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コラム

設計部門効率化を目指す設計モジュール化技法の基礎と実践

第1回 個別受注事後設計型製造業の課題と対策について

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製造業を取り巻く環境

現在、製造業を取り巻く環境は、決して良い状況と言える状況ではありません。2008年9月に端を発したリーマンショック以降、各製造業企業は耐えがたきを耐え、堅実に業績を伸ばしてきました。

そして、2020年の東京オリンピックを目前に、やっと復調してきた、と思えるのようになった矢先、米中貿易摩擦とコロナ禍による経済危機が日本を襲いました。これに影響を受けていない企業はいないと思います。

以前、我々は日刊工業新聞社から「設計モジュール化技法」という本を出版させていただきました。この冒頭に「現在活動している上場製造業の50%~70%は倒産するかもしれません」と記しています。これは、技術革新遅れに伴い、製造業が淘汰されていくのでは、という予測からの記述でした。現状、技術という意味では、最先端技術は中国が一歩抜きん出ており、環境に関する技術に関してもEUが世界で主導的な役割を果たしています。かつて技術立国と言われた日本は、いまや技術後進国と言っても過言ではありません。

今日本の製造業が技術開発力において遅れをとっているのは、いろいろな要因があるものの、一番は人材の不足です。当社に相談に見えられる経営者に話を聞くと、大体30%~50%は開発力が不足していると言われます。1980年以降、国内製造業は「十人十色の需要から一人一人の需要へ」とニーズ変化に合わせて、多品種少量生産からのマスカスタマイゼーションを意識した個別仕様対応生産を行ってきました。これにより企業内のカスタム設計部門の人員負荷は大幅に増大していきます。そのために企業での開発設計の人員比率は低くなり、同時に企業の開発力も低下していくことになります。

こうした中、人材不足を補うべく、今我々が提言しているのは、設計業務の効率化によるカスタム設計部門から開発設計部門への人員シフトであり、これを実現する設計モジュール化技法の導入と考えています。

個別受注事後設計型製造業の課題

製造業といっても、大きくは「量産型」製造業と「個別受注型」製造業とに大別されます。その中でも受注後、自社で設計作業を行う「個別受注事後設計型」製造業では、前述したカスタム設計部門の負荷がたいへん大きく、もっとも設計部門の業務効率化といった改革が求められている業態となります。

こうした企業には、工作機械や半導体製造装置だけでなく、食品加工および包装機械に代表される装置製造業、プラントや船に使われる工業用のバルブやポンプなどの流体制御機器などが該当します。他にも車の架装業もこれに当たります。

このような個別受注事後設計型製造業は、個別仕様対応生産の代表であり、前述したカスタム設計部門の負荷が高い部門が存在します。また、企業内の各部門で、以下の様な問題も抱えているのが一般的です。

現場視点の課題

営業
営業が客先で仕様を決めてこれないため
「引合~仕様打合せに逐一、設計が出向いている」

設計
仕様打合せや客先問合せに対応しているため
「都度図作成、物件対応で、毎日残業、休日出勤…」
「出図遅れ、短納期対応、仕様変更で、毎回特急手配頻発」

生産管理
「製番部品表の精度が悪く、図面から部品を拾い出している」
「寸法が少し違う都度図ばかりで、作業効率化が進まない」
「納期サバ読み、飛込対応による生産計画の崩壊」

製造
「現合作業による組立生産性の低下およびL/T長期化」
「現地調整と言う出荷後の仕様変更・組立・検査工程」

他にも経営者視点でも以下の問題が発生しています。

[経営視点の課題]

「受注~出荷リードタイムが競合他社よりも長い」
「納期回答や見積算出が他社よりも遅い。または、精度が悪い」
「受注時には利益が出るはずが、最終的には儲かっていない」
「シリーズ開発に手が回らず、新製品がなかなか出ていない」

これらの問題が、個別受注事後設計型製造業では、多く起きており、頭を悩ませていることかと存じます。
では、こうした課題を解決していくには、どうした方法があるのでしょうか。

カスタム設計の効率化の考え方

カスタム設計業務の効率化は、簡単に言うといかに「図面を描かない」ということに尽きます。1枚の図面が発生するだけで、設計では都度検図や、配布が発生するし、下流の工程では、その図面に対する作業が発生してしまい、極端な話、直材費100円の部品でも、10,000円の間接費が発生しています。

では、個別仕様対応の中でいかに図面を描かずに行うにはどうするのか。大きく以下の二つの考え方があります。

「待ち受け型」設計
「後追い型」設計

「待ち受け型」設計というのは、いわゆる標準化設計と言われる考え方になります。それに対し「後追い型」設計は、流用化設計と言われる考え方になります。とくに個別受注事後設計型製造業で多いのは、この「後追い型」設計でかつ「なりゆき・後追い型」設計です。これは、図面整備は行わず、過去の類似図面を検索して、流用するという方法になりますが、これは図面の検索だけでなく図面が流用可能かどうかも含めて個人の能力に依存する属人的な作業になるため、効率化に寄与されません。

では、「待ち受け型」設計ということになりますが、これも事前に図面も含めて準備しておく「完全・待ち受け型」設計というのは、個別受注の場合、バリエーションが多すぎて、標準化できないため、効率化に際しては現実的でありません。

個別受注事後設計型製造業において、設計業務の効率化の考え方としては、事前に主要なバリエーションのみ定義し、受注オーダーで該当したバリエーションが発生した時に、バリエーションの図面の登録を行う「蓄積・待ち受け型」設計がもっともよいと考えられます。

このやり方では、他の受注オーダーでも利用される前提でバリエーション定義がされているため、登録された図面は、流用時に都度図面検証は必要ありません。そしてこの「蓄積・待ち受け型」設計の考え方の代表こそが、今回の主題でもある「設計モジュール化技法」になるのです。

次回以降は、実際にこの設計モジュール化技法についての詳細をご紹介していくことにします。

第2回「設計モジュール化技法の考え方と業務改善イメージ」 へ続く

IoT時代のモノづくり、気付かぬエンジニアリングチェーン革新の落とし穴

全ての工程がデジタルのもとでシームレスにつながる「ものづくりデジタライゼーション」の世界が広がろうとしている。し かし、意外にもそのボトルネックになると問題視されている部門が、設計部門である。一貫性のあるエンジニアリング チェーンを構築するには何が必要か。同内容をテーマに取り上げたB-EN-G主催の年次イベントに おけるスペシャルトークセッションの内容をお伝えする。

eBookの内容
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  • 設計部門は“真のデジタル化”で取り残されている
  • ものづくりデジタライゼーションでの設計部門の理想像
  • 日本の製造業の将来に向けて必要なこと

江見 祥一 氏
江見 祥一 氏
株式会社 経営システム研究所 シニア・チーフ・コンサルタント
SIer系システム企業にてシステムエンジニアとして、システム開発・プロジェクトマネジメントを経験後、2006年より現職に従事、現在に至る。 製造業を中心に、技術・設計業務改善指導などのコンサルティング活動、および業務システム構築マネジメント等のシステム構築支援活動を展開中。

(※)「設計モジュール化技法ー図面を描かずに設計する!」(日刊工業新聞社発刊)の詳細はこちら