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コラム

イベントレポート編

日本に並ぶ“ものづくり大国・ドイツ” SAP事例に学ぶ「IoT時代のものづくり」とは?【B-EN-G IoT Forum 2017 / mcframe Day 2017 SPECIAL SESSIONレポート】

SAP様

日本と同じく“ものづくり大国”であるドイツ。そのドイツに本拠地を置くSAPは、世界の製造業の変革をどのように支援しているのでしょうか。SAPのユーザー事例から、製造業に役立つIoTの活用を学びます。

ドイツを本拠地とするSAP 世界の製造業の変革を支援

「日本の製造業に、ものづくりのためのITを」をテーマに東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が開催した日本の製造業向け年次カンファレンス「B-EN-G IoT Forum 2017 / mcframe Day 2017」のSPECIAL SESSIONに、SAPジャパン代表取締役社長である福田譲氏が登場。イベントホストであるB-EN-G 常務取締役 CMO/CTOの羽田雅一とともに、「これからの製造業のものづくりIT」について講演しました。

冒頭、羽田は「SAPはドイツに本拠地を置く会社です。ドイツは日本と同じくものづくり大国であり、現在はインダストリー4.0を推進しています。こうした背景のなか、SAPは世界の製造業の変革をどのように支援しているのでしょうか。またSAPは超巨大企業でありながら、自身もドラスティックな変革に取り組んでいます。こうした側面からもお話をうかがいます」と語り、福田氏をステージに招きました。

今回、福田氏は米国のバイクメーカーである「ハーレーダビッドソン」、ドイツのコンプレッサー専業メーカーである「ケーザー・コンプレッサー」、およびサッカーの「ドイツ代表チーム」の3つの事例を紹介しました。

製造日数を21日から6時間に ハーレーダビッドソンの挑戦

ハーレーダビッドソンはベースとなるバイクを自社工場で製造し、顧客の要望に合わせてディーラーがカスタマイズを行って販売してきました。しかし車種ごとに約1300種類のカスタマイズができるため、コスト効率や生産効率が悪く、ペンシルバニア州ヨークの工場は閉鎖も検討されたほどです。そこでビジネスモデルを大きく変革することが決定しました。 

福田氏は「ヨークの工場をスマートファクトリー化し、顧客の要望に合わせてカスタマイズされたバイクを製造する仕組みを構築しています。これによりコストを7%削減し、人員を35%削減するなど、工場の生産性向上だけでなく、ものづくりそのもの、お客様体験そのものを改善することに成功しています」と話します。

具体的には機器や製造設備、部品などにセンサーを設置し、SAPの生産システムと連携することで、すべての情報をデジタルで管理する仕組みを構築。従来21日間かかっていた生産リードタイムを6時間に短縮し、810日分持っていた部品在庫も3時間分に削減されています。

福田氏は「この事例からは3つの学びがあります」と語ります。

1)スマートファクトリーの実現やITの標準化、横展開などにより、日本が得意とする混流生産や見える化に基づく改善を誰でもできるようになります。

2)フルデジタル化されたスマートファクトリーの実現により、1つひとつ完全に違うバイクを製造する、極めて高いマス・カスタマイズ能力を実現できます。

3)自分だけのバイクがわずか数日で手に入るマス・カスタマイズは、顧客体験に直結することから、これまで以上にものづくりやマーケティング、アフターサービスなどの横連携が重要になります。

コンプレッサービジネスを モノ売りからコト売りへ変革

続いて羽田は「SAPでは新しいデータベース技術であるSAP HANAを提供していますが、製造業務の世界だけならこれまでどおりのRDBMSでもよかったのではないかと思います。あえてリアルタイム性の高いSAP HANAに移行しなければならなかった事例があれば紹介ください」と福田氏を促しました。

これを受けて福田氏が紹介した事例が、ドイツのコンプレッサー専業メーカーであるケーザー・コンプレッサーです。SAP HANAを導入することで、ビジネスモデルを“モノ売りからコト売り”に変革しています。コンプレッサーは生産工程で必要な圧縮空気を発生させるための機器です。顧客企業は従来、コンプレッサーを購入し、自社で運用しなければなりませんでした。このコンプレッサーの最大の課題は電力使用料金が高額なことでした。

そこでコンプレッサーを購入することなく、使った分だけ使用料金を支払うサービスへとビジネスモデルを変革しています。これにより、工場に設置されたコンプレッサーから10秒ごとにデータをSAP HANAに収集し、収集したデータからコンプレッサーごとに利用傾向を分析することで、繁忙期には暖機運転を行い、閑散期には停止するなど、最適な運用を実現しています。

福田氏は「このビジネスモデルの変革により、最大60%の電力消費量の削減を実現しています。またSAP HANAに収集されたデータを分析することで、故障の予兆も検知できるので、稼働率の向上や障害対応コストの削減も期待できます」と語ります。

サッカードイツ代表チームの12人目の選手となるSAP HANA

さらに羽田は「SAPERPを中核に、さまざまなサービスへとビジネスを拡大しています。その中から最先端の事例があればお聞かせください」と福田氏へリクエスト。

ここで福田氏が選んだ事例がサッカーのドイツ代表チーム。2014年にブラジルで開催された「2014 FIFAワールドカップ」で優勝しています。この優勝を12人目の選手として支えたのがSAP HANAでした。

福田氏は「ドイツ代表チームは17大会連続でワールドカップベスト8に輝いています。ただ2006年のドイツ大会で優勝できなかったことから、サッカーにデータ分析を取り入れることを決定しました」と語ります。

当時は1試合で2000件程度のデータを収集し、分析していましたが、SAP HANAを導入したことで、カメラ映像やセンサーデータなど1試合あたり約4万件のデータが収集できるようになり、分析の精度が大幅に向上しています。このデータ分析によりドイツ代表チームは、ボールを長い時間キープするためにはできるだけ早くパスを回すことが必要であることに気がつきました。

福田氏は「1試合90分で1人の選手がボールを持っている時間は約2分だけです。そこで残りの88分の間、どのように動くかが重要になります。2006年のドイツ大会ではボールを受けてパスを出すまでの平均が2.8秒でした。現在では1秒以下に短縮されています。ちなみに日本代表は、ボールを受けてパスを出すまでに34秒かかっています」と語ります。

この能力を磨くためにドイツ代表チームは、トレーニングのためのシステムも開発しています。開発されたのはランプが点灯した場所からパスされたボールを、次にランプが点灯した場所に素早くパスするシステムや、ディフェンダーが270度の視野で3人の相手選手をマークするためのトレーニングシステムなどです。福田氏は「この事例は生産ラインをデジタル化して、状況を見える化し、計画を変更するだけでなく、生産ラインのあり方を改善することにも応用できます」と話します。

また人の能力に注目し、新たな能力を開発することも可能になります。福田氏は「フィジカルからデジタルへ、デジタルからフィジカルへデータを変換することで、フィジカルの世界を変革することが期待できます。IoTなどの新しいテクノロジーを活用することで、ものづくりを支えるだけでなく、ものづくりの在り方そのものを変革することができるのです」と話しています。

5年前からIoTの取り組みを推進 スマートファクトリーの実現を支援

羽田は講演の最後に、B-EN-GIoTへの取り組みを紹介しました。B-EN-Gでは現在、パトライト社のAirGRID®と信号灯を使い、信号灯の状態を自動的に記録・モニタリングすることで、設備の生産性と信頼性を向上させる「mcframe SIGNAL CHAIN」、紙に記録し加工していた現場情報をタブレットで記録、検索、閲覧、分析する「mcframe RAKU-PAD」、モーションセンサーで作業動作を見える化する「mcframe MOTION」を提供しています。

mcframe SIGNAL CHAINのコンセプトは“簡単IoT”で、少ない投資で短期間にIoTを実現できます。またmcframe RAKU-PADを導入することで、紙に記入していた作業日報や設備点検票などをタブレット端末でデジタル化することができ、簡単にデータ分析が可能になります。さらにmcframe MOTIONにより、ベテランの作業動作や姿勢を3Dモーションで分析し、作業改善の促進や若手の人材育成の強化などを実現できます。

羽田は「B-EN-Gでは約5年前からIoTに取り組んでいます。ITやIoTを活用することで、筋肉質かつ変化に強い、しなやかなスマートファクトリーやスマートオフィスを実現できます。B-EN-Gでは今後もIT活用の観点から、日本の製造業におけるハードウェアとソフトウェアの融合やデジタルトランスフォーメーションの実現などを支援していきたいと考えています」と話し、講演を締めくくりました。

ITRホワイトペーパー2016
東洋ビジネスエンジニアリング株式会社
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