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コラム

ものづくりIoTコラム

第1回 ユーザー目線で見るIoTの勘所

ものづくりIoTコラム

こんにちは。ものづくりIoTブログを今回から書かせて頂く、株式会社ReMの安東です。

IoTという流行り言葉への違和感

いきなりですが、私は最近のものづくりIoTの盛り上がりや捉え方に少し違和感を覚えています。ものづくりIoTの話題を見ると、IoTの壮大な未来像やビジョンを語る人はたくさんいるのですが、実際に製造業の現場で仕事をしている私からすると、夢物語や理想を語られても…という、いまひとつピンと来ない、実感が湧かないという困惑があります。

私(当社)は、製造業をITの力で強くする!というテーマを掲げて、この10年仕事をさせてもらっていますが、常に立ち位置は製造現場の中に入り込むというスタンスを取っています。生産性を上げたいという業務改善のケースもありますし、生産管理システムの導入をしたいというケースもありますが、いずれの場合も、だいたいは作業服を着て、会社の方と喧々諤々と角を突き合わせる仕事のスタイルです。

そんな仕事の仕方をしている私から見ると、今のIoTは、あまりに概念的に感じられるのです。もっと言ってしまうと、“なんだかそれらしいこと言っているけど、実態が見えない”ように見えると言った方が正しいかもしれません。

私が歪んでいるのかもしれませんが、「これをやり続ければ、不良率が減りますよ」と言ってもらわないと、心に全然響かない。つまり、もっとわかりやすいメッセージで伝わるようにしないと、IoTはお金持ちの会社にしか手が出せない、高級でアカデミックなものになってしまうのではないか、というモヤモヤがずっとありました。

ユーザー目線で見るIoTの勘所

そのような私が、このコラムではぜひ皆さんに…

  • これまでIoTを導入してきた事例(やりかた)
  • IoTで成果を掴むための条件とは(考えかた)

という、私でも出来たIoTの事例をできるだけ隠さずにお伝えしたいと思っています。

もう少し具体的に書くならば、私はIoTITツールを導入する「ユーザーの立場」で接していましたので、その本音(使い勝手)をお伝えしたいですし、各ベンダーさんは「導入後、XX%の効果!」とピーク値(瞬間最大風速)を謳い文句にしますが、それを長期的に使った時の効果もご紹介したいと思っています。

冒頭に記載したように、ITを使った業務改善などを10年し続けている中で、こう進めれば必ず効果が出るという秘訣のようなものには出会っていませんが、これは押さえておかないと絶対上手くいかないのだな…という鉄則のようなものが見えてきた気がします。それがなにかと言えば、世の中すべてそうなのかもしれませんが、特にものづくりの現場では、物事の理解は「正しい比較」からしか始まらないということです。

素材検査

例えば、図面には、必ず寸法が記されていて、ほとんどの場合はそこにプラス○○mmとか、マイナス○○mmという製造公差が決められているはずです。これは、寸法に対して、いくらまでなら許容するという「基準に対する正しい比較」ですし、設備の稼働率にしても同じです。本来の稼働100%に対して、何%稼働したかという「正しい比較」をすることで、物事を判断していると思います。

IoTにしても、この原理原則は不変で、ラインのリアルタイムの状況や本来の稼働能力を「正しく比較」するために、設備(モノ)の状況をインターネット経由で収集できないだろうか…というのが正しい思考だと思いますし、IoTを使わない改善でも、押さえておくべき鉄則のように感じないでしょうか。

ただ、この「正しい比較」を行うためには、「正しい数値」が必須です。誤った数値からは正しい比較ができません。では、どのように数値や情報を取るのが最も正確か?と考えると、当然設備(モノ)の情報をセンサーや機器からダイレクトに入手するのが正確で、人手が入れば、ミスが発生する要因になります。だから、IoTが必要なのだと私は考えています。(ご存知の通り、正しい情報を人の手で「取り」「続ける」というのは、非常に困難なのです…)

では、正しい比較を導くために、正しい数値をどのように収集するか?正しい比較をどのように行って、効果を出し続けているか?

IoTという言葉がまだ生まれる前、2011年から「正しい比較」にこだわって設備稼働率と不良率を大幅に減少させた、旭テックアルミニウム株式会社の実例を、責任者の方のインタビューを交えて次回ご紹介したいと思います。

第2回コラム『ITで業務を変えるはじめの一歩』に続く

mcframe SIGNALCHAIN事例
安東 恭二 氏
安東 恭二 氏
株式会社ReM 代表取締役 株式会社エイ・ジー・エスコンサルティング、ピーシーデポコーポレーション等を経て、2007年株式会社ReMを設立。顧客からのフィードバックを織り込んだ「本当に使える」ITと現場を融合させた業務改善サービスを提供している。 「格好良さ・目新しい機能のような味の濃い改善ツールではなく、十年使っても飽きないコメのような改善手法」を顧客と一緒に考えるのが得意分野。 http://www.re-m.jp/