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コラム

BI編

第2回『BIとは何か、そして導入に失敗しないためには。(2)』

BI編前回のコラムでは、BIツール導入でよくある3つの失敗例を紹介しました。
今回は、そんな失敗をしないためにはどうしたらよいのか、考えていきましょう。

よくある失敗例1:BIツールを導入したものの・・・

業務の現場では、もちろん業務のことについては熟知していますし、業務に伴うさまざまな課題や、「こんなことがわかったら、こんな手が打てるかもしれない」といった改善のイメージを持っているものの、そのために社内のどこにあるどんなデータが利用できるのか、どうすれば利用できるのか、といったことはよく知りません。

一方で、情報システム部門では、システムにどのようなデータがあるのかは理解していますが、それらのデータを具体的にどのように活用できるのか、具体的なイメージを持っていないことが多いようです。

業務現場とのコミュニケーション

「何をどうしたらよいかわからない」となる前にできる1つの解決方法として、非常に重要なことは、業務のプロと情報システムのプロがコミュニケーションすることです。こんな分析をやってみよう、そのためにはこのデータをこんな風に使ってみよう、と具体的なデータ活用方法の糸口が見つかるはずです。しかし、これだけでは新しい発想はなかなか生まれにくく、従来の定型的なレポート構築の結果とほとんど変わらないかもしれません。BIツールを利用して本当にやりたいことは、新しい気づきから新たなアクションを取ることで、売上増加や効率化といった具体的な効果を上げることです。

不完全な形でも、まずはスタート!

新しい気づきのために、プロトタイプアプローチという方法があります。
まず、ある程度のヒアリングを行いその内容に基づいたプロトタイプを構築し、実際に業務現場の方に使っていただく。それまで、何をやりたいか明確に言えなかった人も、実際に触って見ることで、こんなデータも、こんなように見てみたいとか、あるいはこんなことを気付いたとか、さまざまな意見がでてきます。さらにそれらの意見を取り入れ、プロトタイプを修正し、さらに使っていただき、意見を取り入れてということを繰り返すことで、業務現場が本当にやりたかったことが見えてくるといった方法です。

BIツールの導入においては、比較的よく使われています。というのも、BIツールは外部環境の変化に柔軟に対応できるものでなければならないため、最初から完璧な形で運用することは難しいからなのです。そのため、運用しながらその時々で最適な形に変えていくという方法があっているのですね。

他社の事例にはアイデアがいっぱい

また、より簡便な方法としては導入事例の活用があります。類似の業種や業務での導入事例で紹介されているものを、自社に置き換えて検討するという方法です。

ツールベンダーが自社の製品を導入されたお客様の事例を紹介しているケースだけでなく、インターネットのニュースサイトや雑誌で取り上げられている事例など、さまざまな導入事例があります。公開されている内容は概要程度のものが多いため、導入前に実際に事例ユーザー企業に訪問して詳細をお聞きするというお話もよく聞きます。同業種の場合、業界団体の会合などで横のつながりも強く、その中でBIの導入やその活用について情報交換されるのも1つの方法です。

よくある失敗例2:BIツールを社内に展開したものの・・・

これには、多くの要因が考えられます。多いのが、環境への変化に対応できずに使えなくなってしまったり、意味がなくなってしまったりするケースです。

BIの導入は1回構築してしまえば終わりではなく、自社の置かれている環境の変化に応じて必要なデータや活用の方法を変えていく必要があります。もちろん一般的なシステム同様に組織や商品マスタなどの保守メンテということも発生しますが、それよりも要件がどんどん変化していくということです。では、その変化に合わせてBIツールを進化させていくためには、どうしたらよいのでしょうか。

"誰か"に依存しない体制作り

まずは、先に紹介したプロトタイプアプローチで、業務現場のニーズの変化をいち早くキャッチすることでしょう。そして、進化させるために大切なのは、BIシステムをブラックボックス化しないこと。導入後は、導入企業自らが環境の変化に合わせて継続的に進化できるような仕組みづくりとその体制が重要になります。この時、自社で運用できるかどうかも一つのポイントになってきます。

レポートの変更や、データソースの増加、ちょっとした設定変更など、変化に対応するための作業を特定の担当者や外部に依存してしまうと、時間がかかってしまいニーズの変化に追い付かない、または、コスト的な問題で対応自体が難しいといった状況が発生し、あっという間に"使えないBI"になってしまいます。これをもし、実際に「こんな風に変えたい」と考える業務の担当者や、IT部門が対応できれば、ニーズの変化にもすばやく対応し、"使えるBI"として定着するようになります。そうすれば自然と利用者も増えていきます。

うまくいくケース・うまくいかないケース

全社的な情報活用を目指して

また、BIツールの導入では、「小さく初めて、大きく育てる」とよく言われますが、企業にとって情報は重要な経営資産です。まずは、1部門で導入して成功させようとのお話もよく聞きますが、最終的には、全社の基盤として構築、運用することを目指した体制を作ることが重要です。活用の元となる社内システムに蓄積されたデータを1部門で保守を含めて維持、運用することは非常に難しくだけでなく、より多くのデータを横断的に活用することで、より多くのことが見えてくる可能性があるからです。

よくある失敗例3:BIツールを導入したと聞いているが・・・

BIツールを導入し、標準的なレポートを準備して社内に展開したところ、使われているのはその標準レポートのみということもよく聞きます。当初 "情報活用の促進"と謳って導入したものの、社内展開する際の説明のみで終わらせてしまうとさすがに時間とともに使われなくなっていってしまいます。

継続的な取り組みが浸透のカギ

最近は全社、全員での情報活用ということで、全国に分散された拠点や店舗でも活用されているユーザー企業様が増えてきています。このように導入がうまくいき、社内での活用が広がっている場合、IT部門が主体的に情報活用のための定期的な集合研修の実施や、担当者が巡回して説明する機会を作るといった継続的な活動が行われています。これには、ITの専門ではない、現場部門が使いこなせるようなBIツールを選択することも重要です。

使わざるを得ない環境も時には必要

また、こんな少々思い切った方法でBIツールを社内に浸透させた事例もあります。社内システムをメインフレームからオープンシステムにマイグレーションする時に、伝票や法定帳票といった業務上必要な帳票以外の紙の管理帳票をすべて撤廃。代わりに全社員に必要なデータを活用できるBIシステムを公開し、BIツールを使いこなさないと何も情報が得られない、という環境にしたのです。これにより、ペーパーレスを実現しただけでなく、情報が必要な社員は必死にBIツールの使い方を覚え、社内に浸透、次第にさまざまな用途で活用されるようになっていったのです。

利用する人にとって、BIツールの価値は、常に、新たな気づきが得られ、それにより新たなアクションをとることでさらに売上増加や業務の効率化できること、そして、それを継続的に実践できることではないでしょうか。

次回は、最近よく耳にするビッグデータについて、いくつかの事例を交えてご紹介したいと思います。

第3回コラム『ビッグデータが注目される理由』に続く

世界で戦う準備はあるか
小島 薫 氏
小島 薫 氏
ウイングアーク1st株式会社 執行役員CMO 営業本部 副担当役員 マーケティング担当
文系の大学を卒業後、製造業で入社1年目にシステム導入を担当。業務系、情報系のシステム構築を数々の失敗を乗り越えて実現。当時は、ユーザー事例として公開されるまでに。
その後、システムが天職と勘違いし、ITに。
ウイングアークに2004年に入社、技術本部、マーケティング部を経験し、現在ウイングアーク1st株式会社 執行役員CMO 営業本部 副担当役員 マーケティング担当。

http://www.wingarc.com/