このままでいいのか?中国進出日系企業の情報基盤(2)
中国新会計準則とIFRS
中国では、2007年1月に上海上場企業等から「新会計準則」が施行されています。しかし、非上場の日系企業では「旧企業会計準則」および「企業会計制度」を採用している会社がほとんどです。今後は、日系企業もIFRSとのコンバージェンスをより強く意図した「新会計準則」への移行を強いられるのは時間の問題です。
中国の「新会計準則」はIFRSとのコンバージェンスを意図しているとはいえ相違点が存在し、日本本社がグローバルグループでIFRSを意識した会計処理の統一をしていく際には、その差異を調整する必要があります。
また、中国の法定決済月は12月と決められており、日本本社が3月決算など一致しない場合には、中国の子会社は日本本社の決算期に合わせた仮決算を行って連結をする検討をしなければならないのです。いずれにしても、中国の子会社の決算処理の早期化が不可欠となります。
決算処理の早期化に伴い、製造業ともなれば、製造、在庫実績情報の収集から原価計算処理の早期化も求められます。IFRS適用の際には、同種の製品は、その製造地域に関わらず同じ原価計算方式を適用しなければならないことが示されており、中国の子会社といえども日本と同じレベルの原価管理が求められることになります。
つまり、精度の高い製造実績情報の迅速な収集と、その情報をシームレスに取り込み、日本レベルの実態に即した原価計算が高速に処理できる原価管理システムが必要となります。当然、日本でも実態に即した原価計算ができることが必須の前提条件になります。また、財務会計システムにおいては中国の法定帳票に対応した財務諸表を出力できることが必須条件になります。
発票主義
中国では、公式領収書として発票(FaPiao)というものが存在します。損金算入と納税計算の根拠(売上税額?仕入税額)という用途別に普通発票と増値税(専用)発票に分かれます。この発票が無いと、損金算入と仕入税額控除が認められません。
よって実務上も、仕入発票が届くまでは仕入の会計処理がされず、売上発票が発行されるまでは売上の会計処理がされないのです。つまり、物の流れと会計処理が一致しないという管理の難しさがあるのです。
普通発票は税務局官製発票を申請購入するのですが、増値税(専用)発票は税務局官製の偽造防止システム(金税システム)で発行する必要があります。
発票は実務としてはINVOICEを兼ねており、その発行時に金額(税額も)が確定されます。日本円などの外貨を扱う場合にはこの時点での為替レートを採用し、発票発行システムとの連携をすることで発票基準の効率的な基幹システムを構築することができます。