MCFrameの導入で、生産管理から販売管理、原価管理までの一気通貫を実現
導入製品
1942年の創業以来、医薬品原料である原薬から医療用医薬品、一般用医薬品、配置用医薬品の製造・販売まで、および大手医薬品メーカーからの製造受託、健康食品などの販売を行うハイブリッド経営で事業を拡大してきたダイト株式会社様。「誠実な姿勢」を基本に、「みなさまからの信頼」「社会への貢献」「環境との調和」「さらなる挑戦」「世界への飛躍」という6つの経営理念に基づき、経営者と従業員の相互信頼と一体感のもと、国内はもちろん、海外での原薬・製剤の販売や高薬理活性剤の展開などに取り組んでいます。
同社では、成長し続ける事業を支える取り組みとして、2010年10月に発出された厚生労働省の新ガイドラインを先取りして準拠したシステムにすることがきっかけで、基幹システムを再構築することを決定。パッケージとして「MCFrame」を採用、横河ソリューションズが新しい基幹システムを構築しました。
ダイト株式会社様に導入の背景や概要をお話しいただきます。
MCFrameを導入する以前に使っていたシステムは、1999年ごろに導入したもので、導入から10年以上が経過していたためにいくつかの課題を抱えていました。たとえば、販売管理システム、生産管理システムなどが、部分最適で導入されていたため、システム間の連携やデータのやり取りなどが煩雑になっていました。また、生産管理の一部の機能として、原価管理も含まれていましたが、使い勝手の面で課題がありました。
さらに医薬業界は法規制が厳しく、当時のシステムでは法規制に柔軟に対応できなくなっていました。特に医薬業界向けのシステムは、バリデーションの実施記録をドキュメントとして揃えることが必須であり、法規制に準拠した仕組みを独自に構築するのは、作業的にも、コスト的にも困難でした。そこで独自開発はせず、パッケージを使うことが前提で、足りない機能をカスタマイズで補うという方針を決めました。
MCFrameの導入プロジェクトでは、2010年7月より生産管理、8月より原価管理、秤量管理の要件定義を、また11月より販売管理の要件定義とフィット&ギャップ分析を開始。11月より各システムの基本設計を順次スタートし、2011年10月よりMCFrameと旧システムの並行稼働を実施して、12月に本番稼働を迎えています。プロジェクトは、ダイト様の経営トップから現場の担当者までの協力を得ながら横河電機/横河ソリューションズの適切なサポートにより、オンスケジュールで進めることができました。
1.医薬業界での実績を評価してMCFrameを採用
基幹システムのリニューアルのタイミングを図っていましたが、2010年中にCSV (Computerized System Validation) に係る新ガイドラン(2010年10月に発出された)が示される事が情報としてあり、そのガイドラインを先取りして、それに沿った新システムに入れ替えることが決まり、販売管理も含めて基幹システムもリニューアルすることを決めました。そこで5社に提案をしてもらい、その内容を検討した結果、標準機能が充実しているMCFrameの採用を決めました。
MCFrameの採用を決めた最大の理由は医薬品業界での実績でした。また横河電機/横河ソリューションズを選んだ理由として、以前より秤量管理システムを提案してもらっていたことが挙げられます。ただ当時は、秤量管理システムだけを新しくしても効果が少ないので、生産管理や販売管理、原価管理とあわせて入れ替えたいと思っていました。(森本様)
2.厚生労働省のガイドラインに対応できるかがポイント
パッケージの機能としては、厚生労働省から発表された新ガイドラインに対応できるかどうかが最大の評価ポイントでした。評価した時点では、完全にガイドラインに対応できているパッケージはありませんでしたが、将来性も含めて検討した結果、MCFrame&CIMVisionと横河ソリューションズの組み合わせが最適と判断しました。(上川様)
3.MCFrameは無期限な保守サポートなので将来的にも安心
MCFrameは無期限でサポートしてもらえることも高く評価しました。一般的なパッケージは、3年とか、5年で保守サポート契約が終了してしまうために、システムを再構築しなければなりません。せっかく5年かけて使いやすくなったシステムを再構築するのは効率的ではありません。無期限サポートであれば将来的にも心配はなく、安心して使い続けられます。 また他社の提案は、複数のパッケージ製品を組み合わせたものが多かったのですが、MCFrameの販売管理、生産管理、原価管理を中核に、秤量管理、品質管理、倉庫管まで、ひとつのシステムとしてトータルに提案されたことも採用の理由のひとつです。特に医薬業界における横河ソリューションズの実績は高く評価しました。(森本様)
1."少量多品種"が生産ライン最大の特長
生産ラインおよび生産形態の最大の特長は、"少量多品種"ということです。大小さまざまな医薬品メーカーの製品を製造受託しているので、あらゆるスケールの生産ラインを用意することが必要です。そこで製剤も原薬も、少量多品種に対応できる柔軟な仕組みを導入することが必要でした。(森本様)
2.300品目以上の原材料や中間製品のマスターを用意
少量多品種という意味では、製剤で約300品目、原薬で80品目以上を生産しています。それに対応できる設備を持っていることがわれわれの強みでもあります。一方で少量多品種がネックになり、300以上の品目に対応した原材料や中間製品のマスターデータを用意しなければならないことがMCFrame導入時のポイントでした。また工場を止めることができないので、通常業務をこなしながら新システムを構築、テストしなければならないことから、現場の担当者に大きな負担をかけてしまいました。(上川様)
3.ツールで旧システムからマスターデータを移行
マスター登録に関しては、旧システムからツールを使ってデータを移行できたのは便利でした。これまでのシステムの入れ替えでは、データを手作業で登録していたので、その点に関しては非常に楽でした。また製造指図書も旧システムのExcelシートを活用できたのは評価しています。マスターデータの移行ツールは横河ソリューションズに作ってもらい、指図書の移行はMCFrameの標準機能を利用しました。また今回、秤量工程を生産管理から切り離せたので、秤量工程でも、生産工程でも、原料管理や在庫管理ができるようになり、作業量が軽減されたことは現場で高く評価されています。(竹内様)
1.法規制への対応で受託先の査察も安心
これまで法規制に完全に準拠できなかったので、MCFrameの導入により完全に準拠できたという面では安心感があります。製薬業界は当局のガイドラインに準拠しないと生産そのものができないので、その機能は必須でした。受託先医薬品メーカー等のユーザー査察でも「ガイドラインに準拠しています」と自信を持って言えるのは大きなメリットです。(上川様)
2.データの変更履歴のトレースで急な監査にも対応
必要なデータをExcelに出力して自由に加工できるので便利です。また、誰が、いつ、何を変えたかをトレースできるようになったので、監査にも容易に対応できます。さらにこれまでの原価管理では、複数のシステムからデータを抽出して計算しなければなりませんでしたが、MCFrameでは必要なデータが統合されているので、今後、原価管理やデータ分析に活用したいです。(赤井様)
3.データの統合により試験の進捗管理が容易に
生産管理システムを使って原薬生産のための原料の手配や試験の進捗確認などを行っています。試験の進捗確認は、以前は生産管理システムと試験管理システムが別々で、2つのシステムのデータを参照しなければなりませんでした。MCFrameでは、生産部門のデータと品質部門のデータをひとつのシステムで確認できるので、試験の進捗確認が容易になりました。(栗山様)
4.横河ソリューションズのサポートも高く評価
横河ソリューションズの担当者には、業務の深い部分まで理解してもらい、貴重なアドバイスを提供してもらえたことを高く評価しています。MCFrameを導入したことで、生産管理から販売管理、原価管理、そして秤量管理、品質管理までの業務の一気通貫を実現できました。今後も、サポート範囲を拡大していければと思っています。(森本様)
1.品質管理や自動倉庫管理システムを拡張
次の段階として、品質管理システムの導入を検討しています。また自動ラックを採用した倉庫が5拠点にあるのですが、それぞれ違うシステムで管理されています。これを2014年初めに、ひとつの自動倉庫システムに統合することを計画しています。(森本様)
2.ペーパーレス化でより一層の業務効率化を実現
MCFrame関連の今後としては、ペーパーレス化を実現することで、帳票を少なくしていきたいと思っています。これまでは帳票を使った記録を正式なものとしていました。しかしMCFrameを導入したことで、コンピュータ上の記録を正式なものとして扱えるようになったので、必ずしも帳票が必要ではなくなってきました。たとえば現在、出荷判定書を帳票として出力して承認印を押しているのですが、ペーパーレス化により、システム上で承認ができるようになり、より一層の業務効率化が期待できます。(上川様)
3.経営トップがより細かい原価管理の実現に期待
MCFrameの稼働から1年が経過して、蓄積された実績データもそろってきたので、データ分析を本格化させていく計画です。たとえば、各種原価管理マスターを整備して、月別の試算表を分析するといった利用です。これにより、業務のどこを改善すれば、よりいっそうの効率化ができるのかを容易に把握できるようになります。細かな原価管理によって改善点が明らかになることを経営トップは期待しています。(森本様)
パートナー紹介
ダイト様は、大手医薬品メーカーから原薬や製剤の製造を受託されているので監査が多く、監査に迅速かつ柔軟に対応しなければならないという課題を抱えていらっしゃいました。特に医薬品メーカーごとに監査のポイントが異なるために、それにいかに対応することができるかが最大の鍵でした。
対応すべき要件は多かったのですが、ダイト様の経営トップから現場の担当者まで、意志決定が迅速であったことが成功の要因のひとつだと思います。現場の方々は、通常業務と新しい基幹システムの対応で作業負荷が増えてしまうのですが、監査に対応しなければならないということを理解していただき協力してもらえました。
今回、ダイト様にMCFrameが組み込まれたソリューションを採用いただいたのは、秤量管理をはじめ、生産管理から販売管理、品質管理まで、トータルなシステムとして提案させていただいたことをご評価いただきました。
MCFrameを導入したことで、業務間の連携が自動化され、データの手入力による入力ミスを防ぐことができるようになりました。また、製造指図書のレイアウトが品目ごとに違い、数百パターンあるのですが、これが自動的に仕分けられるようになったことで業務を効率化できたことも評価いただいています。
今後は、まず品質管理システムをMCFrameと連携する計画です。これにより、試験データを試験機器から直接取り込み、MCFrameで管理している実績データと組み合わせ、品質管理データを自動的に作成することが可能になります。現在、品質管理データは、Excelシートを使って手作業で作成されているので、MCFrameとの連携により作業負荷を大幅に軽減するとともに、データの信頼性を向上させることができます。
また2014年に向け、5つの仕組みが稼働している自動倉庫システムをひとつのシステムに統合することで、倉庫管理業務の効率化も実現していくことも検討されています。
1942年の創業以来、医薬品原料である原薬から医療用医薬品、一般用医薬品、配置用医薬品の製造・販売まで、および大手医薬品メーカーからの製造受託、健康食品などの販売を行うハイブリッド経営で事業を拡大してきたダイト株式会社様。「誠実な姿勢」を基本に、「みなさまからの信頼」「社会への貢献」「環境との調和」「さらなる挑戦」「世界への飛躍」という6つの経営理念に基づき、経営者と従業員の相互信頼と一体感のもと、国内はもちろん、海外での原薬・製剤の販売や高薬理活性剤の展開などに取り組んでいます。
所在地 | 939-8567 富山県富山市八日町326 |
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設立 | 1942年6月 |
資本金 | 25億6,510万円 |
売上高 | 271億円(2012年5月期:連結) |
事業内容 | 原薬、ジェネリック医薬品、OTC医薬品、配置薬や健康食品の生産・販売、医薬品の受託製造、海外への輸出などの事業を展開 |
事業所 | 富山/東京/大阪/米国現地法人/中国現地法人 |
工場 | 富山 |
※本事例は2013年3月現在の内容です。
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