このままでいいのか?中国進出日系企業の情報基盤(1)
日系中国企業を取り巻く環境 ドラスティックに変わる中国生産拠点の役割
これまで日本工場の海外の出先製造ラインとして、日本本社から指示された生産計画の元、安定した大口仕入先兼、得意先である日本本社、その関連企業へと大量の製品を排出していた日系の中国製造企業に転換期が訪れています。
日系中国企業の現在は、グローバル競争の激化とともに中国現地の仕入先やその他のアジア地域からの仕入先の開拓が求められ、さらには中国国内市場への参入による販売業務機能の拡張など、中国工場としての自立と、販社としてのビジネス拡大が否応無しに求められてきています。
一方で、頻繁に変わる中国税制への対応と中国新会計準則への対応と、IFRSが要求するグローバルグループ企業としての(日本本社からの中国法人への)管理レベル底上げ圧力も増してきています。
中国日系製造業に必要な基幹システムの意義
お客様の要望への迅速な対応と、社内管理の高度化・複雑化により、Excel管理が主体であった従来の管理基盤を統一データベースの基幹システムに切り替えなければ、ビジネス環境への対応スピードが生み出せずに作業負荷が上がり、無駄な生産も増えていくという悪循環に陥るリスクを抱えていくことになります。
製品需要の変化が激しく、人材流動性も高い、さらに賃金ベースアップが年30%UPも珍しくない中国市場では、人に依存しない透明度の高い仕組み作り、つまり生産管理、販売管理、原価管理等の基幹システム強化を、いかに迅速に行っていくのか、が重要になっているのです。
これらの課題を打開するため、これから求められる基幹システムの導入について、どのような点に注意して中国拠点の導入をしていけばいいのでしょうか?「中国の法制度」を軸にして見ていきたいと思います。
中国の法制度への基幹システムの対応
中国の現地法人の基幹システム導入に際して、その選定要素としては、日本人と中国人で構成される日系企業では当然、中国語(主に簡体字)と日本語のマルチ言語対応が求められます。また、日本円、中国人民元などのマルチ通貨対応や、分公司(支店)、子公司(子会社)を統合管理するためのマルチサイト、マルチカンパニー対応も必要ですが、今回は中国特有の法制度として気をつけなければならない以下の要素を取り上げたいと思います。
- 中国新会計準則とIFRS
- 発票主義
- 増値税と営業税
- 手冊管理
- 中国版内部統制:C-SOX