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コラム

需要予測編

第3回 『お財布マネジメントで学ぶ「需給マネジメント」』

需要予測編

前回は、需要予測システム導入の成功にかかせない『需給マネジメントシステム』についてお話しました。「重要なのは何となくわかったけど、もうひとつピンとこない」と言う方もおられるのではないでしょうか?

実は皆さんは気付かないうちに普段の生活の中で『需給マネジメント』をしているのです。今回は、身近なお財布マネジメントを例にとって『需給マネジメント』について説明したいと思います。

寿久君のお財布マネジメント

寿久(じゅきゅう)君は入社したばかりの新入社員。毎日朝早くから夜遅くまで仕事があるため、手数料がいらない時間帯に銀行に行くことがなかなかできません。手数料も積もり積もれば馬鹿にならないと考えて、ノー残業デーの水曜日の仕事帰りに銀行に寄って預金を下ろすことにしました。しかしATMの前で、「いったいいくら下ろせばいいのかなぁ」と考え込んでしまいました。

一週間で使うお金を予測してみよう

寿久君は一週間で使う金額を予測してみようと考えました。
「毎月の給料からいろいろ差し引いて、自分が自由に使えるお金は6万円ぐらいなので、1日2千円、1週間なら1万4千円あればいいかな」ところが、1万4千円は多すぎるようで、水曜日の夕方に結構な金額が財布の中に残ってしまいます(CHECK-1)。財布を落とすと困るので、最低限必要な金額を予測することにしました(ACTION-1:予測精度改善のPDCA)。毎日120円の缶コーヒーを2本と800円のランチを食べるので、1日1,040円、1週間で7,280円と予測しました。

需要は変動する

翌週の水曜日はとても暑く、外回りをしていた寿久君は冷たいお茶を買いたかったのですが、お金が足らなくなる(CHECK-2)と困ると考えて我慢しました(ACTION-2:緊急対応のPDCA)。寿久君は、必要な金額の変動を考慮しないといけないことに気付きます。週に3回は飲み物を3本欲しくなるときもあるし、週に2回は800円のAランチが売り切れで900円のBランチを食べるときもあるので、560円余裕を見ておくことにしました(ACTION-3:外れを前提としたPDCA)。寿久君のPDCAサイクルも軌道に乗り、しばらくは平穏な日々が続きました。

イベントにより需要は増加する

ところがとある火曜日、寿久君は日ごろから思いを寄せている同期入社の真根次(まねじ)さんから「今晩、食事に行きませんか」と誘われます。財布の中身は1,500円、足りるはずがありません(CHECK-3)。しかし、このチャンスを逃すわけには行きません。寿久君は同じ課の面戸(めんと)先輩から1万円借りることにしました(ACTION-4:緊急対応のPDCA)。デートはいい感じで盛り上がり、別れ際に寿久君はこう声をかけました。「今度は僕の方から誘うよ」(ACTION-5:予測精度改善のPDCA)
次の日、寿久君は面戸先輩に丁寧に御礼を言い、面戸先輩が気前よくお金を貸してくれたことを会社の人達に話しました。面戸先輩も、「1万円ぐらいいつでも貸してやるよ」と上機嫌です(ACTION-6:外れを前提としたPDCA)。イベントによって急に大金が必要になることがわかった寿久君は、クレジットカードの入会申込書を取り寄せることにしました(ACTION-7:外れを前提としたPDCA)。

需要マネジメントはお財布マネジメントと同じ

需給マネジメントというと難く感じるかも知れませんが、皆さんも寿久君と同じようにお財布のマネジメントはしているはずです。寿久君のとったACTIONを企業の需給業務におけるACTIONに対応付けてみましょう(表1)。

表1 お財布マネジメントと需給マネジメントの対応

お財布マネジメントと需給マネジメントの対応

同じような例に冷蔵庫マネジメントがあります。どこの家庭でも、ビールや野菜を切らさないように、かつ腐らせないように、需要を予測しながら冷蔵庫の中の在庫を管理しているはずです。ビールをケースで買うのはロット生産(まとめ発注)に対応しますし、残りものの野菜を使って一品作るのは値引き販売に対応します。
実際の需給業務で起こった問題への対応策が思い浮かばないときは、お財布マネジメントや冷蔵庫マネジメントの問題に置き換えて対応策を考え、その対応策を需給マネジメントに変換してみてはいかがでしょうか。

次回は、需要予測システム導入時に検討すべきポイントについてお話します。

第4回コラム「これだけは検討しておきたい『需要予測システム導入時の検討ポイント』」に続く

世界で戦う準備はあるか
淺田 克暢 氏
淺田 克暢 氏
キヤノンITソリューションズ株式会社 R&D センター 数理技術部 コンサルティングプロフェッショナル 「需要予測による在庫管理」の普及を目指し、需給計画システム導入のコンサルティング業務に従事。 中小企業診断士、流通科学大学非常勤講師(2003~2006年)。 著書に「在庫管理のための需要予測入門」(共著)東洋経済新報社 「なぜあなたの会社はIT で儲からないのか」(共著)同友館。