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コラム

スマートフォン編

第4回 『スマートフォン導入の4つのカギ』

スマートフォン編

さて、本コラムも今回最終回となりました。これまでのご愛読に御礼申し上げます。今回は製造業の進むべき方向とその道程でのスマートフォンの必要性、さらには導入を成功させる4つの構成要素(4つのカギ)をご紹介していきます。

スマートフォンでローカル最適化とグローバル統一のいいとこ取り

安価で高品質=Made in Japanで日本を牽引してきた日本の製造業は、生産コストの安価な新興国の台頭や新興国市場がマーケット形成の中で、残念ながら徐々に優位性を失いつつあります。このような時代、製造業はどこへ向かうのでしょうか? もちろん国内の一極集中をする会社もありますが、これはサッカーで言えば「ホームで常に戦える選手」にしかできない戦略です。大多数の企業は(検討段階も含めて)国内と海外生産拠点のそれぞれの優れた点をミックスすることで、競争力を維持しなければなりません。

理想としては、労働コストの安い海外で国内工場同等の製品を製造できればベストですが、グローバルで一本化するように、「国内外問わず、習慣や文化(言語)の異なる複数拠点で統一した標準」を実現するのは容易ではありません。国籍・年齢・リテラシー・意識などが違う中でグローバル統一を行っても定着しづらいからです。

では、いかに早期に競争力を高めるか? たった一つの解は「ローカルな部分最適」と「グローバル統一」のバランス取り・いいとこ取りではないでしょうか。鎖の強度は一番弱い'輪'の強度に依存しますので、一番知識・意識・設備の低い拠点を軸足とした改善ツールの導入が必須です。

国籍・言語・意識の壁を突破するスマートフォン

下記のボタンをご覧ください。入出庫端末アプリのボタンを日本語・タイ語・中国語と多言語化した例です。

(画面イメージ)
 国籍・言語・意識の壁を突破するスマートフォン

この入出庫端末の設計・機能は全てグローバルで統一されているものの、表示(UI)をローカルで最適化することで、誰でも直感的に迷いなく作業を遂行できるようになっています。このグローバル統一とローカル最適化の融合は大きく言えば以下の3つのメリット創出の強大な推進力になります。

  1. 国内技術の完全移植と現地適合経営
  2. 現地人材、設備等のメリットのフル活用
  3. 日本と現地拠点を利用したシナジー創出

特に3.の部分は非常に興味深く、上記のように多言語を実装したお客様からは「日本と海外拠点でのミーティングで同一のボタン配置なので、操作方法など共通の話が出来る!」とのコメントを頂戴しました。なるほど、シナジー創出はこういう小さい事から始まるのかと改めて気付かされます。

導入の際に覚えて欲しい「4つのカギ」

この業務をスマートフォンで行いたい! というコンセプトが固まった際には、これからご紹介する4つのカギを同時並行して検討することを強くオススメします。この4つのカギの考え方は国内・海外での展開を問わず、常に指針になるものと考えています。

導入の際に覚えて欲しい「4つのカギ」

構成要素1:業務端末&ツール

スマートフォンは既に御存知の通り複数のOS・各社製品があり、どの機種が業務にベストマッチか迷われることもあるかもしれません。しかしプロダクトアウト的にOSや機種だけを捉えて判断することは禁物です。実際に利用するための連携機器や周辺機器も含めて、総合的に判断しなければなりません。

構成要素2:業務端末&ツール

スマートフォンは既に御存知の通り複数のOS・各社製品があり、どの機種が業務にベストマッチか迷われることもあるかもしれません。しかしプロダクトアウト的にOSや機種だけを捉えて判断することは禁物です。実際に利用するための連携機器や周辺機器も含めて、総合的に判断しなければなりません。

構成要素3:セキュリティ

スマートフォンのセキュリティポリシーをどう考えるか? 初めてスマートフォンを導入する場合はかなり真剣に検討しなければなりません。セキュリティが緩すぎればリスクは増大しますし、あまりにシビアなセキュリティを適用するとスマートフォンのメリットを削ぐことになりかねません。このバランスが難しい所ですが、一例として以下のコンセプト・機能ご紹介します。

コンセプト:セキュリティポリシー=管理者側からの一元管理
機能1→紛失時のリモートロック
(第三者が操作できないように遠隔ロック)
機能2→紛失時のリモートワイプ
(紛失端末の内容を遠隔消去(工場出荷時状態に強制リセット)但し、後日回収時には復元可能なことが原則)
機能3→不要アプリの遠隔削除
(例えば、アプリ購入機能を制限する、YouTubeなどの動画投稿サイトへの接続制限、カメラ機能の制限など)

上記機能の1と2は紛失時などの事故がコンプライアンス問題に直結しないように絶対に行うべき事項と考えます。仮に持ち出し禁止のスマートフォンを社外に持ちだして紛失した場合、まずはリモートロックやリモートワイプを行って、情報流出リスクを低減してから、管理体制の整備を行うべきです。また、ほんの出来心で現場の作業風景をカメラや動画で撮影し動画投稿サイトに投稿した場合、得意先からの信頼失墜や信頼低下に直結することでしょう。投稿や盗撮を防ぐためには「禁止! 禁止!」と言うよりも、そもそもカメラのアイコンを画面から削除してしまえば良いと考えます。

セキュリティは転ばぬ先の杖ですので、突き詰めればどこまでも守備的にもなることができますが、当社ではスマートフォンの良さを活かしながらも、クリティカルなセキュリティを守るという視点で上記の3項目をお勧めしています。

構成要素4:周辺機器

構成要素2でも記載しましたが、厳しい使用環境下でのスマートフォン導入の際には特に保護ケースや画面保護シートなども同時に導入しなければ、あっという間に画面は割れ、破損続きになることでしょう。仮に過酷な現場環境に耐えるケースとなると、現時点(2011年12月)でiPhoneには当社製品を含め複数の業務向け保護ケースがありますが、Androidの場合は各社ごとに端末サイズが異なるため、導入予定機種用の保護ケースの有無を確認するところから始める必要があります。

構成要素1で記載した通り、端末・機種選定はこれまでご説明してきた連携機器やセキュリティ、周辺機器などの有無を調べて、その結果から端末を導き出すという方法が最も適しているように思います。ぜひ生産現場回帰、現場改善力向上という視点から現場の方が使いやすい、使って便利な端末や構成要素を導き出して頂きたいと願っています。

終わりに

これまで全4回のコラムをお読み頂き、ありがとうございました。ぜひスマートフォンが皆様の業務改善の一助になればと願っております。弊社は本コラムでご紹介したスマートフォンを用いた業務改善・生産管理を行っており、スマートデバイス端末・周辺機器のコンサルテーション&販売から、使用インフラであるネットワーク診断まで一気通貫で現場力向上のお手伝いをしております。内容についてもっと聞いてみたい・詳しく知りたいなどのご要望がありましたら、お気軽にご連絡下さい。

世界で戦う準備はあるか
安東 恭二 氏
安東 恭二 氏
株式会社ReM 代表取締役 株式会社エイ・ジー・エスコンサルティング、ピーシーデポコーポレーション等を経て、2007年株式会社ReMを設立。顧客からのフィードバックを織り込んだ「本当に使える」ITと現場を融合させた業務改善サービスを提供している。 「格好良さ・目新しい機能のような味の濃い改善ツールではなく、十年使っても飽きないコメのような改善手法」を顧客と一緒に考えるのが得意分野。 http://www.re-m.jp/