉えて事業を成長させ、またさまざまな事業領域に進出しては分社化するなどしてグループを拡大、同時に地域の発展にも貢献してきた。

21世紀の今では、消費者ニーズの多様化・高度化や荷主企業のロジスティクスに関する意識の変化などから、物流サービスにもこれまで以上の高い水準が求められるようになり、鈴与自身も、そうした変化に対応して変革を続けている。

特に近年、物流業界の中で注目されているのが、単に運送や倉庫、荷役、通関などの業務を請け負うのでなく、顧客が抱える課題に合わせたロジスティクスサービスをワンストップで提供する、3PL(3rd Party Logistics)サービスだ。鈴与では3PL事業において、雑貨、食品、化粧品、医療機器、自動車部品など多彩な業種にロジスティクスサービスを提供、売上高では全社の3分の1ほどを占める大きな柱に成長しているという。

ペーパーレス化による効率化が課題であった物流現場

近年の日本の物流業界には、もう1つ大きな課題がある。それは、少子高齢化が進んだことによる労働人口の減少だ。多くの現場で労働力不足の懸念が強まり、効率化が急務となっている。この課題に対し鈴与では、今まで以上に積極的なIT活用を進め、業務効率化を進めてきた。その1つが紙の書類や帳票を廃止するペーパーレス化だ。同社のロジスティクス事業本部 3PL 事業推進室 室長の川島賢氏は次のように説明する。

「倉庫をはじめとする物流現場では、非常に膨大な紙が使われてきました。物流センター内のピッキング指示書から、品物の検査・点検表、現場の安全管理のためのヒヤリハット記録まで、その枚数は、全部合わせると年間で1,500万枚にもなっていました」

紙帳票を運用するには、フォームを印刷し、現場で記入、その内容を事務室でシステムへ入力し、ファイリング・保管するといった一連の作業が発生する。ロジスティクス事業本部全体で月間10万枚の紙帳票が使われ、これが非効率な業務の大きな原因となっていた。

こうした帳票をペーパーレス化できれば業務のスピードアップや生産性向上が期待できる。しかし、物流現場ではそれぞれにチェックすべき項目が異なるため、どうしても多彩な形式の帳票が必要になる。加えて、物流センターなどの現場単位で、それぞれ独自に帳票を改良して使用されているため、帳票の種類も容易に把握できないほど増えていた。

「基幹業務を担うコアシステムの部分はペーパーレス化できても、ほとんどの付帯業務についてはなかなか難しいのが現実です。膨大な種類の帳票1つひとつをシステム化することはこれまで困難でした。これを仮にWebアプリケーション化してタブレット端末などで入力させようとしても、システム開発に莫大な工数がかかり現実的ではありません」(川島氏)


ヒヤリハット報告書をRAKU-PADでデジタル化し、作業量と紙の消費量を削減
現場レベルで帳票を作成でき入力から分析まで行える点を評価

紙帳票の課題に対する解決策を探る中で、川島氏は、物流業界向けの展示会場で、帳票をデジタル化しiPad上で入力から分析まで行えるソリューションである「mcframe RAKU-PAD」(以下、RAKU-PAD)と出会う。川島氏はそのときの印象をこう話す。

「当社では基幹業務システムにすでにiPadを使っているので、アプリを入れればすぐ導入できます。誰でも迷わず使えるユーザーインターフェースで現場からリアルタイムに入力でき、また写真の取り込みや報告・確認のワークフロー的な使い方まで可能です。まさに私たちが抱えていた課題を一気に解決するツールだと感じました」

特に大きなポイントとなったのがその操作性だ。「RAKU-PADは、Excelを扱うのと似たような感覚で現場の人間でも簡単に帳票を作成でき、データの可視化を簡単に行える点も魅力的でした」と川島氏は評価する。こうして鈴与ではRAKU-PADの採用を決定し、2018年6月から運用を開始した。川島氏は、これまでの紙帳票の運用状況を踏まえ、RAKU-PADの導入に際しては、迅速な展開を意識したという。

「全物流センターに対する現状把握から始めると、展開完了までに時間がかかってしまいます。抜本的なデジタル化を行うために、まず展開することを優先し、最初の帳票は最初に本部でフレームを決め、事業本部の24支店、約80の物流センターすべてに対してカスタマイズせず同じ仕組みで一斉に展開するようにしました」(川島氏)

ヒヤリハット報告書から利用開始
フォームを工夫しデータ標準化を促進

RAKU-PADを最初に適用したのは、鈴与が特に課題を感じていたヒヤリハット報告書だ。これも、現場で手書きした書類で報告・管理したり、事務所でデータ入力したりする業務が行われ、その作業負荷が課題となっていた。

これを電子化するにあたっては、フォーマットにも工夫を施したという。現場写真の取り込みを行えるようにしたほか、入力の迅速化や標準化を図って多くの項目をプルダウンなどの選択式に設定した。例えば発生日時を記入する際、1分刻みなのか、10分刻みなのか迷わないよう、電子帳票では、選択式にしてわかりやすくし、得られる情報のバラつきを防止している。同様に、発生場所の「物流センター名」「階」、報告者の経験年数、荷姿なども選択式で入力するようにした。こうした工夫は、入力の迅速化だけでなく、入力された情報のゆれを防ぎ、集計の精度の向上にも寄与している。

RAKU-PADの導入は、情報をより有効に活用できるようになったことが大きな効果だ。川島氏は、「紙の帳票を使っていた頃は、データの集計や分析、それをどのように活用するかは、決まったプロセスがなく、拠点に委ねられていました。つまりPDCAの“Check”や“Action”が不十分だったのです」と、以前の課題を振り返る。しかし、RAKU-PADでは、入力・作成された報告書データのすべてが本部のサーバーにリアルタイムに集約され、集計や検索もできるため、データ活用を促進している。

「例えば、倉庫のレイアウトに問題があったとしても、これは割と頻繁に変わることが多いため、後から気づいたところで対策になりません。それに対しRAKU-PADでは、縦軸、横軸の分析軸を柔軟に設定でき、データの集計・分析をリアルタイムに行えるために、プロアクティブな対策につなげられるのです」

作業時間は月間370時間、
紙の消費量は月間5,600枚を削減
鈴与株式会社 ロジスティクス事業本部 3PL事業推進室 3PL事業推進チーム 古賀 洋行 氏
鈴与株式会社
ロジスティクス事業本部
3PL事業推進室 3PL事業推進チーム
古賀 洋行 氏

紙帳票からRAKU-PADに移行したヒヤリハット報告書は、これまで月間1,500枚以上の紙を消費し、月間50時間ほどの作業量を伴っていたが、それらはいずれもゼロになり大幅な効果をもたらしている。加えて川島氏が指摘したように、紙では不可能だった高度な情報活用にもつながっている。

「集計結果から浮き彫りになった危険箇所に対策を施すなどの形で、入力したデータが役立つことを現場の人たちにも納得してもらえました。RAKU-PADをまずヒヤリハット報告に適用したことで、デジタル化のメリットを全拠点に広めることに役立ちました」(川島氏)

各拠点に対して一斉展開したRAKU-PADをさらに活用してもらうため、3PL事業推進室では各拠点にスタッフを派遣して、現場レベルで行われている帳票の電子化の作成・活用支援も行っている。その一人である3PL事業推進室3PL事業推進チームの古賀洋行氏は、以下のように説明している。

「各地の拠点を巡りながら、現場の人たちとともに電子帳票を作ってきました。ヒヤリハットの例や他の拠点での活用例などを元に、また現場からアイデアを募り、要望を取り入れてディスカッションしながら、これまでに80件の帳票をRAKU-PADでデジタル化しています。これらを通じて、作業時間は月間370時間、紙の消費量は月間5,600枚を削減できました」

またRAKU-PADの外部データ連携機能も効率化に役立っている。具体的には、基幹系業務システムのデータや、顧客が提供するExcelデータなどを取り込んで、帳票を開いたときにコンテナ番号や品物のシリアル番号などが自動で入力されるようにしている。

「機能的な面で現場から喜ばれているのは、計算式を使えることですね。ExcelのようにIF関数やLOOKUP関数を使うことができ、入力されたデータを別のところに引用できるため、作業の効率化につながっています。例えば、ある支店でロール紙製品の入荷検品時に使用しているダメージチェックリストでは、帳票フォームの2ページ目に、計算式による結果データを集約し、そのままPDF出力して顧客に提出する報告書ができるよう工夫しました」(古賀氏)

チェックリスト
ロール紙のダメージチェック帳票。データ連携の機能を活用し、作業時間も紙の消費量も半分に削減することができた
対社外に向けたデータ活用も視野に

こうした古賀氏らの活動は、すでに対象となる全拠点で完了し、今では現場に主導権を委ね、3PL事業推進室はそのサポートを行っているという。

「現場の人間が電子帳票を気軽に作れることも、RAKU-PADの良いところです。我々本部があれこれと口や手を出すのでなく、現場が自由に作って活用できるようにしています。3PL事業推進室でも、複数のスタッフがちょっとした調べ物をしつつ情報を共有するようなときにも、気軽にRAKU-PADを使っています」(川島氏)

さらに、鈴与の社内でRAKU-PADの利用が広がるにつれ、単なる業務効率化に留まらない高度な活用も検討されるようになってきたという。川島氏は今後について次のように話す。

「電子帳票を通じてさまざまなデータが集計されていくことで、今後はそれを新たな付加価値として顧客に提供するということも考えられます。今はデータがお金を生み出す時代です。物流の現場を担う当社ならではの情報があるはずで、基幹システムに吸い上げられない部分を吸い上げられるのがRAKU-PADです。そのデータが、きっと当社の新たな強みになるのではないかと思います」

企業紹介

導入企業概要

江戸時代の清水港の廻船問屋として創業し、2世紀以上の歴史を持つ物流企業。現場力・解決力・展開力の3つを強みとし、全国約140拠点・延床面積85万平米に及ぶ国内物流企業トップクラスの物流センター・ネットワークを展開。

海外でも12カ国に現地法人を設置するほかUnited Parcel Service 社とも提携し、各地域の事情を踏まえ顧客の物流品質向上にきめ細かなサポートを提供する。

商号 鈴与株式会社
創業 1801年(享和元年)
設立 1936年
資本金 10億円
従業員数 1,100名(2018年9月30日現在)
事業内容 港湾・海上・内航・自動車などの運送事業、倉
庫業や通関業、埠頭業など

企業ウェブサイト

※本事例は2019年8月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。