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コラム

PSI編

第1回『SCMの要、需給調整業務の効率化と高度化によるPSI最適化(その1)』

PSI編

はじめに

サプライチェーンマネジメント(SCM)の重要性が指摘されて久しいが、時間を経ると共に、いくつかの部分的課題が解決される一方で、SCMを取り巻く課題の広範さ、複雑さが露呈してきているように感じている。より効率的で強靭なサプライチェーンの確立に向けて取り組むべき課題は多い。
当社はこれまでSCP(サプライチェーンプランニング)領域において、需要予測「ForecastPRO」、販売計画と需給調整(デマンドプランニング)「SynCAS」、生産計画・スケジュールング(サプライプランニング)「SynPIX」「SynPLA」など各種ソリューションを通じてお客様と共にSCM改善に取り組んできた。景気動向が不透明で見通しを立てにくい昨今の状況では、事業計画や販売計画を綿密に立案する事に労力を割くよりも、大きなトレンドや変化要因、実績データの傾向から需要を予測した上で、実行フェーズにおいて最新データを素早く評価し、需給調整に反映する運用が有効であると考える。
しかし、この重要なオペレーションである需給調整業務に対し、多くの情報システムは必ずしも十分に対応しておらず、Excelなどの汎用ソフトウェアを利用し担当者の力量に任されている現状をよく目にする。数百から数千というSKUを一人の担当者で扱う事も少なくなく、効率と精度の両面から、ITによる支援を強化すべきであると感じている。
今回は、この需給調整業務に関わる一連のオペレーションを強力に支援するデマンドプランニングソリューション「SynCAS Visual Center(仮称)」(以下、SynCAS VCと略して記述する)を3回に分けて紹介していきたい。

需給調整業務の実態はイレギュラー処理が中心

販売見通しを立て生産や調達量を調整し、その計画に基づいて実行していくが、その過程においては様々な調整が必要となる。需給調整業務は様々な部門が連携し、情報共有と合意形成しながら進める意思決定作業だが、実際の現場では図1に示すように、需要変動などの情報をスムーズに共有できず、意思決定が経験や勘に頼って実施されていることが少なくない。その具体例をいくつか挙げてみたい。

 

図1 需給調整業務のお悩み

図1 需給調整業務のお悩み

需要の増減や調達・生産の遅れ、数量の変更などが発生し、現実は当初の計画通りに進まないことが多い。そのため需給調整の現場はイレギュラー処理への対応を余儀なくされている。むしろこうしたイレギュラー処理が業務の中心となり、業務時間の大半が割かれている現実がある。現場では、「状況変化を加味した需給計画を立案する」という本来の業務に十分に時間を割けないため、様々な問題が発生している。例えば、需要の増減を確認する時間を十分にとれず、調達手配を「いつも通り」の量で行ったり、生産依頼を「いつもの通り」の量・頻度で行ったりするため、実際の需要の動きに追随できず欠品や在庫過剰を招いているケースは少なくない。
イレギュラー処理の業務は大半が緊急対応を要するため、扱い量の大きい定期発注のようなルーチン業務の優先度が下がったり、数量の見直しや調整が疎かになる傾向がある。これが次のイレギュラー処理を誘発する原因となり、負のサイクルに繋がっている企業も見受けられる。
要員を十分に確保して人海戦術でイレギュラーな対応をこなしている企業においても、システム化によって業務効率化とイレギュラー事象の発生頻度の低減を図ることで、業務の安定化と収益性の改善ができる余地は大きい。

最適在庫の設定は不可能か

多忙を極める需給調整業務だが、それを支える情報システムの実情はどうだろうか。
当社に相談を寄せていただく多くの企業では、資材調達や製造、実績収集などの生産管理を中心とした情報システムは導入されているものの、販売計画や需給調整を支援するシステムは未導入か簡易的なしくみで運用されているケースも少なくない。Excel等の表計算ソフトでの運用も目立つが、計画業務向けの専用システムを導入している場合に比べ、計画調整の客観性や安定性、データ量が増えた場合の性能面で問題が発生していることが多い。
需要の傾向が安定しており、生産頻度や生産量に大きな調整が必要ない場合は表計算ソフトでの管理でも対応可能と思われるが、需要側の変化や供給側の変更を反映したイレギュラー対応が頻発する現場では、問題を解決するために関係部署や取引先との情報交換に多くの時間を費やすことになる。表計算ソフトではこうした場合の情報共有と調整のニーズに十分に対応できない。SynCASのような需給調整向けアプリケーションでは、一連の業務処理を効率良く遂行する事が可能である。
図2 最適在庫の調整

図2 最適在庫の調整

一例として在庫調整の適正化の例を見てみよう。
各品目の在庫管理において「在庫水準の適正値が明確に設定されているか」は、業務が効率的に実施されているか否かを判断する有効な基準のひとつになる。ここで言う在庫水準の適正値とは、変化する需要を考慮した過不足のない在庫量を維持するための安全在庫を含めた値のことである。
図2に示す様に、在庫調整業務においては、最新の在庫量と先々の需要の見通しから在庫推移を算出し、安全在庫を割り込むタイミングと必要な在庫補充量を求め、調達や生産に必要なリードタイム(LT)を考慮して調達・生産の指示を行う。原則的にはこの業務を全ての品目に対して実施することが望ましい。しかし実際は安全在庫の基準の見直しがタイムリーに行われておらず、そのため在庫基準も最適とは言い難い状況になっているケースが少なくない。読者の状況はいかがだろうか。割ける工数や表計算ソフト等のツールの機能制約から、主要品目に対する限定的な確認になっている場合が多いのではないだろうか。

次回は、この煩雑な需給調整業務の効率化を支援するソリューションとして、MCFrame認定商品に新たに登録された、需給調整業務向けアプリケーションSynCAS VCを紹介する。

第2回コラム『SCMの要、需給調整業務の効率化と高度化によるPSI最適化(その2)』に続く

東洋ビジネスエンジニアリングのものづくりデジタライゼーション
内海 由博 氏
内海 由博 氏
株式会社日立ソリューションズ東日本
第二ソリューション事業統括本部 担当本部長
1986年 株式会社日立東北ソフトウェア(現:株式会社日立ソリューションズ東日本)入社後、大型汎用コンピュータのシステムエンジニアとして製造業のお客様を担当し生産管理を中心に業務システム開発からシステム運用管理に15年従事。 その後、営業部門を経て現在は、商品企画、アライアンス、広報宣伝部門を担当し自社製品のSCM関連ソリューションの宣伝普及を展開中。 http://www.hitachi-solutions-east.co.jp/