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帝国通信工業株式会社

導入事例 | 帝国通信工業株式会社 | mcframe

導入事例 | 帝国通信工業株式会社 | mcframe

洪水を乗り越えタイ拠点を再強化 MCFrameで在庫減・不良減・品質向上

  • グローバル事例
  • 税恩典管理(BOI)
  • 生産最適化

※本サイト記載の製品名「A.S.I.A.」は掲載当時の名称であり、現在の製品名は「mcframe GA」となります。

事例ダイジェスト

前面操作ブロック・可変抵抗器・プラスチック成型品、および金型等を製造している帝国通信工業。同社は、2012年タイのアユタヤハイテク工業団地に、プラスチック成型品事業とハイテク電子部品事業を統合し、中間品の製造から完成品の組み立てまでを一貫生産する体制を構築。同時に、一貫生産体制を支える情報システムとしてMCFrame CSとA.S.I.A. GPを基幹システムとして導入。自社SEがMCFrameの導入トレーニング受講後、自社で導入を行った。情報共有による業務効率化、一貫生産によるコスト削減、リードタイム短縮、品質向上、事業統合効果をいかんなく発揮している。タイでの導入を基点に本社を含むグローバル展開を行い、競争力の高い世界最適地生産供給ができるマネジメントを狙っている。

導入前の課題
  • 拠点ごとのシステム導入による管理単位体制の個別化
  • 最適地生産供給や連結会計などのグループ統合
  • 日本で運用している基幹システム(メインフレーム)の限界とサポート切れ
導入後の効果
  • 新たなシステム導入によるグローバル最適地生産体制の構築
  • 国内事業と輸出事業のBOI対応のプロジェクト管理が容易
  • 生産管理情報の精度向上による最適在庫とリードタイム短縮
  • データの見えるかによる業務スピードの向上
導入のポイント
  • 業務とITを熟知している自社SE(システムエンジニア)による短期導入
  • 海外拠点から先に新システムを導入し、その後日本の既存システムに展開
導入パートナー
自社導入

導入事例インタビュー

導入のきっかけ
帝国通信工業株式会社様の製品群
帝国通信工業株式会社様の製品群

海外拠点個別のシステム運用では利益が出ない

グローバル化が加速する中、連結決算と共に、IFRS、移転価格税制等、グローバルでの会計基準や税制への対応が必須であり、海外各社でのこれらへの個別対応は難しく、システム統合をする必要に迫られていた。「現地でマネジメントしてもらっても最後に連結会計を行う必要があり、経理情報をグローバルに把握管理していく必要性がありました。」(執行役員 情報システム管掌 篠原優一氏)。また、材料も成型品の材料は袋単位で買って使う。成形は色を変えるだけで、パージ作業(前の材料を排出し洗浄する作業)が発生し、金型変更を伴う場合は多くの段取り替え工数がかかる。段取り回数が増えるほど、稼働率の低下のみならず材料歩留りも悪化する。実際、材料在庫や材料費の管理という点では、小ロット生産になれば、標準より材料の使用量が増え、残っているはずの在庫がないということも発生する。実地棚卸を精緻に管理しておかないと材料在庫の管理のみならず、適切な材料費の算出、適切な経理処理ができないことになる。そういったモノづくり全体のバリューチェーンの事情からも、基幹システムを全世界で統合し数を正確に把握しようということになった。

お客様からますます短納期化を求められる中、発注書が出る前に、先行して生産をしなければならないケースも多い。そのため、納入先毎の個別仕様別の完成品在庫数、仕様別の仕掛品在庫数、標準生産リードタイムと実績管理等を見ていかないと利益が出ない。「お金をいつモノに変えるかというタイミングとモノを出来るだけ早期にお金に換えることが重要です。そのタイミングの見極めにシステムが有効です。材料/素材も正確に在庫の数が分からなければ、キャッシュフロー経営ができません。」(執行役員 情報システム管掌 篠原優一氏)。

日本に合ったボトムアップ型の思想と導入しやすさを評価

「欧米産のERPシステムはMBAの経営手法を前提としたトップダウンマネジメントが前提にあったので、我々日本のモノづくり企業にはしっくりきませんでした。当社は現場の改善提案を積み上げマネジメントする日本型製造業の典型です。そのため、国産パッケージに絞り、その中でもコストや品質等をきめ細かく管理できる点でMCFrameを評価しました。また、主力はアジア拠点ですので、アジアでの実績やアジア拠点と連携しやすい会計システムという意味でA.S.I.A.を選択しました。」(執行役員 情報システム管掌 篠原優一氏)。「自社のSEの力で導入するので導入のし易さも重要です。MCFrameは、フレームワークベースのアーキテクチャであり、導入後の拡張性やカスタマイズの柔軟性を評価しました。」(情報システム室 室長 増田裕一氏)

「MCFrameを選定した理由は、完全なパッケージではなくカスタマイズ性が高い点と海外でのサポート体制が充実しているという点です。また、業務をMCFrameの基本的機能に出来るだけ合わせる方針を採ったため、MCFrameが想定している業務プロセスが当社の仕事内容とマッチしている点がポイントでした。部品から組み立てまでのプロセスの中、工程ごとの収益性が見える点もとても使い勝手が良いです。」(タイ マネジメント/ITグループ 瓶子真樹氏)

導入の経緯

執行役員 情報システム管掌 篠原 優一 氏、情報システム室 室長 増田 裕一 氏
(左) 執行役員
情報システム管掌 篠原 優一 氏
(右) 情報システム室
室長 増田 裕一 氏

海外拠点を先に導入、日本はそれを受ける

2009年から、グローバルな基幹システム刷新の構想プロジェクトがスタート。システム刷新前の海外拠点は、それぞれ独自のシステムが入っていた。これまで、海外は一部の生産を担う役割だったので、外注サプライヤーと同じ扱いでインターフェースを介して本社との情報連携をしていた。しかし、現在、タイで作ってタイに出荷する等、現地ビジネスが拡大する中で、海外拠点は、一生産拠点の位置づけのままでの運用に限界を感じていた。そこで、グローバルなビジネス規模を勘案した結果、中国とタイを皮切り製造の主要4拠点に導入し、海外拠点導入後、日本側のシステムを刷新する作戦に舵を切る。

タイでの導入状況と実際ー洪水、生産のベトナムシフトを経ても重要なタイ拠点の再強化

タイに進出した1980年当初、グローバルの一供給拠点という位置づけだった。クライアントの要請に応えるよう生産規模も大きくなっていくが、2011年アユタヤの洪水被害とそれに伴いベトナムへの生産シフトが進み、仕事が減った。さらに人件費も最低賃金(日額)が、タイ全国一律300バーツ(1バーツ=約3.5円)に高騰。「それでも、タイは極めてマーケット性も高く、ASEAN+1FTAを考えたとき重要な拠点です。もう一度力強いタイ拠点にしたい。そのためにも、仕組みを変え、コストも含めてムダロスを削減し、コスト力をつけることが、タイ拠点を再復活させるために重要だと考えています。」(タイ工場長 海老原義明氏)

導入の効果

タイ工場長 海老原 義明 氏、タイマネジメント/ITグループ 瓶子 真樹 氏
(左)
タイ工場長
海老原 義明 氏
(右)
タイマネジメント/ITグループ
瓶子 真樹 氏

(1)税恩典対象(BOI)か否か(NonBOI)の管理がスムーズに

「以前は90%以上が輸出であったが、昨今、自動車メーカー向け製品を中心にタイ国内へ出荷する割合が増えつつある。これまでBOI管理は、表計算ソフト等を使って力技で管理していた処理量だったがこれからは難しい。」(タイ工場長 海老原義明氏)別システムで管理していた国内事業と輸出事業のBOI対応のプロジェクト管理を、MCFrameで統合できるのはタイ拠点として最も大きい効果だという。特に成型材料の場合、共通性が高く全く同じものであっても、輸出用の材料を国内向けに加工して出荷できない。また、BOIとNonBOIの両方の見積もりを要求されるケースも多い。つまり、BOIとNonBOIは材料段階から分けて管理する必要がある。一方、現場では、不良状況含めてグロス(どんぶり勘定)で管理されている場合が多い。「BOIは、毎年報告義務があり、会計監査員の審査に通る必要があるので精緻な管理が必須。その点、MCFrameは基本機能でサポートされているので管理レベルが上がりました。」(タイ マネジメント/ITグループ 瓶子真樹氏)

(2)作りすぎによる在庫減・迅速な不良対策による品質向上

以前は、製造の指図を出したきり、その後の実績や残管理は、都度、表計算ソフトで管理していたのをシステム管理に変えた。それにより、成型加色の製造現場では生産実績が入れやすくなり、結果として精度の高い生産実績数字が各工程で見える化された。それにより、現場が、あといくつ作るべきか一目瞭然になり、作りすぎによる在庫増加が減った。プラスチック成型品の工程には、不良やロスがどうしてもでてくる。チョコ停をすれば中の材料を出す必要があり材料ロスやリードタイムが増加する。MCFrameを活用することによって、不良が、どこの現場で、どんな理由で、出たのか等がつぶさに分かるようになった。また、材料の歩留まりを原因を含めて管理できるようになったことは効果が高い。これらにより、工程毎の標準原価計算との差異分析もできるようになり、材料費の標準歩留まりと、実績の差異も見えるようになり早期に手が打てるようになった。

正しいプロセスの遵守率が上がり業務スピードもアップ

例えば、在庫がないと納品書が出ないというように業務ルールがシステム化されている。正しいプロセスを経ないと、次のプロセスに進めないため、正しいプロセスの遵守率が上がった。システムからの後押しよって、業務プロセスをガイドされるので業務スピード上がった。実は、タイでは、タイのスタッフがシステム運用の責任者。「MCFrameは、機能が多いので、どこにどういう機能があるのか最初つかめなかったが、見たいデータがすぐ見えるように画面やデータの表示方法を工夫したら使いやすくなりました。また、前のシステムに比べると入力が簡単でバーコードを取り入れたらシステム処理がかなり早くなり、助かっています。」 (EDP部門のアシスタント スーパーバイザのジャントン氏)「システム運用の経験が深いジャントンさんがいるからシステムがきちっと動いている。」(タイ マネジメント/ITグループ 瓶子真樹氏)

今後の展望

EDP Dep. Assistant Supervisor ジャントン 氏 (Jan Thorn)、情報システム室 開発課 課長 渡邊 浩一 氏
(左)EDP Dep. Assistant Supervisor
ジャントン 氏 (Jan Thorn)
(右)情報システム室 開発課
課長 渡邊 浩一 氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。
情報システム室 開発課 主査 東峰雄司氏
情報システム室 開発課
主査 東峰雄司氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

「現在、インドネシアにMCFrameとA.S.I.A.を導入しており、今後はベトナムにも展開する予定です。中国は、これから会計システムをA.S.I.A.に刷新していく計画でアジア拠点の導入が一段落したら、日本の基幹システムの刷新に着手します。海外拠点からシステム導入を始めた利点を活かして日本のシステムの刷新を行うべく、海外連携を最初から見通した仕組みを作って行きたいと思っています。世界中で統合されたシステムの活用を通じて、緊急の課題である収益改善と競争力向上のため、タイ、中国、ベトナム、インドネシアの4ブロックで効率的に生産できるようサポートしていきたいと考えています。」(情報システム室 室長 増田裕一氏)。

帝国通信工業は、35年前に導入したメインフレームで基幹システムと数万点のソフトを運用していたがメンテナンスが困難になりサポートも切れる。また、部門間の情報の壁も刷新のきっかけになったという。「営業から発注情報を受け、部品工場、製品工場、購買とバケツリレーしていく格好で情報リードタイムが長い傾向にあります。」(情報システム室 室長 増田裕一氏)「MCFrameの導入トレーニングをうけた3名を中心にローカルメンバーと一緒にシステムを刷新し。それを日本に導入する計画です。」(情報システム室 東峰雄司氏)

MCFrameをタイで導入する一方、中国での導入も行った。プロジェクトは2012年7月中旬にスタート。本社情報システムメンバーが主体となり、システム導入準備としての業務改革を1年がかりで行い、最初は業務の整理から手がけた。改革が進んでから、最後の仕上げのシステム運用を定着させる期間(システムを正しく使って精度を出す指導)が正味1~2カ月。2013年8月に「MCFrame CS 生産管理」が稼動開始。

「中国の工場は比較的小さく単純な仕様の製品を作っていて、操業を始めたばかり(2012年3月)で、生産量・規模も比較的小さかったです。私は、インドネシア工場にいた経験があり生産管理とITを一通り分かっていた経緯があるので、システム面のみならず業務面の整理も行いながら、システム導入を行いました。中国ローカルメンバーの大きな協力も得られ思いのほかスムーズでした。今は、中国で発生する問題点に対して、短い単位でクイックにフォローしています。」(情報システム室 開発課 課長 渡邊浩一氏)。タイではA.S.I.A.の会計システムとリンクしているが、中国はまず生産管理のみ導入したという。「中国では会計システムは別にあります。ですので、現在、生産管理と会計は月次しめて結果を統合する形で運用しています。今後は生産管理と会計システムをつなげていく予定です。」(同氏)

システム概要図
システム概要図

企業紹介

導入企業概要

帝国通信工業株式会社様

帝国通信工業は「電子部品の製造とサービスを通して世界のお客様に満足して頂ける仕事をいつも提供し続けることにより豊かな社会の実現に貢献します」を企業理念とする電子部品メーカー。中でも同社の提案する固有の技術・FIT(フィルム・インテグレーション・テクノロジー)は、前面操作ブロックと呼ぶ複合化電子部品に代表されるように一つの回路パターン上にスイッチや可変抵抗器といった様々な機能を構成したり、電子部品の実装を可能にしたりすることによって各種エレクトロニクス機器の小型・薄型・軽量化を長年にわたり支えてきた。

商号 帝国通信工業株式会社
TEIKOKU TSUSHIN KOGYO CO., LTD.
設立 1944年8月1日
資本金 34億5300万円
従業員数 2,614名(平成25年3月31日現在 連結)
事業所 本社/川崎市、海外/タイ、シンガポール、インドネシア、ベトナム、中国、香港、台湾、韓国、アメリカ
事業内容 可変抵抗器・前面操作ブロック・プラスチック成型品、および金型等の製造、小型・薄型・軽量化に強み持つ。

企業ウェブサイト

※本事例は2014年2月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。