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日鉄ケミカル&マテリアル株式会社

導入事例 | 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 | mcframe

導入事例 | 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 | mcframe

グループ6社向けの共通基幹業務基盤を整備
約40年利用したホストコンピュータを廃止

  • 生産計画のスピードアップ
  • 品質トレーサビリティ
  • 業務情報一元化

事例ダイジェスト

日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)の100%子会社であり、日本製鉄グループの化学事業分野を担う中核企業である日鉄ケミカル&マテリアル株式会社(以下、日鉄ケミカル&マテリアル)。「素材を技術し、未来を拓く」という企業理念に基づき、製鉄化学および機能材料という2つの事業を展開。業務情報の一元化や業務の変革を目的としたグループ会社向け共通基幹業務システム再構築に、MCFrame XA 生産管理・販売物流・原価管理を採用した。

導入前の課題
  • ホストコンピュータからの脱却
  • 業務改革を支えるシステムの整備
  • 手作業による生産管理のシステム化
導入後の効果
  • 受注、在庫、生産状況をリアルタイムに把握
  • リードタイム短縮と在庫の圧縮
  • 品質トレーサビリティの向上
  • 生産計画の迅速化、正確な情報に基づく最適生産
導入のポイント
  • 業務情報の一元化や同期化で情報を連携し、高速化や可視化などで業務を変革
  • 全く業務要件の異なる3事業を同時に導入するため、共通の要件を抽出し、共通仕様として機能を部品化することで開発工数の低減を図る

導入事例インタビュー

導入のきっかけ-手作業で行っていた生産管理をシステム化に

日鉄ケミカル&マテリアルでは2009年に、「グランドデザイン」と呼ばれる2020年までに売上高5000億円、経常利益500億円を達成するという経営計画を発表し、事業戦略およびビジネスモデルを支える業務改革活動に着手。目標の実現に向け、組織力の強化、人材力の強化、それを支えるシステムの整備の3つの取り組みを推進している。

業務システムプロジェクト参事の戸早孝之氏は、次のように語る。「約40年間、ホストコンピュータを使って、基幹システムを運用してきました。この基幹システムは、改修を繰り返して複雑化したことから、結果を入力して、帳票を出力するだけの仕組みになっていました。特に会計システムと原価システムの刷新が必要でした」

中でも課題だったのは、「メーカーでありながら生産管理を手作業で行っていたこと」と戸早氏。特に基礎素材系は、当初はあまり品目が多くなかったので、Microsoft Excelでも管理できる状況だった。しかし事業が拡大してくると、品質管理や在庫管理など、いわゆる生産管理系の業務にムダが多い、在庫のロスが防げないなどの課題がでてきた。

また業務システムプロジェクト参事の守田和彦氏は、「たとえばスマートフォンの材料として利用されている回路基板であるエスパネックスは、急な受注の増減があり、受注量、中間品・製品在庫量全体を把握した上で生産計画を立てなければ、過剰在庫になってしまいます。そこで情報をいかに活用できるかが鍵でした」と語る。

戸早氏は、「これまではシステムの整備は、後回しになることが多かったのですが、今回はグランドデザインの一環として、経営トップからシステムの整備が不可欠であると判断されました。そこでグループ会社4社で利用する共通業務基盤を構築することを決定します。最大の目的は生産管理システムの導入でした」と話している。

導入の経緯-システム導入のスコープを業務全体に拡大
業務システムプロジェクト 参事 戸早孝之氏、業務システムプロジェクト 参事 守田和彦氏
(左)業務システムプロジェクト
参事 戸早 孝之氏

(右)業務システムプロジェクト
参事 守田 和彦氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

ERPの選定にあたり、当初は6社のERPをフィット&ギャップなどで総合的に評価。2社を選定し、2011年4月にMCFrameの採用を決定した。守田氏は、「MCFrameは、Excel風のインタフェースで、パーソナライズや取り扱いが容易なことを評価しました。また、もう1社は海外製品で、MCFrameは国内製品であることからサポート体制も安心でした」と話す。

システム再構築の基本方針としては、効率化により人員を削減する部門最適ではなく、会社全体の生産性の底上げであり、競争力のある業務環境を実現することが必要だった。具体的には、業務情報の一元化や同期化により、情報や業務を連携し、業務の高速化や可視化を推進。業務スタイルの変革を目指している。

共通基幹業務システムは、MCFrameの生産管理、販売管理、原料購買を中心とした実績把握系システム(SCM実績把握システム)、MCFrameの物流費管理、原価管理を中心とした数値処理系システム(会計系システム)、文書管理システムや顧客情報管理システム、ビジネス・インテリジェンス(BI)などの情報活用系システムで構成されている。

戸早氏は、「今回、いわゆる基幹業務システムであるサプライチェーン管理や原価管理、会計系システムだけでなく、情報活用系システムまで、システム導入のスコープを会社の業務全体に拡大しています。MCFrameは、実績把握系および数値処理系を構成する最重要機能として導入されています」と話す。

MCFrameの導入作業としては、まずステップ1を2011年4月にスタート。約18のビジネスユニットのうち、事業規模が大きく、かつシステム化のニーズが高かった、エスパネックス、エスファイン、シーケムの先行3事業をグループを代表する3つのモデルとすることとし、共通の要件と個別の要件を抽出し、共通仕様として機能を部品化することで開発工数の低減を図リながら個別要件にも対応して、MCFrame上に3タイプのシステムを構築し、生産・販売領域をシームレスに連携させた。MCFrameの生産管理、販売管理、原料購買を導入し、2013年4月に本番稼働した。

また2012年4月より、ステップ2をスタート。ステップ1の3タイプを全事業に展開するとともに、物流費管理および原価管理を導入中で、2014年4月の本番稼働を予定している。戸早氏は、「2014年4月にフェーズ2が本番稼働した時点で、約40年間使ってきたホストコンピュータを完全に停止し、基幹業務システムを完全にMCFrameに移行する計画です」と言う。

共通基幹業務システムの導入においては、コンサルティングからシステム設計、開発までをキヤノンITソリューションズが担当している。守田氏は、「以前、エスパネックス用の個別生産管理システムをキヤノンITソリューションズに開発してもらいました。そのときの開発メンバーが参加してくれたことで、スムーズに立ち上げることが出来ました。」と話している。

導入の効果-情報の一元化により業務の高速化や可視化を実現

業務システムプロジェクト 参事 戸早孝之氏、業務システムプロジェクト 参事 守田和彦氏
(左)業務システムプロジェクト
参事 戸早 孝之氏

(右)業務システムプロジェクト
参事 守田 和彦氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

共通基幹業務システムのステップ1の効果として、まず受注、中間品・製品在庫量をリアルタイムに把握できることから、生産計画の迅速化が可能になり、リードタイム短縮と在庫の圧縮、品質トレーサビリティの向上につながった。

戸早氏は、「これまでは、受注、生産、在庫、出荷のExcelデータがバラバラでどのデータが正しいデータなのかも把握できない状況でした。MCFrameを導入したことで、受注から調達、生産、出荷までの一連の流れをリアルタイムに確認できます。これにより業務のスピード化や可視化が実現できました」と話す。

「MCFrameに入力した情報と、実際のものの動きが一致しているということが大きなメリットだと思っています。これまではホストコンピュータに結果を入力するだけでしたが、MCFrameでは出荷を入力しようとすると、在庫がなければ出荷できません。出荷と在庫の整合性がきちんと取れることもMCFrameを導入した効果でした」(戸早氏)。

一方、情報活用について守田氏は、次のように語る。「MCFrame導入以前は、どこにどんなデータがあり、そのデータをいかに集めるのが大変で、更にハンドでキー情報を紐付けて集計・比較する等、データ加工も大変でした。MCFrame導入後は、様々なデータが一元化され情報収集・加工が容易となり、リードタイムの短い、変動の激しいものにも対応できるようになりました。ほんとうに情報命の状況です」

特に品質管理システムのロットトレース機能が効果的だった。MCFrameでは、製品から原料までの逆トレースも可能になっている。また、販売と生産の情報の共有化が可能になり、在庫情報も見えるようになっている。必要な情報がつながることで、仕事のやり方の変革も期待できるという。

「組織力や人材力の強化に向けて採用と育成ももちろん大事ですが、既存の人材がもっと仕事の中身を変えていかなければなりません。結果を出力するだけでなく、結果を踏まえてアクションできなければ意味はありません。MCFrameでは、これまで取れなかったデータが取れるので非常に便利です」と守田氏は話す。

また戸早氏は、「MCFrameを中心にシステムを1つのツールとして活用し、さらにBIを使ってより一層精度を高めていくという流れを続けていきたいと思っています。システム投資は削減されがちなので、しっかりと結果を残して、設備投資と同じくらいに重要なものであるということを経営トップに理解してもらうことが重要になる」と話している。

今後の展望-ステップ2~3でさらなる業務改革の効果を実感

今後、日鉄ケミカル&マテリアルでは、2014年4月のステップ2の本番稼働に向けたシステムの運用テストを展開していく計画。またステップ3として、メインフレームを使っていなかったエポキシ事業およびカーボンブラック事業のシステム再構築に着手する。さらに現場の担当者が共通基幹業務システムを使いこなすことで、業務改革のさらなる効果を実感できる取り組みを継続していく。

MCFrameのユーザ会について守田氏は、「MCFrameのユーザ会には、もっと参加したいと思っているのですが、現在はシステム開発の最中なので、なかなか時間がとれないのが実情です。ユーザ会は、ユーザー企業の担当者から、いろいろな話を聞けるので非常に有益です。ステップ2が本番稼働して落ち着いたら、ぜひまた参加したいと思っています」と話す。

また今後の展望について戸早氏は、「MCFrameにより、販売管理、生産管理、原価管理をきちんと行い、データを見える化することが、まずは重要です。最終的には収益管理や経営管理につなげていきたいと考えています。また原価計算はこれまでの方法を踏襲しているのですが、新しい原価の見方や収益管理のあり方について、ユーザ会に参加してほかの会社のやり方も聞いてみたいと思っています」と話している。

 

システム概要図

パートナー紹介

キヤノンITソリューションズ株式会社 生産管理、販売管理プロジェクトマネージャー 清岡誠二氏、統括プロジェクトマネージャー 吉田 啓氏、共通管理プロジェクトマネージャー 町田 直樹氏
(左から順に)
キヤノンITソリューションズ株式会社
生産管理、販売管理プロジェクトマネージャー
清岡 誠二氏
統括プロジェクトマネージャー
吉田 啓氏
共通管理プロジェクトマネージャー
町田 直樹氏
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

日鉄ケミカル&マテリアル様は、競争力のある業務環境の提供(情報の一元化、同期化)、業務スタイルの変革という方針のもと、明確な6つの狙いを設定し今回のシステム再構築をスタートされました。
システムの導入は、標準モデルを確定後に他事業へ展開するステップ導入手法です。
① 主要3事業の生産管理、販売管理、原料購買をステップ1(2013年4月稼動)
② 他事業への展開、物流管理、原価管理をステップ2(2014年4月稼動)
ビジネスエンジニアリング様にもご協力頂き、システム導入の狙いを強く意識し、これにお応えする提案を心がけました。
プロジェクト推進にあたっては、「業務システムプロジェクト」を発足されました。各事業部門、部門間の調整を実践頂き、特に大規模なシステム要件を予定通り整理いただけたこと、積極的なエンドユーザー様のプロジェクト参画がステップ1の円滑なシステム稼動に繋がったと感謝しております。
弊社の強みである「製造業向け基幹システム導入経験の豊富さ」をプロジェクトメンバー全員が発揮できたことも成功の一助になったと考えています。
(統括プロジェクトマネージャー 吉田 啓)

ステップ1では、製造工程も品目構成も全く異なる事業において、生産系の個別要件を損ねることなく、販売系の要件をいかに共通化するかに苦労しました。また、MCFrame XAの標準適用とカスタマイズのバランスを考えて提案することを心掛けました。 これらの提案は、要件定義や外部設計の上流フェーズはもちろん、日鉄ケミカル&マテリアル様による検証フェーズにおいても継続し、日鉄ケミカル&マテリアル様に最適なシステムが導入できるよう本番ぎりぎりまで微調整を重ねました。
日鉄ケミカル&マテリアル様にも、MCFrame XAの慣れない用語にご苦労いただきながらも弊社の提案をご理解いただき、膨大なマスタ整備やデータ移行、ユーザー教育など、経験されたことのない作業を行っていただきました。
日鉄ケミカル&マテリアル様と弊社のプロジェクト関係者全員の力を結集し、ステップ1を無事稼動することができました。
(生産管理、販売管理プロジェクトマネージャー 清岡 誠二)

日鉄ケミカル&マテリアル様は、グループ会社を含めて幅広く事業展開をされているため、各事業と各会社がマトリックス構造になる複雑な事業構成となっています。そのため、各事業の特徴を活かしつつ、各会社の内部統制を実現し、さらには情報の一元化を実現することは非常に難易度の高い課題でした。この課題をMCFrame XAで実現するために、何度も検討を重ねた結果、各事業の特徴を活かした事業別の機能と事業共通の機能を組み合わせ、さらにMCFrame XAがもつ多法人対応機能を有効に活用するシステム構成を考えました。
ステップ1を無事稼動することができたのは、日鉄ケミカル&マテリアル様の情報一元化に対する強い信念があったからこそだと考えています。
(共通管理プロジェクトマネージャー 町田 直樹)

企業紹介

導入企業概要

新日鉄住金化学株式会社

日本製鉄グループの化学事業分野を担う中核企業として、世界を舞台に活躍しています。
製鉄事業に関連して発生するコールタール、コークス炉ガス等の有効活用を中心とする、総合的な製鉄化学事業は、世界でもトップクラスの規模を誇ります。
これを基盤に石油化学事業を加え、炭素材、工業用ガス、化学品、合成樹脂など、幅広い分野に事業を展開。さらに各種スペシャリティケミカル製品、潤滑材、電子材料を事業化するなど、特色ある芳香族化学の技術を生かし、産業社会の多様なニーズに応える、積極的な事業展開を進めています。

商号 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.
設立 1956年10月
従業員数 連結:1,660名(2013年3月末現在)
資本金 50億円(2013年3月末現在)
事業内容 コールケミカル、化学品、工業用ガス、光学・ディスプレイ材料、エポキシ、回路基板材料、有機EL材料などを事業として展開。

企業ウェブサイト

※2018年10月1日に新日鉄住金化学株式会社より商号変更されました。
※本事例は2014年5月現在の内容です。
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載当時のものであり、変更されている可能性があります。
※掲載企業様への直接のご連絡はご容赦ください。