Chinese | English

03-3510-1616 受付時間 9:00〜17:00(土日除く)

お問い合わせ 資料請求

 

  • HOME
  • コラム
  • 外国子会社配当益金不算入制度について

コラム

グローバル

外国子会社配当益金不算入制度について

外国子会社配当益金不算入制度について 

外国子会社配当益金不算入制度について

皆様、はじめまして。株式会社Collegia International (コリージア・インターナショナル)の浅野です。
人口減少に伴う日本市場の将来の縮小を見据えると、たとえ大企業でなかったとしても海外、とくに経済発展目覚ましい東南アジア圏への進出は急務といえるでしょう。 そのような中、最近では、政府も外国子会社で得た利益の日本国内への還流を促そうと対策を打ち始めたため、外国子会社が現地で獲得した利益を日本に持ち込むことも従来に比べ容易になってきています。本コラムでは、これに関する制度の一つをご紹介したいと思います。

いわゆる『外国子会社配当益金不算入制度』と呼ばれる制度ですが、これは、一定の要件(※)満たす外国子会社等で得た利益を、配当により日本に還流する際に受け取る配当金の95%を免税する、というものです。すなわち、外国子会社等からの受取配当については5%部分についてのみしか日本で課税されないということになります。
この制度を使うと、たとえばシンガポールの現地法人で得た1億円の利益を配当で日本に戻した場合、約8,146万円が手元に残ることになります(別紙図参照)。仮に日本法人で1億円の利益を出した場合には、法人税を引くと6,300万円しか残りませんので、結果は一目瞭然です。

図表1

なぜこれだけ手取りの差がでるのかというと、実はシンガポールが法人税率17%の軽課税国であること、日本とシンガポールが結んでいる租税条約によるためです。この制度を適用しても、すべての国で同じ結果になるわけではなく、課税が重たい国の現地法人や、また今回は説明を割愛させて頂きますがタックスヘイブン税制という軽課税国にある現地法人に対する特別な課税制度にひっかかる場合などはトータルの税負担が重たくなる可能性もあるので、注意が必要です。

そのため海外進出にあたってどの国に拠点を有するか検討する際には、インフラやアクセス、政府による優遇制度等、ビジネスの実質的なしやすさに加えて、その国の税制や、日本との租税条約の有無、内容を事前に確認しておくことといった税務戦略が非常に重要となります。

海外から日本に利益を還流する場合、配当のほかにも、貸付金の利息、ロイヤルティーや指導料などが選択肢として考えられます。国によってどの手法が効果的かは異なりますし、制度は常に変化しますので税務コストも含め海外進出の戦略を立てて頂くことが重要です。

※以下の2つの要件を満たす必要。
 ① 判定の対象となる外国法人の発行済株式の25%以上を保有していること。
 ② ①の保有が配当の支払義務が確定する日以前6ヶ月以上継続していること。
 なお平成28年4月以降、配当額が現地で損金算入されている場合は適用対象外となる予定。

漫画_世界で闘う準備はあるか
浅野 雅文 氏
浅野 雅文 氏
株式会社Collegia International (コリージア・インターナショナル)
代表取締役社長/公認会計士・税理士
KPMG東京事務所(現有限責任あずさ監査法人の国際部)にて、外資系企業や国内上場企業、上場準備企業等に対する会計・内部統制監査を現場責任者として担当。 同所退職後、(株)Collegia International(コリージア・インターナショナル)を設立、代表取締役に就任。国内外の企業に対する会計・経営・税務コンサルティングを提供。
著書に『セミナーDVD付きでよくわかる!日本版SOX法 実務完全バイブル(実業之日本社)』。
その他活動:みかさ監査法人(代表社員)、ベンチャー企業、外国法人、一般社団法人の監査役・代表・監事等 http://www.collegia-intl.com/