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コラム

日本式IoTのすすめ

第1回 現場起点のIoT(前編)

現場起点のIoT

※本記事は「IGPIものづくり戦略レポート」2016新春号からの転載です。

流行語“IoT”

「IoTを活用して製品企画・開発へ活用している」「IoTにより生産性・品質が改善された」このような記事が昨年は多く報じられました。しかし・・・ これって本当でしょうか?

IoT、インダストリアルインターネット、あるいはインダストリー4.0等は全てデータ活用を中核において、製造業においては製品開発や製造、更にはサービスを抜本的に改善する動きです。いろいろな機器が通信機能を持つことでデータ収集量が増大し、コンピュータの処理能力の飛躍的向上によって大量データ(ビッグデータ)が処理出来るようになったことが背景にあります。

しかし、今現在、IoTを使って出来るようになった変化を端的に言うと、「見える化」の頻度と粒度の向上です。工場だったら各工程の稼働や進捗の把握が粒度細かく、頻度高く出来るようになった程度です。ドイツが提唱しているインダストリー4.0の世界観では人工知能を活用するなどして生産工程仕掛中のモノと生産ラインや受注システムが連動し、仕掛中でも製品仕様のカスタマイズを施すという、マスカスタマイゼーションの世界を謳っています。しかしそれは今少し先の未来です。足元では何をすべきでしょうか?

“現場起点のIoT" という考え方

IGPIではこのIoTという潮流を踏まえながら、中期的に何に取り組むべきかをクライアントと検討する一方、現実的に超短期で何をなすべきかの考察を進めております。その結果、今必要なことは“現場起点のIoT"だと思います。二つの要素があ
り、一つはスモールスタート、もう一つは助走、即ちIoT導入の前に現場がなすべき事です。

現場起点① スモールスタート

IoT、更にはビッグデータ、クラウドなどといった言葉が乱立し、ITベンダーが様々なサービスを謳っております。しかし多くの場合、投資対効果の妥当性が課題となります。データを活用して何をするのか、経営上、あるいはものづくりを強める上で何が必要なのかが曖味なケースを良く見かけます。言い換えると、ゴール=Whatの部分が不明確なのに手法=Howの議論をしているのです。

実際、昨年の前半までは「社内には多様なデータがある。分析してみて貰えないか?」という漠然としたご相談を頂くこともありました。そこで私達の回答は、「どういったものづくりで戦うのか」というゴール設定をする上で一部(製品群、ラインなど)のスモールスタートを実施、その知見をゴール設定に活かす、というスパイラルアプローチで取り組ませて頂くようにしております。IoT関連の技術が乱立している現在、自社にフィットする
適用を模索し、固有解を導出するには実践的な方法と思われます(図1)。

 

図1 スモールスタートの基本アプローチ

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※本記事はIGPIものづくり戦略レポート」2016新春号からの転載です。
最新の「IGPIものづくり戦略レポート」はこちらのサイトで公開されています。(株式会社経営共創基盤様のサイトへ移動します。)

第1回 現場起点のIoT(後編)へ続く

東洋ビジネスエンジニアリングのものづくりデジタライゼーション
沼田 俊介 氏
沼田 俊介 氏
株式会社経営共創基盤
パートナー 取締役マネージングディレクター ものづくり戦略カンパニー長

外資系コンサルティングファーム及び国内独立系ファームにて、大手半導体、ガラスメーカー、化学メーカー等グローバル製造業の業務改革構想立案と実行をサポート。事業戦略やIT戦略の立案から業務標準化、プロセス改善等の実行までのハンズオン支援を実施。また多くの製造業にて全社的なERP導入を指揮。IGPI参画後は各種製造業の短期的な収益性改善、ものづくり改革による中長期的な競争力強化、また海外展開における戦略策定とその実行支援を統括。 ケースウェスタンリザーブ大学経営学修士(MBA)
https://www.igpi.co.jp/