Chinese | English

03-3510-1616 受付時間 9:00〜17:00(土日除く)

お問い合わせ 資料請求

 

株式会社ノーリツ

導入事例 | 株式会社ノーリツ | mcframe

導入事例 | 株式会社ノーリツ | mcframe

26システムに分散し複雑化した基幹システムを統合
フレームワークを生かしたフルカスタマイズが成功のカギ

  • 複雑化したシステムのスリム化
  • 不要帳票の廃止
  • 保守・開発コスト増加の抑制

導入製品

事例ダイジェスト

温水空調分野を中心とした住宅設備機器(給湯機器・温水暖房機器・キッチン(機器)・バスルーム・洗面化粧台・ガスファンヒーター)の製造、販売、サービスを提供するノーリツでは、基幹システムの肥大化・複雑化により、システムの信頼性が低下し、開発コストが増大するという課題を抱えていた。そこで、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の製造業向けパッケージ「mcframe」を導入することで、グループ経営を進める上で、将来的に拡張可能な基幹システム統合を実現した。

導入前の課題
  • 基幹システムが肥大化したため、システム連携の煩雑化など多くの制約が生じていた
  • システムの運用管理や新規開発にかかる工数やコストが大きな負担になっていた
  • システムの信頼性が低下するほか、停止時間も年々増加していた
導入後の効果
  • 複数システム集約で管理対象のシステム数を減少させデータ連携の制約を解消した
  • 元日の計画停止を除く364日稼働のシステムを利用できるようになった
  • 複数のマスターやデータベースの統合で経営に活用できるデータ基盤を構築した
導入のポイント

30年以上、メインフレームで稼働していた基幹システムが、部分最適の機能拡張を繰り返し、計26システム、1500のインタフェースを持つまでに肥大化・煩雑化したため、基幹システム再構築の必要性に迫られたノーリツ。mcframeの持つフレームワークをベースに、必要な機能をフルカスタマイズで開発することで、経営に柔軟に活用できるデータ基盤を構築した。

導入パートナー
コベルコシステム株式会社

導入事例インタビュー

高いカスタマイズ性でノーリツ独自機能を維持 十分なレスポンスとさまざまな伝票処理への対応も実現


30年以上運用してきた基幹システムが度重なる機能拡張で肥大化・複雑化
株式会社ノーリツ IT推進部 部長 内山 寿夫 氏
株式会社ノーリツ
IT推進部 部長 内山 寿夫 氏

株式会社ノーリツ(以下、ノーリツ)では、30年以上メインフレーム上で基幹システムを運用してきたが、部分最適により機能を拡張してきたために、システムごとにデータベースが分散し、その数は26システムに肥大化していた。またシステム間のインタフェースの数も1500を超え、システム連携が煩雑になり、さまざまな制約を受けるようになった。

基幹システムが複雑化した理由の1つは、納期、コストを最小化するため外付けのシステムを開発したり、定数をプログラム中にハードコーディングしたり、部分最適の開発を行ってきたことだ。そのため機能変更のたびに、プログラムの修正が必要だった。システムの制約も多く、例えばシステムを月曜日から金曜日までしか稼働させていないため、月末の休日に出勤すると実績計上、在庫更新が翌月になる。そこで月末の休日は出勤できないというルールもあった。

IT推進部 推進グループ リーダーである田谷昌顕氏は、「例えば、あるシステムの機能を変更しようとした場合、変更対象のシステムと連携するすべてのシステムへの影響を調査しなければなりません。その調査にかかる工数が、システム変更のための工数の約4割にも上りました」と語る。

また、変更対象のシステムに直接つながっているシステムには影響がない場合でも、その先のシステムに影響が出ることもあり、システムの信頼性が低下するほか、システムの停止時間も年々増加していた。田谷氏は「システム停止時間を集計すると、2008年に年間21分程度だった停止時間が、2010年には約60分に増えていました」と話す。

さらに、開発当初は仕様書を作成していたものの、運用していくうちに仕様書を修正せずにプログラムのみを修正することや、仕様書が作成されず機能追加されたこともあった。田谷氏は、「プログラムからトレースして仕様書を最新化するのに時間も工数もかかりました」と言う。

そのほか、基幹システムを運用・保守してきたIT推進部の技術者が、高齢化の傾向にあることも課題の1つだった。IT推進部 副理事の河合史夫氏は「次世代基幹システムを構築するための新しい技術者の育成が急務でした。基幹システムの煩雑化、技術者の高齢化などの課題解決には、基幹システムの再構築が不可欠でした」と語る。

そこでノーリツでは、2007年より基幹システム再構築のための検討を開始。2010年9月より、中期経営計画に基づいた基幹システム再構築プロジェクトをスタートした。同社では過去に外資系ERPパッケージ導入を試みたものの、プロジェクトが中止となった苦い経験があった。今回、検討のために2~3年間の十分な構想期間を費やしたのはそのような背景がある。

ソースコードとデータベースを公開している点に注目
(左)株式会社ノーリツ IT推進部 副理事 河合 史夫 氏 (右)株式会社ノーリツ IT推進部 推進グループ リーダー 田谷 昌顕 氏
(左)株式会社ノーリツ
IT推進部 副理事 河合 史夫 氏
(右)株式会社ノーリツ
IT推進部 推進グループ リーダー 田谷 昌顕 氏

ノーリツでは、いくつかのベンダーの提案を比較検討した結果、mcframeの採用を決定する。mcframeの採用を決めた理由について河合氏は、「カスタマイズ前提で、ソースコードからデータベース構造まで公開しているパッケージを探したところ、2つの製品があり、その1つがmcframeでした」と話す。

「基幹システムの再構築において、スクラッチ開発という意見もありましたが、根底にベースとなるパッケージがあり、弊社独自の機能についてはカスタマイズでき、伝票処理や在庫更新、原価機能などはフレームワークをそのまま使用するのが弊社にふさわしいシステム構築のあり方だと判断しました。そこで、パッケージが持つベースとなるフレームワークを生かし、その上でアプリケーションを自由にカスタマイズできるmcframeの採用を決めました」(河合氏)

また、COBOL技術者しかいない現状を打破するために、開発言語はJavaにしたいという想いもmcframeの採用を後押しした。その一方で河合氏は、「もちろん、最初はmcframeにも疑問はありましたので、2つのポイントについて検証をしました。1つは十分なレスポンスを実現できること、もう1つは弊社の伝票処理に対応できることです」と話す。

ノーリツでは、メインフレームで稼働している基幹システムで最も重い処理が受注処理であったという。この処理において、当時は1秒程度のレスポンスを実現していた。「mcframeで、このレスポンスを実現できるのかという不安がありました。検証してみると、約2秒の結果を得られたので、チューニングすればいけるだろうと判断しました」と河合氏は言う。

「一方、mcframeの伝票処理に関しては、B-EN-Gに調査をしてもらったところ、ノーリツの伝票処理に9割程度は対応できるという報告があり、こちらも行けると判断しました。これで2つのハードルがクリアできたので、2011年7月から本格的にmcframeの導入プロジェクトをスタートしました」(河合氏)

業務とシステムの両方を理解した人材がプロジェクト遂行のカギに
(左)株式会社ノーリツ IT推進部 推進グループ リーダー 髙山 陽一 氏 (右)株式会社ノーリツ IT推進部 推進グループ 参事 脇舛 琢司 氏
(左)株式会社ノーリツ
IT推進部 推進グループ リーダー 髙山 陽一 氏
(右)株式会社ノーリツ
IT推進部 推進グループ 参事 脇舛 琢司 氏

今回のmcframeによる基幹システム刷新プロジェクトは、プロジェクトの最高責任者を代表取締役社長とする体制で推進されている。この目的について河合氏は次のように語る。「絶対に失敗できないので、トップダウンによる全体最適が必要でした。また現場の責任者に、必要な人材を参加させてほしいという要望に応じてもらうことも目的でした」

プロジェクトメンバーの人選のポイントは、業務とシステムの両方を理解している人材であることだ。田谷氏は、「旧基幹システムの機能拡張のときから、営業系、財務系、生産系で、相談する現場の担当者は決まっていました。今回、mcframeを導入していく上で、業務がわかるシステム部門というのは最大の強みになります」と話す。

なお、mcframeの導入プロジェクトのパートナーに、コベルコシステムを選定した理由を田谷氏は、「mcframeを提案してくれたことに加え、長年弊社の旧基幹システムの多くの機能を開発してもらっていることなどです。単にシステム開発だけでなく、運用、保守まで含めたトータルな提案をしてもらえるコベルコシステムは、非常に強力なパートナーです」と話している。

ほとんどの処理を同一基盤上に集約 旧システムで不足していた機能も充足
(左)株式会社ノーリツ IT推進部 推進グループ 副参事 松田 潤 氏 (右)株式会社ノーリツ IT推進部 推進グループ 主事 山本 仁志 氏
(左)株式会社ノーリツ
IT推進部 推進グループ 副参事 松田 潤 氏
(右)株式会社ノーリツ
IT推進部 推進グループ 主事 山本 仁志 氏

mcframe導入時について、田谷氏は次のように語る。「連休中にシステムを移行して、休日明けから新システムの運用を開始しました。これだけ大規模なシステムの移行を行うと、初日に大きなトラブルが発生する可能性が高いのですが、業務が停止するトラブルはありませんでした。業務を熟知している現場の担当者に、テストに協力してもらえたことがトラブルなく移行できた要因の1つだったと思います」

mcframeのシステム面での導入効果としては、以前は、毎日12時~13時のバッチ処理の間システムが使えない、月曜日から金曜日までしか利用できないという課題があったが、mcframeを導入したことで、元日の計画停止を除くすべての日でシステムを利用できるようになった。また以前は処理ごとに違うシステムを使うことが必要だったが、システムが統合されたことで、同一基盤上でほとんどの処理ができるようになった。

パッケージ導入による統一性の実現はもちろん、今回の刷新によって旧システムではなかった細かな機能を実現している。仮名文字しか印字できなかった伝票への漢字対応、円に換算して入力していたドルや元などの外貨の直接入力といった対応のほか、ノーリツ独自のコード体系だったために容易に把握できなかった地域コードを郵便番号化して容易に把握できるようにしている。mcframeの伝票処理についてはフレームワークをそのまま使用しているので品質の低下がなかったことも大きなメリットだ。

またIT推進部 推進グループ 主事の山本仁志氏は次のように話す。「mcframeは、Excelの実装仕様書にパラメータを設定することで、ソースコードを自動生成できるので、画面イメージを非常に短時間で開発できます。開発した画面イメージを、現場の担当者に見せながら仕様の確認ができるので便利です。画面の項目の並び順やソート順、列固定のほか、検索条件の保存などを、ユーザーごとにカスタマイズできる機能も現場の担当者に好評です」と話す。

 
システム関連図
システム関連図
品目別実際原価を導入 原価の分析も行いやすくなった

一方、業務面でのmcframeの導入効果をIT推進部 推進グループ リーダーの髙山陽一氏は次のように話す。「これまで伝票の訂正をする場合、正しい元の伝票を選ぶのは人任せでした。例えば10日前に出荷した商品の単価を修正しようとしても元伝票参照機能がないため検索に時間がかかり、チェックも大変でした。mcframeを導入したことで、過去の伝票を簡単に素早く検索・参照し訂正処理ができるため、間違いのない処理を迅速に行えるようになり、利便性が大幅に向上しました」と話す。

またIT推進部 推進グループ 参事の脇舛琢司氏は、次のように語る。「以前の原価管理は、標準原価計算だったので、品目別に実際原価情報を保持しておらず、原価率が悪化しても原因がよくわかりませんでした。mcframeの導入で、品目別に実際原価が計算されるようになったので原価を可視化できるようになりました。当初は、計算方法の変更に抵抗がありましたが、要因分析ができることや、原価計算の履歴がわかることなどが、現場の担当者に評価されています」

さらにIT推進部 推進グループ 副参事の松田潤氏は、「ExcelやCSV出力が、基本機能として組み込まれているので便利でした。現場では、Excelを使って仕事をするのがスタンダードになっているので、mcframeの機能は非常に評価されています。mcframeでは、ユーザーが自由に条件を設定して、必要なデータのCSV出力ができ、出力したデータはExcelで容易に加工できるので便利です」と話す。

新技術導入時の制約から解放 経営に活用できるデータ基盤へ

システム統合によって、複雑化していた構成を整理し、不要帳票の廃止やプログラムステップ数の大幅削減など多くのスリム化を実現している。「特に今後、IoTなどの新しい技術を導入するときに、データ連携の制約がなくなったことが、mcframeを導入した最大の効果です」と話す河合氏。さらにコベルコシステムに関しては、「何か問題が発生したときでも、原因を迅速に分析してくれて、柔軟に対応してもらえたことを高く評価しています」と話す。

今後の展望について松田氏は、「2019年に向け、別の環境で稼働している生産系システムをmcframeに取り込むことを計画しています。現在、受注入力から納期回答、生産着工指示までの間に人の手を介在する業務がありますが、これを完全に自動化することで属人化を無くし負荷軽減を行います。そうすることで、より付加価値の高い作業に人材を再配置することもでき、さらなる生産性の向上が期待できます」と話す。

またIT推進部 部長の内山寿夫氏は、「mcframeを導入したことで、経営に活用できる柔軟なデータ基盤を構築できました。今後は、この基盤をさらに拡張していく段階に入っていきます。現状では、ノーリツ単体の仕組みですが、グループ会社や海外拠点にも展開し、グループ経営を進める仕組みに拡張していくことも必要です。コベルコシステムとB-EN-Gには、そのためのサポートを期待しています」と話している。

 

企業紹介

導入企業概要

1951年創業。「おふろは人を幸せにする」を創業の原点に、お湯のある生活を通じて人々の暮しを豊かにするための製品・サービスを提供する。
2017年から2020年までの中期経営計画では、「新しい幸せを、わかすこと。」をグループミッションに掲げ社会から必要とされる企業、世界で戦える企業になることを目指している。
商号 株式会社ノーリツ
創業 1951年3月
資本金 201億67百万円
従業員数 単体2,796名 連結8,815名(2017年12月31日現在)
事業内容 温水空調分野を中心とした住宅設備機器の製造、販売、サービスを事業としてグローバルに展開。

企業ウェブサイト

※本事例は2018年7月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。