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コラム

PSI編

第2回『SCMの要、需給調整業務の効率化と高度化によるPSI最適化(その2)』

PSI編

前回は、SCMの重要なオペレーションである需給調整業務の課題と現状について紹介した。この回ではITによる支援強化策について紹介していきたい。

需給調整業務を支えるPSIソリューション

在庫調整の効率化のために開発された、需給調整業務向けアプリケーション「SynCAS Visual Center(仮称)」(以下、SynCAS VCと略して記述する)を紹介する。SynCAS VCは図3の様な機能で構成されている。
需要計画には需要予測システムForecastPROを利用する。ForecastPROは過去の出荷・販売実績や拡販キャンペーンなどのイベント情報などを加味して将来の販売見通しを統計的に算出する。業種や商品特性によって異なるが、多くのケースでABC分類のA区分に分類される商品については、実用的な誤差の範囲内で販売計画のガイドラインになり得る予測値が算出される。A区分以外の商品や予測誤差が大きい場合は、販売部門からの情報活用を工夫し、重要度に応じて簡易的な予測を検討すると良い。

図3 需給調整業務のお悩み

図3 需給調整業務のお悩み


在庫の状況は、物流・倉庫管理のWMS(Warehouse Management System)や、販売管理システムに蓄積された日々の販売実績・入出庫情報等から把握する事が出来る。また、今後の販売見通しとこれらの実績値から将来の在庫推移が計算できる。需要予測、販売実績、在庫推移の情報に、あらかじめマスター情報として設定したSKU毎の属性情報(ロットサイズ等)から想定補充量も算出される。この値を検証しながら最終的な生産・手配数量を決定する。検証に際しては図4に示すような、過去および将来のPSI(生産・販売・在庫)情報の可視化画面を用いる。


図4 PSI情報の可視化

図4 PSI情報の可視化


これまでの販売傾向、生産・入荷のサイクル、ロットサイズそして在庫推移が、数値とグラフにより視覚的に捉えられる。さらに、基準日(通常は前日)以降の見通しで欠品が発生しないか、在庫が過剰になっていないかをすぐに確認できる。日々の業務においては、実績が計上されるタイミングでデータを更新し、各指標の予定と実績とのかい離やその影響を確認・評価していけばよい。多くのイレギュラー処理が発生する需給調整業務の現場では、図5のように時間と共に販売見通しが販売計画を下回ったり上回ったりするデマンド側の問題や、逆に資材調達の遅れや製造ラインの故障や歩留まり低下などにより、予定通りに生産・供給できないサプライ側の問題が発生する。

図5 販売計画と販売見通し        

図5 販売計画と販売見通し


需給調整業務では、これらの事象を常に監視する必要がある。数百から数千に及ぶSKUを一点ずつ確認していくのは非効率であるため、図6に示すようなアラート(警告)画面を利用する事で監視を効率良く行える。需要のブレや在庫基準と実際の在庫量のかい離度合いから問題アイテムを抽出し、文字情報やグラフで担当者に通知する。

図6 SKUの監視

図6 SKUの監視


担当者はアラートとして提示されたSKUの状態をグラフ等で確認して善後策を検討し、関係部署と合意を取りながら対処していく。この検討にはシミュレーションが大変有効である。図7はいくつかのシナリオ案を作成し需給状況(デマンドとサプライの関係)を将来のPSI情報の観点から可視化したものである。

図7 発注・在庫シミュレーション                   

図7 発注・在庫シミュレーション


このシナリオ案から最適なパターンを選択し対処していく。システム化することで、最新の実績に基づく需要予測値の利用はもちろん、各品目固有のリードタイム(LT)、ロットサイズ、サービス率等も考慮した現実に近いシミュレーションができ、Excelその他での手作業での検討に比べ、飛躍的に容易に実効性の高い調整シナリオを導き出せる。
このシミュレーションでは過去から将来のPSI情報を時系列の流れで捉え、在庫の誘導目標となる安全在庫の水準を、デマンドの変化に合わせて動的に調整していく事が出来る。この結果をSKUの属性マスター情報に反映させる事で常にマスター情報の鮮度と精度を保てる事になる。

ここまで需給調整業務向けアプリケーションSynCAS VCの主要機能である、在庫可視化および在庫評価の機能について紹介してきたが、次回は取り扱いSKUが数千を越える大量アイテムに対しての有効な支援について紹介していきたい

第3回コラム『SCMの要、需給調整業務の効率化と高度化によるPSI最適化(その3)』に続く

東洋ビジネスエンジニアリングのものづくりデジタライゼーション
内海 由博 氏
内海 由博 氏
株式会社日立ソリューションズ東日本
第二ソリューション事業統括本部 担当本部長
1986年 株式会社日立東北ソフトウェア(現:株式会社日立ソリューションズ東日本)入社後、大型汎用コンピュータのシステムエンジニアとして製造業のお客様を担当し生産管理を中心に業務システム開発からシステム運用管理に15年従事。 その後、営業部門を経て現在は、商品企画、アライアンス、広報宣伝部門を担当し自社製品のSCM関連ソリューションの宣伝普及を展開中。 http://www.hitachi-solutions-east.co.jp/